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第1部  社会発展基盤の強化と拡大のために
第2章  資源・エネルギー基盤の強化
第1節  エネルギー源の多様化と有効利用
1  現状と問題点



(消費量の増大と不安定な供給構造)

産業活動はもちろんのこと,国民生活の維持向上にとつてエネルギーの安定確保は不可欠である( 第1-2-1図 参照)。

第1-2-1図エネルギー流動図(昭和47年度)

我が国のエネルギー消費量は急激に増え続けてきた。すなわち,石油換算で昭和37年度の1億500万klから,昭和47年度には3億2,000万klと約3倍に増大した。その年平均伸び率は約12形で,同じ期間の世界全体のそれ(約5%)の約2.4倍である( 第1-2-2図 参照)。この結果,我が国は既に1970年には,アメリカに次いで自由世界第2位のエネルギー消費国となつた。

第1-2-2図先進諸国のエネルギー消費の増加状況

これを消費部門別に見ると,我が国の場合 第1-2-1図 に見る通り,工業部門の割合は約60%に達しており,アメリカの約30%,西欧諸国の40%前後(いずれも1970年)と比較して飛び抜けて高くなつている。このように工業部門を中心に増加し続ける需要を満たす過程で,我が国の一次エネルギーの海外依存度は急速に増大し,昭和30年度には24%であつたものが,昭和47年度には実に86%に達しており, 世界でも非常に高いグループに属している。


注)世界主要国のエネルギー海外依存度を1970年の数字で見ると,アメリカは約10%,西ドイツ,イギリス約45%,フランス約70%,イタリア約80%である。

この間,我が国の一次エネルギー供給に占める各エネルギー源の割合は, 第1-2-3図 のとおり,石油は20%から75%,石炭は49%から17%,水力は21%から6%,原子力はゼロから0.7%と各々推移している。

第1-2-3図 一次工ネルギー供給構成推移

現在一次エネルギー供給の大宗を占めている石油はほとんど輸入されており,その8割を中東地域に頼るようになつた( 第1-2-4図 参照)。

第1-2-4図 我が国の原油地域別,国別輸入 比率(昭和47年度)

このような石油を中心とする一次エネルギー供給構造の上に,1960年代からの我が国は世界に比類なき急速な経済の拡大を遂げてきた。

しかし,昭和48年10月の中東戦争を契機としたアラブ石油輸出国機構(0APEC)による石油の生産及び輸出の削減並びに石油価格の大幅引上げは世界的なエネルギー危機を引き起こし,我が国においてはその影響は産業活動,国民生活のすみずみまで及び,このような我が国のエネルギー供給構造の限界を明らかに示すことになつた。

この背景には,石油資源を保有する開発途上国自体が,石油資源枯渇に至る前に石油資源に依存しなくともその国民の生活を可能とする産業構造を建設する必要性を認め,石油資源をはじめとする天然資源はまず自国のために開発,利用,処分すべきものであるという主張,いわゆる天然資源に対する恒久主権の主張を実行に移し始めたことがある。

更に石油資源の偏在と上記のような産油国の資源ナショナリズムの高まりとを背景として,大消費国間の石油獲得競争の激化が予想され,現在の世界の最も主要なエネルギー資源である石油を今までのように安価に欲しいだけ入手できる時代は終えんしたといえる。

そればかりでなく,それほど遠くない将来,石油資源の枯渇という問題に我々は直面するであろう( 第1-2-1表 参照)。

第1-2-1表 世界の原油,天然ガスの埋蔵量,と生産量と可採年数

すなわち,石油の確認埋蔵量は約870億kl (1970年),同年の世界生産量は約27億klであつたので,年間生産量がそのままとしても可採年数は約33年である。しかし世界各国のエネルギー消費量は国民総生産が増大するにつれ増加する傾向にあるので,石油生産の年平均伸び率をローマ・クラブ「成長の限界」の中で述べられている3.9%とすると,それは20年となる。更に地球上の石油の究極埋蔵量を7,000億klと推定し,その全てが採取可能と仮定しても, 今後50年で枯渇することになる。 石油ばかりでなく,天然ガスも 第1-2-1表 によれば可採年数は約50年となつている。


注)ただし,埋蔵量はある時点における科学技術水準,価格水準等に規定されるので,今後の知見の拡大,技術の進歩,価格の上昇等により,更に増加するものと考えられる。またオイル・シェール,タール・サンドのような含油資源も開発対象となろう。したがつて石油可採年数も実際には上述の計算のように単純なものではないが,有限であることに間違いはなく,将来,石油資源の枯渇という問題は無視できないことは事実である。


(環境汚染)

一方,エネルギーについては量の問題ばかりでなく,質も問われる段階になつている。

我が国の人口1人当たりのエネルギー消費量は先進諸国に比べて低いが,平地面積当たりのエネルギー消費量は著しく大きく,1970年にはアメリカの8倍以上,イギリスの2倍以上と世界でまれに見る高さとなつている( 第1-2-5図 参照)。

第1-2-5図 先進諸国の平地面積当たりのエネルギー 消費量の推移

このような高密度のエネルギー使用に伴つてSOx, NOx等による環境汚染が進行し,地域によつては人の健康や自然の生態系に悪影響を及ぼす事態が現出している。このことはエネルギー供給産業立地に制約を加え,電源立地等については,大気汚染,温排水等の環境への影響あるいは景観との不調和等を理由とする地元の反対により逐年困難の度を増している。中でも原子力発電については,特に安全性の問題を中心に発電所立地予定地域での住民の反対運動も起こり,建設計画が遅延する傾向にある。また,石油の輸入基地,精製基地,備蓄基地等についてもその立地が次第に困難になつてきている。

このほか,自動車の排気ガスや民生部門でのエネルギー使用に伴う環境汚染問題も起きている。


(低いエネルギー利用効率)

第1-2-2表 は各国の国民所得1,000ドル当たりのエネルギー消費量(1970年)であるが,この表から見ると我が国は比較的効率的にエネルギーを使用しているが,まだ多分に改善の余地が残されていると見ることができよう。例えば火力発電においては,燃料の持つエネルギーの約40%のみが電力に転換され,残りの60%は排熱として自然環境に放出されている。更に転換された電力は一部が発電所自身でも消費され,また送電線,配電線でロスが発生するので,未端の利用量は燃料熱量の35%程度になつている( 第1-2-6図 参照)。

第1-2-2表 国民所得1000ドル当たりエネルギー 消費量(1970年)

第1-2-6図電力供給体系


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