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第3部   政府の施策
第4章  科学技術振興基盤の強化
5  国際協力の推進


科学技術は高度の文化・福祉国家の形成・発展や南北問題の解決のための不可欠の要素であり,自国における振興はもとよりその国際協力による振興も強く要請されているところである。わが国においても,国際的地位の向上に伴い,以下に述べる諸国際協力の積極的な推進を図り,広く科学技術における国際協力の充実に取り組んでいる。

まず,国際機関等を通ずる協力をみると,次のとおりである。

国連については,1972年4月にUNCTAD(国連貿易開発会議)が開かれ,開発途上国に対する技術移転を円滑に進めるため,活発な討議が行なわれた。

また,第52,53回経済社会理事会において,開発のための科学技術問題を扱う科学技術常設委員会のマンデートが正式に採択され,1973年から活動を開始することが決定された。

さらに,1972年6月には,ストックホルムで第1回国連人間環境会議が開かれ,人間環境の保全・向上を図るため,科学技術の利用を含む広い視野から討議が行なわれた結果,人間環境宣言および107にのぼる勧告が採択され,環境基金の設置勧告が決議された。UNESCOでは,「人間と生物圏」事業計画(MAB),国際水文学10年計画(IHD),政府間海洋学委員会(IOC)による事業等政府間共同調査研究事業を推進しており,わが国は積極的に協力している。IAEAとは日仏,日豪両原子力協定の発効に伴い,それぞれ所要の保障措置協定を締結した。

国連宇宙空間平和利用委員会では,宇宙損害賠償協定について作成作業を行なつてきたが,1971年11月,国連総会で採択され,1972年9月,その発効をみた。

国連海底平和利用委員会では,海の国際法等の広範な問題を審議するため,1973年に開催を予定している第3回海洋法会議の準備にあたつているが,その結果は今後の海洋開発に大きな影響を及ぼすことが予想され,わが国としても慎重に準備作業を進めている。ECAFE(アジア極東委員会)では,1972年3月,第28回総会を開き,開発のための化学技術の適用を大きく取り上げ,技術移転なとの問題について討議を行なつた。

OECDについては,1971年10月,「社会のための科学技術」という主題のもとに開催された第4回科学大臣会議の諸成果をふまえ,具体的な科学技術活動を展開していくため,1972年2月,科学政策委員会が発展的に解消され,その活動領域を拡大した科学技術政策委員会が新たに設置された。本委員会は活動の中心を社会サービス部門を含む諸分野における技術革新の促進,政策研究および社会科学活用の研究ならびに技術の管理と運営に重点を置くこととしている。また,環境委員会では,科学技術的アプローチを含めた広い視野から環境問題を検討している。

OECDNEA(OECD原子力機関)は,従来のENEA(欧州原子力機関)を,その加盟国の拡大に伴い1972年5月に改組して設けられたものである。

わが国は,従来,ENEAへ準加盟国として協力を進めてきたが,新たにOECDNEAの正式加盟国となり,その活動全般にわたり積極的な協力を進めることとした。

欧州宇宙研究機構(ESRO)については,宇宙開発技術協力に関する協定締結のため,作業を進めている。

アジア科学協力連合(ASCA)は,アジア地域内の各国が定期的に会合し,科学技術協力について意見を交換し,域内の開発を図ることを目的としており,1972年3月にフィリピンで開催された設立第1回会議において正式に発足をみた。第2回会議は,1973年3月に東京で開催され,各国の研究機関の提けいを促進することが合意されるなど科学技術協力の具体化に向つて第1歩が踏み出された。

このほか,FAO/WHO 国際合同食品規格委員会,ASPAC(アジア太平洋閣僚会議),科学技術サービス登録機関,アジアエレクトロニクス会議等に積極的な参加・協力を行なつた。

ついで,二国間協力をみると,次のとおりである。

全体的にみて,ここ両年,ひん繁に西欧先進諸国,東欧諸国および開発途上国からわが国への視察団の派遣や科学技術協力協定締結への申し入れが行なわれたが,これは,わが国との科学技術協力の拡充を望む各国の姿勢の現われと考えられる。

以下,具体的に,わが国と各国との協力状況を述べる。

アメリカとの協力では,UJNR(天然資源の開発利用に関する日米会議)において,行政的ニーズに対応した課題については主として両国の国立試験研究機関を中心として協力を行なうこととしているが,現在,エネルギー海洋,農林水産等にわたつて19の技術的部会が設けられ,その協力はきわめて広範多岐にわたるものとなつており,活発に活動が進められている。1972年10月,第5回事務担当官会議が開催され,問題点の検討などが行なわれた。原子力開発については,日米原子力協定が締結されているが,わが国における原子力発電の急速な進展に対処して濃縮ウランの確保を図るため,供給枠を拡大する取り決めを交換した。また,1972年12月,原子炉安全審査に関する日米専門家会議が開催され,意見の交換が行なわれた。宇宙開発については,宇宙開発協力に関する交換公文によりすでに協力が進められているが,新たに衛星打上げ援助の申し出があり,検討することとしている。また,アポロ計画に続くポストアポロ計画へ参加の要請があつたが,宇宙開発委員会にポストアポロ計画懇談会を設置し,その可能性について,慎重に検討を進めている。

海洋開発については,海洋開発に関する協力活動の調整のために設置されている海洋工学調整委員会の第3回会合が開催され,協力の推進について検討を行なつた。

これらのほか,科学協力に関する日米委員会,公害に関する日米閣僚会議等を通ずる協力を推進している。

ソ連との協力では,1972年1月,ソ連外相来日の際,日ソ間における科学技術協力に関する協定について話し合いに入ることが合意され,現在双方で協力内容の検討が進められている。

フランスとの協力では,1972年2月,日仏原子力協定が締結され,技術の交流,資材,設備の供与等が行なわれることとなつた。

オーストラリアとの協力では,1972年2月,日豪原子力協定が締結され,天然ウランの対日供給等が行なわれることとなつた。

韓国との協力では,1972年4月,第3回科学大臣会談が開かれ,材料研究,原子力の平和利用,農業技術の研究等広い範囲にわたつて科学技術協力を行なつていくことが合意された。

以上のほか,各国との研究者や専門家の交流,イギリス,カナダ,スウェーデンおよびメキシコからの調査団等の受入れ,調査団や科学アタッシェ(科学担当書記官)の派遣による科学技術情報収集や国際協調の促進等,科学技術における国際協力の推進に努めた。


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