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第1部  社会発展基盤の強化と拡大のために
第2章  資源・エネルギー基盤の強化
第5節  森林の多面的機能の増進
1  現状と問題点


世界の森林は,総面積3,779百万haで,陸地の約30%を占めている。その林相は,約3分の1が針葉樹で約3分の2が広葉樹となつており,針葉樹林の80%以上は,ソ連,北米に,また広葉樹林の大部分は,南米,アフリカ及びアジアに分布している。世界における蓄積量は,2,378億m3で,中南米,ソ連及び北米に世界の約90%がふ存しており,ソ連,ブラジル,アメリカ,カナダの4か国に偏在している。

世界における木材の用途を見ると,製材,パルプ,合板等への利用が増大しているが,なお,発展途上国を中心に,燃料としての利用も約40%を占めている。

世界の木材需要は,経済発展,更には人口の増大に伴い増加傾向にある。すなわち,FAOの資料によると,1961年から70年までの年平均増加率は22%となつており( 第1-2-12表 ),遠からず他の資源と同じように,世界的に不足する資源となることが見通されている。

第1-2-12表 世界における産業用丸太その他主要林産物の需要増加率(年平均)

木材需要を地域別にみると,北米,ヨーロツパ,ソ連及び日本の需要量が多く,特に,ヨーロツパ及び日本においては蓄積が少ないにもかかわらず需要量の多いのが注目される( 第1-2-21図 参照)。

第1-2-21図 世界の森林資源(森林面積,蓄積量及び消費量)

一方,近年,都市問題,環境問題等に関連して森林の有する国土保全,水資源のかん養等の公益的機能が重要視され,森林の保全,他の土地利用との調整等が主に先進国において大きな課題となつている。


(木材資源の安定的確保に関する問題)

我が国の木材需要は,昭和47年には,108.6百万m2 に達し,40年から47年までの年平均増加率は5.9%で世界平均の約3倍と高率である。これに対し国産材の供給は,停滞しており,外材が年々増大傾向にある。外材依存率は,昭和40年に26.3%であつたものが,47年には58.3%に達し,56年には63%に達するものと予測されている( 第1-2-22図 参照)。このような供給量の過半を占める外材の中で,フイリッピン,マレーシア連邦,インドネシアからのラワン材が全体の42%を占め最も多く,次いで米材30%,ソ連材17%となつており,これらが輸入量の約86%を占めている。また我が国における木材輸入は,その4分の3が丸太の形で行われており,この数量は世界の丸太貿易量の約65%に相当している。

第1-2-22図 我が国における木材需要の推移と外材依存率

しかしながら,我が国の丸太輸入は,必ずしも楽観し得ない情勢下に置かれている。すなわち,近年輸出国であるアメリカ,カナダにおいては,自然保護あるいは国内の木材関連工業を保護,育成する立場から,丸太輸出の禁止あるいは規制の強化を進めつつある。また,フィリッピンをはじめとする発展途上国にあつても,自国に木材加工業を育成しようという気運が強まつている。価格の面でも,近年著しい上昇がみられる。

一方,前述のように国産材の供給は,資源的制約,林道等生産基盤整備の立ち遅れ,農山村労働力の減少等我が国林業における構造的問題などにより停滞している。また,国土の68%を占める森林資源をより健全により豊かにすることが,木材供給の増大のみならず,森林の持つ公益的機能の向上の点からも要請されている。

以上のように,安定的に外材を確保するための施策を講ずることとともに,我が国の潜在的な土地生産性を最大限に活用すべく,各種技術開発に基づく生産基盤の整備を図ることが急務となつている。


(森林の持つ公益的機能の維持増進に関する問題)

我が国の森林は,戦後の復興,高度経済成長政策等その時々の要請にこたえ,木材生産の場としてその機能面が重視されがちであつた。しかしながら,近年,生活用水や工業用水の増大,宅地開発によるスプロール化等から生じる洪水,土砂くずれ等の危険性の増大,環境汚染の深刻化,更には都市化の進展による“みどり″へのあこがれなどから,森林の持つ水資源のかん養,国土保全,環境保全,レクリエーションの場の提供等の公益的機能の維持・増進に関する要請が従来に増して高まつてきている。これらの要請に対処するには,基本的には,健全な森林の造成,維持を図ることであるが,森林の持つ各種の機能への要請は,その立地条件により様々であるから,それらを的確には握するとともに森林施業技術の確立を図り,森林の持つ多面的機能を国民福祉の観点から総合的に増進させることが重要となつている。


(木材資源の有効利用に関する問題)

森林資源は更新可能な資源であるが,樹木の成育に数十年の年月を要し,世界的な不足が見通されることを考えれば,木材についても有限な資源であるとの認識に立ち,その有効利用が図られなければならない。このような観点から,木材の生産利用の実態を見ると,例えば製材業においては,昭和30年代の労働力の不足,賃金の上昇等に対処するため,省力化を重視した機械化等が進められてきたが,木材資源の有効利用の面での配慮は必ずしも十分とはいえなかつたといえよう。

したがつて,木材の生産利用の全過程を通じた有効利用システムの開発が必要である。これは単に資源の有効利用にとどまらず環境汚染対策としても重要である。

なお,木材の生産利用の過程で発生する様々の残廃材については, 第1-2-13表 の例に示すような種々の利用方法が研究されている。

一方,海外に眼を転ずればまだ利用方法が確立されていない南洋材が豊富に存在しており,これらについても内外からその有効利用が望まれている。

第1-2-13表 残廃材の利用方法


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