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第1部  社会発展基盤の強化と拡大のために
第3章  新領域の開拓
第1節  エネルギーの供給確保と多目的利用に貢献する原子力開発


昭和48年10月に発生した第4次中東戦争後,OAPEC加盟国によつてとられた石油産出制限及び価格のつり上げは,エネルギー源の大半を中東諸国からの輸入石油に依存している日本,ヨーロツパ諸国をはじめ,依存度の低いアメリカそしてインドなどの開発途上国にいたるまで少なからず影響を受けエネルギー危機を体験した。このため,各国では日曜ドライブ禁止,電力の使用制限など厳しい規制措置がとられ,我が国においてもエネルギー節約の措置がとられている。

現実となつたエネルギー危機によつて,人々はエネルギーが社会発展の物的基盤としてきわめて重要なものであるということを改めて確認した。

これまで我が国のエネルギー供給の主力を担つてきた石油などの化石燃料には,このような供給上の不安,価格上昇,資源の枯渇,大量輸送及び大量備蓄の困難,大気汚染などの深刻な問題があるため増大するエネルギー需要を今後とも化石燃料のみで賄うことはかなり困難になるのではないかと考えられてきた。

これらの点で比較的問題の少ない原子力は,今後のエネルギー供給の大宗を担つていくものと期待されている。このような要請に応じていくためには,とりわけ原子力の安全を確保し,環境を保全する技術の確立がより一層望まれるが,安全・環境問題については,原子力発電の増強等の原子力開発利用の進展に対応して一層重視して研究開発を進める必要があり,科学技術庁は安全・環境関係予算として昭和49年度予算において前年度の倍額の10,053百万円を計上することとしている。

また,国は,発電所周辺地域の住民の安全福祉向上を図り原子力発電等電源の開発を積極的に推進するため,特別会計制度の新設をはじめ,立地促進のための諸施策による原子力発電の推進に多大の努力を払つている。

原子力には,このようなエネルギーとしての利用のほか,放射線の利用が,疾病の診断治療,食品照射,公害の監視等,国民生活の質の向上を図るための広範な分野で進められており,現在では欠くことのできない重要な技術となつている。

このように原子力が経済活動をはじめ国民生活の広い分野で利用されるようになるに伴い,原子力施設の設置に対する反対運動や日本分析化学研究所における測定データねつ造事件等により国民の間に不安感が増す等原子力開発利用にかかわる環境の保全,安全の確保等の問題が一部に社会問題化する傾向がある。原子力が,長期にわたつて国民生活の向上に大きな貢献をしていくためにはこのような社会的な問題も早急に解決しつつ進めていくことが必要である。


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