ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第2部   科学技術活動の動向
第5章  国際交流の動向
2  二国間協力活動
(2)  先進諸国との協力


先進諸国との協力活動は,アメリカとの愛だで協定や共同声明等の形態によるものが活発に展開されてきており,その協力分野は,先進諸国共通の原子力利用,天然資源の開発利用,環境問題,宇宙開発,海洋開発,交通問題等多方面にわたつている。

アメリカ以外の協力国としては,フランス,西ドイツ,イギリス,カナダ,オーストラリア等の国があり,主として原子力利用の面で交流が行われているが,近年では,カナダのように定期的に意見を交換することのできる科学技術に関する国際会議の設置を要望するところもあり,原子力利用以外の分野での協力も活発化しつつある。

以下,日米間の協力活動とその他先進諸国との協力活動について,その動向を述べる。


(1) 日米協力

科学協力に関する日米委員会は,科学の一層の発展のために両国の科学者が直接に自然科学の全分野について相互協力を行うことを目的としており,わが国では科学技術庁および文部省(日本学術振興会)が,またアメリカ側では国立科学財団(NSF)がその調整,管理,助成にあたり,着実に成果をあげ,科学協力の方式として高い評価を得ている。この協力活動は,運営の便宜上,第2-35表に示す8部門に分類されて行われており,基礎研究分野の協力に重点が置かれてるのが特色である。

第2-35表 科学協力に関する日米委員会の研究協力の分野

昭和46年7月に開かれた第11回本委員会においては,著名科学者交流制度の手始めとして生物学分野から交流を進めることが決定したほか,新しい協力分野として環境問題を取り上げることを検討することになつた。

天然資源の開発利用に関する日米協力計画(UJNR)は,行政的ニーズの観点から協力を進めるものであり,第2-36表に示す19の技術専門部会と1つの委員会を中心に研究協力が実施されている。1971年9月の第6回本会議では,長期人材交流の拡充,たん白資源部会,新エネルギー部会の再組織化による強化などについて合意され,さらに,1972年10月の第5回事務担当官会議では,協力事業の現状に関する評価,検討ならびに協力上の問題点の明確化および解決の方途について打合せが行われた。同時に海洋開発分野の協力活動の調整のため設けられている海洋工学調整委員会の第3回合同会議も開催され,潜水技術分野の活動の具体化,各部会間の交流の強化など,協力の推進についての検討が行われた。

公害に関する日米閣僚会議は,両国の環境担当官僚が環境問題の解決のための日米間での協力について協議を行なうものとして,1972年に発足した。

第2-36表 UJNR専門部会の組織

1971年5月にアメリカで行われた第2回会議で合意に基づき,閣僚会議のもとに技術部会として,下水処理技術,固形廃棄物処理技術の2委員会が設置され,活動を始めてる。

日米運輸専門家会議は,日米両国における共通の各種交通問題について,相互に情報交換をしたり,共同で調査研究を行つてその解決を促進しようという趣旨から,1969年の設立以来毎年会合を開催しているが,1972年6月,の第5回総会では,大都市における公共交通期間の利用促進,道路の建設・管理における騒音防止対策海上交通管制システムおよび海上大量流出油の防除方法の開発および超高速鉄道の開発等について協力が図られた。

日米医学協力委員会は,アジア地域の保健に関する分野における協力活動として,コレラ,らい,低栄養,寄生虫疾患,結核およびウィルス性疾患を取り上げ,これら疾患に関する研究成果を評価しているほか,がん,奇型およびその他の異常を引き起こす環境汚染を研究する新しい部会を設置し,この計画を今後一層充実させていくことが決定している。

原子力分野では1971年着工分までの動力炉に必要な燃料をアメリカから供給を受けることとなつていたがいたが,その後の原子力発電の進展に伴い,1973年着工分までの動力炉用濃縮ウランの追加供給を受ける必要が生じた。このため,1972年2月,供給枠を拡大するための取りきめを交換した。また,1972年12月,原子炉安全審査に関する日米専門家による会議が開催された。

宇宙開発の分野においては,1969年「日米宇宙協力に関する交換公文」に基づく技術協力を進めるとともに,日米協力会議をわが国で開催した。また,1972年6月,わが国の気象衛星計画調査団が欧米を訪問し,わが国において気象衛星を開発する場合の技術協力の可能性等について調査した。このほか,わが国は,アメリカのポストアポロ計画に対する参加協力の可能性について,慎重に検討を進めている。


(2) 西欧諸国およびカナダとの協力

近年,わが国の科学技術水準の向上が次第に各国に認識されてきたことを反映して巨大科学技術,環境科学技術等の分野における協力協力活動がイギリス,フランス,などの西欧諸国およびカナダとの間で進展しようとしている。イギリスとの協力では,1972年4月,英国科学技術調査団が訪日し,原子力,宇宙開発,環境,電子計算機,航空機,高速輸送,がん対策等の分野における協力の可能性を打診した。今後イギリスとの間での協力が活発化するものと期待されている。

フランスとの協力では,原子力分野の協力に関して,書簡の交換を行い,各種研究協力を進めてきたが,1972年9月に日仏原子力協定が発効し,原子力の平和利用にかんして,両国間で専門家および情報の交換,核燃料等の資材,設備および施設の供給または受領ならびに役務の提供等を行うこととなつた。

また,宇宙開発の分野では,わが国の第2号科学衛生「でんぱ」のデータのフランス国立宇宙センター(CNES)による受信,ESROの衛星TD-1のデータの郵政省電波研究所による受信等,相互の協力を行なつた。

西ドイツとの協力では,1967年以来,定期的に科学担当大臣会談を開催して協力を行なつてきているが,とくに環境,ライフサイエンス,原子炉安全,海洋研究等の協力分野を明確にし,具体的な協力を進めるべく,両国間で検討を行なつている。

カナダとの協力では,1972年3月,ギレスピー科学技術大臣を団長とする科学技術使節団が来日し,科学技術関係者との間で科学技術協力に関する意見の交換が行なわれ,環境,宇宙,海洋等の分野で継続的に情報交換を行なうことに合意した。また,日加両国の協力を調整,促進するため,政府間で定期的に会合するよう努力することとなつた。

以上の欧米諸国のほか,オーストラリア,ソ連との間でも協力活動が活発化している。オーストラリアとの間では原子力協定が1972年7月に発効し,原子力の平和利用に関して両国間で専門家および情報の交換,核燃料等の資材,設備および施設供給または受領ならびに役務の提供等を行なうこととなつた。ソ連との協力では,1972年1月グロムイコ外相が来日した際,日ソ間で科学技術協力に関する取りきめ締結の話合いに入ることが合意された。これを受けてソ連側より対日科学技術協力協定案が示されており,現在検討中である。

このほか,フランス,西ドイツ,イタリア,スウェーデン,ソ連,オーストリア,メキシコなどから相つぐ調査団の訪日に対して,原子力,宇宙といつた特定の分野にとどまらず,多分野にわたつてこれらに対応するわが国の科学技術協力のあり方が検討されている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ