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第1部  社会発展基盤の強化と拡大のために
第2章  資源・エネルギー基盤の強化
第5節  森林の多面的機能の増進
3  研究開発の動向


以上のような観点から取り組まれている研究開発の動向を

1) 森林の持つ公益的機能の維持増進のための技術
2) 省資源化技術,未利用樹種の資源化技術,残廃材の再利用技術等の資源高度利用技術
3) 木材資源の培養技術

に分け概観する。


(1) 森林の持つ公益的機能の維持増進のための技術

国土保全の面では,現在,予防治山技術の開発が中心に進められており,台風や集中豪雨などによる被害を未然に防止するための危険流域,危険地域の判定法,樹根の山崩れ抗抵力の解明等の研究や海岸防災林,内陸防災林の適正配置を目指した山地防風地帯の配置法等の研究が行われている。このほかでは,荒廃地復旧のための経済的な治山工法の研究が進められている。

水資源のかん養の面では,水需要の増大に対処するための水源かん養林の機能,適正配置及び水資源かん養工法の研究が進められている。

環境保全的な面では,農林漁業の機能の評価と増進に関する研究(本章第4節参照)が行われている。


(2) 資源高度利用技術

木材についての省資源技術としては,近年,製材部門においては,歩留まり向上の見地からX線,超音波による原木内部の欠点探知とコンピュータを利用した配材,木取り判断技術の向上等の研究が行われている。このほかにも木材製品の耐用年数を延長するための複合加工技術等の開発が行われている。

残廃材の利用については,これまでも一部,木材チップ,ファイバーボードの原料,土壌改良材,燃料等に用いられてきたが,今後は,残廃材を完全に利用し,原木の100%有効利用を目指した技術開発が望まれている。

また,国内材の未利用材については,間伐材の利用が現在の課題となつており,間伐材等の利用技術の開発が行われている。

外材の未利用材については,南洋材の未利用樹種及び小径木の利用技術の開発が重要となつている。未利用南洋材については,林業試験場を中心に合板技術,積層材及びパルプとしての利用の研究が,また,小径木については,パーティクルボード及びファイバーボードの原料として利用する研究がそれぞれ行われている。

更に木材に替わるものとしては,鉄,アルミニウム,セメント,プラスチック等が挙げられるが,近年,資源の有効利用と環境問題の解決という観点から,パルプ廃液のスラッジを建材として利用するための技術,アルミニウム製錬で排出される赤泥を軽量骨材化する技術等の開発が行われている。


(3) 資源培養技術

森林の持つ公益的機能の維持増進を考慮しつつ,木材資源の増大を図るために資源培養技術の確立は重要な課題となつている。

木材資源の土地生産性の向上は,育種,種苗,更新,森林保護等の個別技術の開発を基礎として,その土地に合った樹種,品種等の選択,これら個別技術の最適組合せなどによつて初めて可能となる。

育種,種苗については,成長量増大のための育種方法の開発,育苗期間の短縮のための無床替,遺伝質の良い苗木を確保するためのサシ穂の貯蔵,発根促進等の諸技術の開発,更には,耐寒品種系統の選抜及び耐病樹種の交配試験が行われている。

更新については,成長量増大のための幼令林施肥及び成木施肥,マツ類等の天然更新の促進並びにヒノキ林の増産等に関する諸技術の開発が行われている。

森林保護については,生物の生理・生態的性質を利用した生態的防除法,天敵を利用した生物的防除法が注目され,これら防除法と化学的防除法との有機的な組み合わせによる総合的防除技術の体系化に関する研究が行われている。

また,近年西日本一帯に激害を与えているマツの枯死は,マツノザイセンチュウという線虫の一種による萎凋性の病気であり,この線虫はマツノマダラカミキリにより媒介伝播されることがつきとめられ,このことに基づいた予防技術の研究開発が進められている。

更新から伐採までの体系的技術としての施業技術については,大径木を確保するため長伐期施業,土地生産力を維持し環境を保全するための非皆伐的な森林施業,生産性を高めるための高密度路網による施業等の開発が行われている。


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