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第1部  社会発展基盤の強化と拡大のために
第1章  科学技術に課せられた役割
第2節  科学技術の取り組むべき課題
1  資源・エネルギー基盤の強化


既に述べたように,我が国の今後の社会発展のための基盤を固めるためには,資源・エネルギーの有効適切な利用と安定供給の確保を環境保全を図りつつ実現していくことが極めて重要である。この重大な課題達成のため,科学技術が大きな役割を担うことが強く期待されている。

エネルギー問題解決のためには,エネルギーの合理的利用,安定供給の確保及び環境汚染防止のための技術の開発が要請されている。

エネルギーの合理的利用に関する技術としては,エネルギーの輸送効率及び転換効率の向上を図る技術,各分野におけるエネルギー消費節約のための技術の開発とその適用の拡大並びに原子炉の多目的利用,熱併給発電等による熱利用効率の改善があげられる。更には,新たな利用体系として水素エネルギーシステムの開発が要請されている。このようなエネルギーの合理的利用に関する技術は,熱汚染等の環境問題を少なくするという意義を併せ持つている。

安定供給の確保に関してまず重要な課題は,できるだけ多量の石油を代替できる確実なエネルギー供給源の確保である。この課題の達成のためには,原子力が中心をなすものと考えられるので,当面は,現在実用化されている軽水炉型の原子力発電の推進が必要である。このためには,立地確保のための施策を講ずるとともに,非常用緊急炉心冷却装置の研究や異常出力上昇等の防止といつた原子炉のより一層の安全性の向上のための研究開発及び放射性物質の放出の低減に関する研究,低レベル放射能の生体に対する影響等環境の保全に万全を期するための研究開発が必要である。

また,核燃料の利用効率を飛躍的に高めることができる高速増殖炉等の新型動力炉の研究開発が必要であり,更に核融合に関する研究開発を一層推進していくことが要請されている。

また,エネルギー源の多様化を図るため,海底石油資源の開発のための探査,掘削,採油技術の研究開発,石炭のガス化,液化等の新利用技術,地熱,太陽熱の利用技術などの研究開発が必要となつている。

一方,脱硫,脱硝技術等環境汚染防止技術の一層の研究開発が強く要請されている。

鉱物資源においては,資源使用量を節約する技術,比較的高価な既利用資源を豊富でしかも低価格の他の資源に置き換える代替技術,バクテリアリーチングによる銅の回収に見られるような低品位鉱の利用技術,各種未利用資源の資源化技術,更には廃棄物の回収・再利用技術などの開発が要請されている。

一方,鉱物資源の生産,利用に伴う大気汚染,水質汚濁等に対処するための科学技術としては処理処分技術及び廃棄物の資源化技術をはじめ環境保全と資源有効利用を総合化するクローズド・システムの開発,更に環境を元の状態に戻す修複技術の開発が重要な課題となつている。

食料の安定的確保のためには,育種技術,地力培養技術,栽培管理技術など農業生産の基本的諸技術を発展させるとともに,農業の機械化,装置化のためのシステム技術や生産予測技術などの経営管理技術の研究開発を進めて生産規模拡大による農業経営の,安定化を図る必要がある。

また,蛋白食料資源の供給拡大を図るためには,家畜の飼養技術,漁ろうや増養殖の技術など畜産水産の基本的な諸技術の向上のほかおきあみ,深海魚などの末利用資源の開発,利用に関する技術の向上も要請される。更に,家畜の多頭飼育や食品加工等に伴う環境汚染の防止技術の研究開発も重要な課題となつている。

森林資源に関しては,森林植生の研究,優良品種開発のための育種,森林に対する多面的要請に応ずる造林の方法等資源培養の基本となる技術の研究開発が要請されるとともに,林道開設,伐採,造林等の森林の体系的管理のための総合的な技術開発が重要となつている。また,木材の有効利用のための造材・製材技術及び他材との複合利用等に関する技術及び南洋材の未利用樹種や残廃材の利用技術の研究開発が重要となつている。

また,食料資源や森林資源に関する科学技術は,積極的に自然環境の維持・培養を図るという課題をも与えられている。すなわち,緑豊かな農地や森林は,国土保全,水資源のかん養,レクリエーションの場の提供,野生鳥獣の保護,環境の保全等の公益的機能を有しているので,農林業の公益的機能の維持・増進のための研究開発が要請されている。例えば,森林資源について見ると,防災林,水源かん養林等の最適配置の研究や治山技術等の研究開発が重要となつている。

水資源は,気象等の自然条件によつて季節的,場所的に変動が大きく,また,利用分野間での繰返し利用がなされている資源であるので,水資源問題の解決は,上流域の森林資源の整備を図るとともに,利用分野間の調整,水質汚濁による環境悪化や洪水防止などを考慮して総合的に解決していくことが重要である。

したがつて,かんがい,発電,水の再利用,広域的な上水道,下水道等の諸システムや,更には気象,水文,利水等に関する情報システムの開発を進めるとともに,それらの成果を包摂した地域全体としての水の有効利用のための水資源管理システムを開発することが要請されている。


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