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第1部  社会発展基盤の強化と拡大のために
第1章  科学技術に課せられた役割
第2節  科学技術の取り組むべき課題
2  新領域の開拓


資源や環境の有限性への対処や国民生活の質の向上を図るためには,既述のように,核エネルギーの開発利用,放射線の医療や産業への利用等を目指す原子力開発,海洋における豊富な資源・と広大な人間活動空間の開発利用等を目指す海洋開発及び宇宙の諸現象の科学的解明及び通信,放送,気象観測,地球観測等への宇宙空間の利用を目指す宇宙開発など,新領域の開拓が要請されている。

原子力は,エネルギーの安定的確保の鍵を握るものとして,その開発に大きな期待が寄せられている。これにこたえるためには,軽水炉による発電の一層の推進を図るとともに,核燃料の有効利用につながる新型転換炉の研究開発を強力に推進することが必要である。更に,ウラン資源の利用効率が著しく高く,かつ温排水の放出量が比較的少ない高速増殖炉は将来の国産の安定した大規模なエネルギー源として期待されており,現在の実験段階から更に実用化を目指して研究開発を推進することが強く要請されている。

更に,原子炉の熱エネルギーを発電だけでなく,地域冷暖房,海水淡水化,更には製鉄,化学工業のプロセスのための熱として利用するなど,エネルギーの有効利用と新技術の創造のための多目的利用を図る研究開発が要請されている。

これらの原子力の開発利用を拡大していくためには,大量の核燃料の安定的確保を図る必要があるので,ウラン資源の探査,ウラン濃縮,核燃料再処理などの技術開発が極めて重要である。

将来,化石燃料の枯渇に備えて人類をエネルギーの制約から解放するものとして期待されている核融合については,高温プラズマの閉じ込め技術などの格段の研究開発が要請される。

更に,原子力についてはエネルギーとしての開発面だけでなく,放射線の利用に見られるように医療技術,食料の生産や貯蔵及び工業面での利用においても大きな期待が寄せられている。

以上,原子力の開発利用を推進していくだめに不可欠の課題は,原子炉の信頼性の一層の向上,放射性廃棄物の処理処分,放射線の管理並びにこれらの影響のモニタリングなどに関する徹底的な安全の確保及び環境保全を図ることであり,このための研究開発を進めることである。

包蔵する資源の種類,量の点から見て資源の宝庫といわれる海洋の開発は,資源問題解決に大きく寄与することとなろう。特に,海洋生物などの蛋白食料資源,石油,天然ガス資源,マンガン団塊等の海底鉱物資源,海水溶存資源,更には海洋エネルギーなどの開発について,期待が寄せられている。

海洋開発は,これらのほかに海洋スペースを産業活動の場,生活空間などとして多面的な利用を可能にするものとして期待されている。

一方,宇宙開発については,増大する通信需要を賄う上で大きな役割を果たす通信衛星,難視聴解消等に貢献する放送衛星,台風,集中豪雨をはじめさまざまの気象情報の飛躍的な高精度化をもたらす気象衛星等人工衛星の開発が強く要請されている。また,地球観測衛星の利用は,地上調査では困難な広域の資源探査又は環境観測を一時にしかも容易に繰り返して行うことが可能であり,これによつて得られた情報は,土地開発利用,水資源・農林水産資源の開発,環境保全,災害防止等多くの分野への活用ができる。したがつて,これは今日的課題である資源・環境問題等の解決という点でも大きな期待が寄せられている。


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