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第3部   政府の施策
第2章  政府機関等における研究活動
2  特殊法人研究機関等の研究活動


特殊法人研究機関等の研究活動は,主として政府からの出資金,補助金および民間からの出資金によつて進められており,国立試験研究機関と並んで政府の研究活動の一環として考えられるものである。

特殊法人研究機関等は,広く人材を結集しうること,弾力的な運営が可能であること,民間資金の導入が可能であることなどから,目的指向的な研究開発を効率的に推進するのに適しており,研究開発課題がますます大型化,複雑化し,システム的な取組みが必要とされる今後においても,大きな役割を果たすことが期待されている。

研究開発を目的として設立された特殊法人研究機関に対する政府の出資金および補助金の推移は, 第3-19表 に示すとおりであり,Nロケット計画および新型動力炉開発の本格化を反映して,宇宙開発事業団および動力炉・核燃料開発事業団に対するものがそれぞれ大幅な伸びを示しているのが注目される。

また,これらの研究開発を目的とする特殊法人研究機関のほか,日本専売公社,日本電気計器検定所,日本国有鉄道,日本電信電話公社,日本放送協会などの特殊法人は,研究開発を主目的とする機関ではないが,それぞれの業務を遂行する上で必要な種々の研究開発を進めている。

以下,昭和46年度および昭和47年度を中心として,特殊法人研究機関等における研究成果について,その概要を述べる。

第3-19表 特殊法人研究機関に対する政府出資金および補助金の推移 (単位百万円)

(1) 日本原子力研究所

〔原子炉の開発〕

新型動力炉について,高速臨界実験装置において高速原型炉の部分モックアップによる臨界実験を行なつたほか,ナトリウムインパイルループの炉外試験を終え,JRR-2に組み込んだ。

軽水炉については,動力試験炉の出力倍増のため,動力試験炉の出力上昇試験および各種特性試験を進めた。ハルデン炉による燃料照射については,燃料の照射後試験を行なつた。

ヘリウムループについては,高温技術試験を完了し,これらをもとにさらに大型ループの設計,製作を進めた。

核燃料および炉材料については,被覆粒子燃料,耐熱金属材料および黒鉛材料等の試験研究を進め,有用な知見を得た。

〔安全性研究〕

原子炉事故については,軽水炉冷却材喪失事故試験装置(ROSA)による実験を進め,また,緊急炉心冷却装置(ECCS)の仕様をまとめた。さらに,反応度事故実験装置(NSRR)の設置準備を完了した。

〔核融合,ウラン濃縮〕

核融合研究では,中間ベータ値トーラス磁場装置(JFT-2)によるプラズマ閉込めの実験を開始し,比較的長時間のプラズマ閉込めに成功した。

また,これとともに,高安定化磁場装置の設計を進めた。

ウラン濃縮では,ガス拡散法について隔膜の高性能化を進め,また,軸封供試体の長時間連続試験を行なつた。

〔放射線の利用〕

内部線源型試験装置によるエチレンの放射線重合,ポリ塩化ビニルおよびポリエチレンの放射線改質等について開発試験を進め,多くの成果を収めた。

また,食品照射研究では,ばれいしよ,玉ねぎ等の放射線保蔵試験を行ない,有用な知見を得た。

さらに,アイソトープの利用では,放射化分析公害調査技術の研究を進めるとともに,アイソトープ電池の開発を進め,多数の成果を得た。

(2) 理化学研究所

〔原子核〕

宇宙線については,内外における観測により宇宙線の強度変化と宇宙空間の状態の関連などについてデータを得た。

原子核については,新放射性同位体Y-81の発見等の成果を得た。核融合については,クラスターイオン源の開発のため所要の装置を開発した。

〔物性物理〕

結晶構造自動解析プログラム,新磁性体および超微粒構造磁性体の作製技術ならびに血栓の起こらないアクリル樹脂処理テフロン人工血管の開発などの成果を得た。

〔応用物理〕

プラズマジエット溶接機の実用化,超高精度陰極線管の開発,ホログラフィ干渉法による変位振動解析法の開発等を行なつた。また,北西太平洋および日本海における底層流の測定等を行ない,データを得た。

〔基礎工学〕

振動切削法の改良,イオンビームスパッター加工装置の試作,新設計理論による軸流分子ポンプの実用化,イオンビームによる半導体への不純物注入法の開発等を行なつた。

〔無機化学〕

サイクロトロンを用いて,F-8等医学の面で重要な放射性同位元素の製造技術を確立した。ウラン濃縮については,隔膜製作のための研究を行ない,データを得た。

〔有機化学〕

松やにからの新甘味物質合成の研究を行なつた。また,イソプレンの直接重合法については,工業的実用性を確認した。

〔生化学〕

DNAを特異的に切断・再結合する新酵素の発見,高アルカリ性環境中で活性を持つ新分解酵素の発見などの成果を得た。また,炭化水素系発酵などに有望と考えられる菌の分離,新原理によるその養培装置の開発等を行なつた。

〔農薬〕

公害のおそれのないアミノ酸系農薬の発見,新休眠物質バリダジンの発見などの成果を得た。また,生きた植物体内の物質変化状況を追跡する植物診断器の開発など生体を対象とした測定・解析法,測定・解析機器の開発を行なつた。

(3) 日本原子力船開発事業団

〔原子力船〕

原子力船「むつ」は,昭和46年11月,原子炉ぎ装を終了した。この工事と並行して一部機器,系統の機能試験を行なつたが,さらに昭和47年1月から全系統の総合的な機能試験を実施した。実施した機能試験は約40項目に及んでいるが,その主なものは,1)原子炉内の水の流れ分布を調べる流動試験,2)制御計装回路の配線,信号等を調べる制御計装シーケンス試験,3)主冷却系をはじめ各系続に常温の水を通して各機器の作動状況を調べる冷態機能試験,4)運転状態と同じ温度,圧力まで昇温,昇圧し,各機器の機能を調べる温態機能試験である。これらの機能試験によつて,原子炉の性能を確認し,「むつ」の原子炉は昭和47年8月に完成した。

一方,核燃料については,核特性を調べる試験を行なつたが,「むつ」の原子炉完成に伴い,昭和47年9月,原子炉に装荷した。装荷の後,原子炉の蓋しめ等出力試験に備えて原子炉の整備工事を行なつた。

(4) 動力炉・核燃料開発事業団

〔高速増殖炉〕

実験炉については,構造機器開発のため,総合試験装置,ポンプループ等によるナトリウム中試験および模擬炉心の燃料集合体のナトリウム中耐久試験等を行なつた。原型炉については,第2次および第3次設計,炉物理実験,燃料照射等を進めた。蒸気発生器については,ナトリウム・水反応試験および小型(IMW)蒸気発生器試験を行なつた。

〔新型転換炉〕

原型炉の部品機器の製作のため,各種の試作を行なうとともに炉物理実験および燃料集合体の伝熱流動試験を実施した。

また,燃料材料については,試作燃料集合体の照射試験および1,000時間耐久試験を行なうとともに,燃料集合体の試作,検査,炉外試験を行ない,成果を収めた。

〔遠心分離法によるウラン濃縮技術の開発〕

遠心分離機の高性能化をめざし,装置の標準化設計を進めるとともに,回転胴開発のため,カーボン繊維など各種材料の腐蝕,防食試験を行ない,多くの成果を得た。また,UF6の輸送機,流量計,油圧計等の関連機器の開発などカスケード理論の解析を行なつた。

(V) 宇宙開発事業団

〔人工衛星〕

技術試験衛星1型は,熱モデルによる熱真空試験を終え,構造モデルによる機械環境試験を行なつている。

これらの試験結果は,現在進められているプロトタイプモデルの設計に活用される。

電離層観測衛星は,プロトタイプの設計・審査を終了し,サブシステムの製作を終え,電気的かみ合せを行なつた。

〔ロケット〕

Nロケット上段部の各主要サブシステムについて試作試験を行なうとともに,ロケット全段の設計を進めた。とくに,第2段エンジンの開発について,高膨張エンジンを試作し,NASAにおいてその地上燃焼試験を行ない,成功を収めた。また,第1段の機体およびエンジンの製作に着手した。

上段部の推進系や誘導制御系の技術試験などを目的とした試験用ロケットについては,詳細設計を進めるとともに,第1段の製作に着手した。

〔人工衛星の追跡〕

昭和47年8月に科学衛星「でんぱ」が東京大学鹿児島宇宙空間観測所から打ち上げられ,宇宙開発事業団はこの追跡を行なつた。

この追跡では,わが国で開発された角度測定併用ドップラ周波数測定方式を用い,本事業団の勝浦電波追跡所,沖縄電波追跡所および東京大学鹿児島宇宙空間観測所の3か所で得られた追跡データを本事業団筑波宇宙センターに集中して軌道計算を行なつた。

〔ロケットの打上げ実験等〕

誘導装置・とう載電子装置等の開発を目的としたJCR型ロケット7号機を昭和47年2月に,液体ロケットエンジンの開発を目的としたLS-C型ロケット6号機を昭和47年9月に,それぞれ種子島宇宙センターから打ち上げた。

JCR型ロケット7号機では,テレメータ装置により諸項目のデータを取得するとともに地上のコマンド送信機とロケットとう載受信機とのリンク試験を行ない,所期の成果を得た。

LS-C型ロケット6号機では,飛しょう環境におけるエンジンの機能,性能の確認を行なつた。

また,筑波宇宙センターにおいては,衝撃試験機,振動試験機,姿勢検出試験設備等を使用してロケットおよび人工衛星の各種開発試験を行なつた。

(6) 海洋科学技術センター

〔シートピア計画〕

飽和潜水技術による30m海中居住実験研究を実施した。これは,海中作業基地システムを用い,高圧環境下での人体の生理および心理ならびに海中作業について実験研究を行なうものであるが,昭和47年8月,田子港海域において深水30mの海底で4名の潜水技術者が約48時間の海中居住に成功し,また,多くの資料を得た。

〔潜水シミュレーターの建造等〕

50気圧までの高圧環境を模擬することのできる潜水シミュレーターの建造研究を実施し,多数の知見を得た。シミュレーター本体については,構造材料,溶接加工等に検討を加え,詳細設計を行ない,建設に着手した。中央管制装置については,生命維持のための環境制御方式の検討および各種機器の性能試験を実施し,安全性を認めた。これとともに,ヘリウム回収精製装置の開発を進めた。

一方,高圧実験水槽については,本体の要求性能と詳細設計の検討を進めている。

(7)日本専売公社

〔たばこ〕

新製品開発のため,原料葉たばこの特殊加工法の開発,改善と新香料の創製を行ない,本格ブレンドタイプの新製品発売に資するとともに,パイプたばこ等商品の多様化にも資した。

国内産葉たばこの低ニコチン,低タール化対策として育成してきた黄色種緩和性新品種“MC”は,耕作試験の成果に基づいて大規模な導入が図られた。

原料の高次工業生産化を図るための新技術開発の一環として着手した新シートたばこ製造方式については,工業化試験実施の段階に達した。

また,人工たばこの開発のため,植物組織培養法(カルス培養法)の研究開発を引き続いて進め,とくに量産培養技術の面で有用な資料を得た。

国内産葉たばこの生産性向上のため,たばこ耕作における機械利用体系一貫化の確立を目途として,あぜ面被覆用移植機,幹刈収穫機を試作するとともに,施肥機および半自動収穫機の改善を行なつた。

たばこ製造の合理化を図るため,製造工場や原料工場における各種機法な械,設備および工程の大容量化,自動化,高速化,連結化ならびに品質管理どの開発,改良,実用化試験を行ない,多くの成果を得,その一部は新工場等への導入が図られている。

〔塩〕

塩の流通近代化を図るため,乾燥散塩のサイロによる貯蔵方法について研究開発を進めてきたが,生産地用大規模試験サイロの設計を終了した。

イオン交換膜法による製塩技術データと海水淡水化の技術データおよび海水,かん水,海塩などの諸物性値などを集大成し,海塩科学の研究に広い利用面を持つ海水利用ハンドブックを刊行した。

(8) 農業機械化研究所

〔農業機械の開発改良〕

稲作用機械については,動力8条湛水直播機,乾田直播機等の試作,改良を行なうとともに,自脱型コンバインの脱穀選別部の改良をおおむね完了した。

畜産用機械については,下方取出型サイロ,飼料成形機等飼料調製加工用機械の試作,改良を行なうとともに,散水ろ床による汚水処理法,固液分離機,鶏糞乾燥排ガス脱臭法等糞尿処理に関する研究を行ない,それぞれ成果を得た。園芸用機械については,そ菜用各種機械の研究を進めるとともに,りんごの収穫作業台の試作・実用化試験,さとうきび収穫機の現地導入試験を行なつた。

農業機械の安全性に関する研究については,乗用トラクターの安全フレーム,騒音および振動,穀物乾燥調製施設の粉塵の影響ならびに防除機による農薬散布の影響等に関する研究を行なつた。

このほか,農機具国営検査を農用トラクター等6機種について実施した。

(9) 日本電気計器検定所

〔電力量計等〕

電力量計の改善について,寿命因子の解明を目途として試験研究を行ない,また,長寿命計器の等価試験法および耐候試験法などに関する研究を行なう・など,その改善について研究を進め,成果を収めた。

一方,新電力量計の開発については,回転部のない電子式電力量計を試作し,実用化試験を行なつた。また,定格電流200Aの大電力用単独計器および検針省力化のための電力自動販売機(コインメータ)等の開発について,各開発者に対し技術指導を行なつた。

〔電気計器の試験法等〕

高周波電力の精密測定のため,50〜60Hz用交直電力比較器の使用範囲を可聴周波数までに拡大するため,所要の研究を行ない,成果を得た。また放射線計測における超高抵抗の精密な測定を行なうため,超高抵抗測定装置の測定範囲拡大を目途として研究を行ない,見通しを得た。

このほか,微小駆動トルクをデジタル式に読み取る計測器の開発および電気計測に関する各種プログラムの開発を行なつた。

(10) 日本国有鉄道

〔超高速鉄道の開発〕

超高速鉄道のガイドウェイ,支持,案内,駆動,ブレーキ,車両構造,車両の運動,車両の空気力学,電力供給および列車制御の各サブシステムに分けて研究を推進した。このうち,車体の支持および駆動については,回転型試験機による実験に続いて直線型ガイドウェイを設置し,車上の超電導マグネットと地上の常電導コイルにより浮上させてリニア交流インダクションモーター(車上1次)およびリニア交流シンクロナスモーター(地上1次)により駆動させる方式の試験車を用いた特性実験を行ない,実用化の見通しを得た。また,これとは別方式の支持と駆動を同一コイルで行なうリニア直流サイリスタモーターについても,その有用性を確認した。

〔全国新幹線の技術開発〕

新幹線の250km/h運転については,著大輪重と周期的横圧を防止するための台車の改良と軌道の改善を行ない,山陽新幹線における試験運転において最高速度286km/hを達成した。

雪害対策については,高速における空転や滑走の防止,自力走行除雪,フランジウェイの結氷除去および積雪時の走行安定性などについて現車試験を行ない,所要のデータを得た。

列車制御の自動化については,コンピュータ進路制御方式を山陽新幹線に採用し,成果を得た。また,信号現示の中央制御および車上のコンピュータによるプログラム運転制御について試験を行ない,その実用化の見通しを得た。

さらに,非常時,異常時の列車群管理に必要な指令所内外の諸情報について,その解析に必要な手法(CDPA法)を開発した。

〔在来線の高速化〕

曲線区間を高速走行するため,台車を振子構造とした試験電車の走行試験によつて,25km/hの速度向上が可能なことを確認した。また,曲線でかじとりを行なわせる装置の実験を行なつた。

〔貨物輸送の近代化〕

貨車ヤード自動化の研究については,武蔵野ヤードを総合自動化ヤードとするため,車両計数器,連結機,自動解放装量等各種機器の開発を進め,所期の成果を収めた。

パイプライン輸送については,1本のパイプで多品種の石油を連続輸送する特殊性を考慮し,パイプの防食,溶接,輸送制御および保安について研究を進め,多くの成果を得た。

〔省力化等〕

出改札業務の自動化について,武蔵野線を対象として,システム面の開発のほかに自動改札装量等各種機器の開発と実用化試験を行なつた。

バラストレス軌道構造については,コンクリート路盤上のA型スラブ軌道を山陽新幹線に敷設して走行試験を,また土路盤上のRA型スラブ軌道を東海道新幹線の一部などに敷設して走行試験を行ない,良好な結果を得た。

このほか,保線作業や車両検修作業の機械化,電気設備や車両の設計,保守の近代化等について研究を推進し,それぞれ成果を収めた。

〔安全の確保〕

貨車走行安全性については,実物貨車による脱線実験および車両運動シミュレーターによる実験によつて車両やガードなどの脱線防止対策法を確立した。

異常時における併発事故防止については,運転関係業務員が異常事態にも冷静に対処しうるよう,事故種別ごとに適用可能なチェックリスト(事故処置行動順序表)を作成した。

このほか,踏切事故防止対策,災害防止対策,運転保安体系および車両,地上設備の信頼度向上などについても研究を推進し,多くの成果を得た。

〔労働の科学〕

乗務員が運転作業から受ける生理的負担と疲労度を作業別に把握するため,意識水準自動測定装置を開発した。

また,職員高令化による作業能率の低下を防ぐため,労働体力の現状把握に必要な測定手法を開発した。

(11) 日本電信電話公社

〔電子交換〕

データ・画像交換,全世界自動即時通話等の機能を持つ試験用大局用電子交換機については,46年12月から商用試験を開始したが,さらにこれを基本として開発した商用電子交換機は,47年6月,サービスを開始した。

なお,これらと並行して中小局電子交換方式および遠隔制御電子交換方式の実用化を進めた。

〔データ通信〕

データ通信については,多数の端末装置から通信回線を通して中央の電子計算機を共用する情報処理システム(DIPS計画)の実用化を進めた。本公社の標準大形情報処理システムは,47年10月から現場試験を行なつており,48年度から商用試験に入る予定である。

〔画像通信〕

テレビ電話機の機能,性能の改善を進めるとともにテレビ電話用宅内集線装置,受付電話装置の実用化を進めた。また,テレビ電話機に各種情報を表示させるのに必要なテレビ応答装置,光学表示装置の試作等を行なつた。さらに,テレビ会議方式について実験装置を試作し,武蔵野-水戸間において実験を行なつた。

〔入出力機器〕

小型,軽量で使い易く,拡声受話,可視表示などの新機能を付加した小型電話機や従来のものの約3分の1に小型,軽量化された100ビット/秒キーボードプリンタおよび高速データ伝送用としての小型,経済的なラインプリンタの実用化を行なつた。

また,データ入力の省力化のため,度数計指数読取装置の実用化を行なつた。

〔伝送方式〕

通信の需要増,将来の新サービスおよび通信網の信頼性向上をねらい,各種通信方式の実用化を進め,多くの成果を収めた。

PCM伝送方式については,新平衡ケーブルによるPCM-100M方式や大容量無線PCM伝送に準ミリ波帯を使用する20GHz帯デジタル方式の実用化を進めた。また導波管線路を用いたミリ波デジタル伝送方式の実用化を推進した。

〔部品,材料〕

ミリ波用ダイオードの高周波化,高出力化の研究を進め,80GHz帯で200mWを超える出力の得られるシリコンインパットダイオードを試作した。

光通信に使われる書換えが可能な光メモリの新しい記録材料としてアモルファス半導体の薄膜が有望なことを見いだした。また,レーザー光を用いた光情報処理システムの研究を進め,大容量メモリとして35mmロールフィルムを使い,情報の書込み,検索,読出しを連続的に高速で行なえるシステムの実験に成功した。

(12) 日本放送協会

〔カラーテレビジョン〕

取材用カラーカメラを中心として研究開発を進めた。カラーカメラの取材機能向上のため,小型3管式カメラの設計を行ない,信頼度等の向上を図つた。また,1,500mまで延長できるカメラケーブル延長装置を開発した。さらに機動性を向上させるため,カメラヘッド内にカメラ制御機能を組み込んだカラーカメラを試作し,実用性を確認した。

画質の向上等をねらいとして,ガラス半導体を使つた新型撮像管の開発に成功し,単管式のハンディー形カラーカメラを試作した。

〔受信障害防止,受信改善〕

各地で視聴環境の変化が発生しており,この対策としてテレビジョンのゴースト防止に有効な受信アンテナを開発した。

カラー画質改善の面では,市販受像機の安定度等について性能調査を実施し,その向上に貢献した。一方,各種試験装置を開発して,民間放送を含む放送局の画質評価試験を実施し,放送画質の統一を図つた。

〔衛星放送〕

衛星放送システム設計に関する検討を進めたが,とくに映像,多チャンネル音声伝送システムの研究を行ない,ATS-1号衛星による折り返し伝送実験を実施して本方式の有効性を確認した。

受信機関係についてはトランジスタ化した簡易低雑音受信機について研究を行ない,所期の成果を得た。

高仰角電波伝搬については,降雨との関連を解明した。

〔新しい放送方式の開発〕

テレビ放送やFM放送にファクシミリ信号を多重する方式について実験を進め,現行放送との両立性を確かめるとともに記録紙に印刷するほか蓄積形表示管を利用する新しい番組伝送技術を開発した。

静止画による超多チャンネルテレビ放送については,受信側で必要な磁気ディスクを開発したほか,静止画像のカラー化や音声伝送方式の改良を進めた。

大画面,高精細度を目標とする高品位テレビについて,視覚評価実験を進めるとともに,放電形表示パネルによるテレビ画像の表示実験に成功した。

〔その他放送技術改善の研究〕

磁気録画装置のサーボ機構のデジタル化,録画テープやヘッドの記録密度向上,スタジオやホールの音響設計,小形接話マイクロホンの開発などを行なつた。

〔視聴科学〕

将来の放送方式開発の基礎として,人間の視覚系における色対比現象の基本的傾向,単眼での奥行知覚(立体知覚関連),眼球の随従運動のメカニズム,中心視および周辺視の役割などに関する研究を進め,多くの知見を得た。

また,連続音声中の母音識別メカニズムの研究,視聴覚刺激に対する神経系の応答パターンの検出と解析,両眼視差抽出機構や音声の特徴抽出機構の電子回路モデル化などに関し多くの成果を得た。

〔光・磁気に関する物性〕

格子欠陥制御の技術により,半導体結晶材料の性能向上を図るため,格子欠陥直視装置の改良と観測手法の向上に努めるとともに結晶内部での温度条件と転位の動的挙動との関連を明らかにした。

また,レーザー光の放送への応用を目標とした研究を行ない,知見を得た。


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