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第2部   科学技術活動の動向
第5章  国際交流の動向
1  国際機関のにおける活動
(1)  国際連および専門機関



(1) 国際連合

国連の科学技術活動は経済社会理事会(ECOSOC)の総括のもとに,各種専門機関を通じて進められている。とくに,近年,南北問題の解決に大きな鍵となる開発途上国援助,全地球的視野で解決にあたる必要がある環境問題などに関する活動が積極的に展開されており,最近,前者に関して開発のための科学技術常設委員会が,後者に関して環境計画管理理事会及び環境事務局が設立された。

まず,開発途上国援助では,国連開発計画(UNDP),国際貿易開発会(UNCTAO),国連工業開発機構(UNIDO)などを中心に技術協力が行われている。国連は1960年代の「国連開発の10年」に引き続き,1970年代を「第2次国連開発の10年(UNDDII)」とし,国際開発戦略を決定して開発途上国発展のために新たな展開を図つている。この国際開発戦略においては,開発における科学技術の役割を重視し,開発途上国自身の研究費の支出努力目標をGNPの0.5%と設定するとともに開発国に適した科学技術の育成や移転に先進国が協力することを要請している。

これと関連して「開発への科学技術適用のための世界行動計画」が国連の開発への科学技術適用諮問委員会(ACASTD)により,1971年7月ECOSOCに提出され開発のための科学技術常設委員会において検討中である。さらに,この計画案に基づき地域計画の策定も進められており,アジア地域についても「開発への科学技術適用のためのアジア行動計画」の検討が進められている。

次に,環境問題では,1972年6月にストックホルムで「国連人間環境会議」が開催され参加各国がこの問題に対して全地球的に取り組むことの必要性を確認し,人間住居問題,天然資源管理の環境的側面,国際的汚染物質の把握と規則などについて論議を行なつた。さらに,「人間環境宣言および行動計画」に関する勧告の採択,「環境基金」などの創設の勧告決議が行われ,環境問題に対する今後の国際協力の基盤がつくれられた。その後,同年12月の国連総会では,人間環境宣言にうたわれた諸原則を確認するとともに,国連が扱う計画の基本方針を設定する環境計画管理理事会や「環境基金」が正式に設置され,また,施策の調整・実行にあたる環境事務局をナイロビ(ケニア)に設置する決議等が採択されるなど,国連における環境問題は実行段階に入つた。

さらに,原子力開発,宇宙開発,海洋開発の分野の科学技術についても,それぞれ,国際原子力機関,宇宙空間平和利用委員会,海底平和利用委員会において協力活動が進められている。

原子力利用に関する活動の大部分は国際原子力機関(IAEA)で行われており,わが国は理事国として,総会,理事会等の各種会議に代表を派遣してその活動に積極的に参加するとともに,IAEAへのフェローシップの提供等技術援助の実施,国際原子力情報システム(INIS)への参加等によりIAEAの事業活動に貢献している。また,1972年7月,日豪原子力協定の発効とともにIAEAへ保証措置を移管するため,IAEA,オーストラリアおよびわが国との間に保証措置協定が締結された。続いて,1972年9月,日仏原子力協定の発効に伴い,前記と同様の保証措置協定がIAEA,フランスおよびわが国との間で締結された。

宇宙空間平和利用委員会関係では,宇宙損害賠償協定に関する審議が完了し,1972年9月に協定が発効している。このほか宇宙空間に打ち上げられる物体の登録問題,宇宙の定義問題等についての審議が継続されたほか,新たにソ連から提出された月条約についても審議を行つたがいずれも結論をうるに至らず,引き続き審議されることとなつている。さらに,1972年の総会で衛生からの放送を規制する直接放送衛生に関する条約案がソ連から提出され,今後,検討されることとなつた。また,わが国は1974年3月頃に,教育用放送衛生に関する会合を招請することとしている。

海底平和利用委員会は,発足当初の42か国から現在の91か国に増加し,また,その扱う範囲も深海底だけではなく海洋問題一般に拡大してきている。現在は,深海海底開発の制度と機構,大陸棚,国際漁業等の既存海洋法の諸問題,海洋汚染,科学調査などの海の国際法関連の課題を協議するため1973年から1974年にかけて開催が予定されている第3次海底法会議の準備作業を行つている。その動向は今後の海洋開発とも深いかかわりがあり,注目されている。

その他,科学技術面の関連する国際協力機関としては,政府間海事協議機関(IMCO),国連食糧農業機関(FAO)などがあり,これらの機関でも最近とくに汚染防止,海洋環境保全の問題が大きく取り上げられてきている。


(2) 国連教育科学文化機関(UNESCO)

ユネスコ自然科学関係の事業としては,1)科学政策,科学情報および基礎研究,2)科学教育および技術教育,技術研究,3)環境科学および天然資源研究の3つが主なものであり,これらの事業は政府間共同調査研究事業および「第2次国連開発の10年計画」を中心として逐次活発化している。まず,科学政策では科学技術に関する地域別大臣級会議の開催,科学政策の立案に関する情報交換,研修および研究の推進,研究体制の整備に関する加盟国援助などの事業を進めている。なお,開発への科学技術の適用の問題に関しては,開発への科学技術適用諮問委員会(ACASTD)および地域経済委員会との協力を継続して行つている。

科学情報では世界科学情報システム(UNISIST)について検討が進められてきたが,1971年10月,「UNISIST設立のための政府間会議」が開催され,1973年から,UNISISTの事業を開始することとなつた。この事業の目的は,世界の科学技術情報サービス機関間の協力により科学技術情報の国際的流通を円滑しようとすることにあり,わが国もこれに参加することが予定されている。基礎研究では,国際学術連合会議(ICSU)など多数の国際学術団体に対して補助金などの支出をしており,また,国際理論物理学センター(トリエステ)の運営,ラテンアメリカ生物科学センター(カラカス)等地域研究センターとの協力事業のほか,多部門脳研究,細胞および分子生物学,微生物学,コンピュータ科学等の分野において研修,研究を促進するための事業を実施している。なお,わが国は,1972年,協力事業としてアジア地域の発酵工学発展に寄与することを目的とした発酵工学研修コースを大阪大学工学部において実施した。

環境科学および天然資源研究は「人間と生物園」事業計画(MSB),国際水文学10年計画(IHD),政府間海洋学委員会(IOC)の諸事業など政府間共同調査事業が行われているが,これらはいずれも人類の環境としての地球および資源の実態を明らかにし,全地球的な立場から天然資源の合理的利用と保全を図つていくための科学的基礎を提供しよとする長期的,計画的な事業計画であり,ICO総会,IOC執行理事会,IHD調整理事会,MAB国際調整委員会などの政府間会議によつて国際的調整が行われている。


(3) その他

エカフエ(ECAFE)では,社会経済の発展に対する科学技術の役割の重要性が強く認識されているが,これを反映して,1972年の第24回産業天然資源委員会および第28回エカフエ総会において,開発に対する科学技術の適用という問題が主要議題として取り上げられた。このため,わが国では前記総会でこの問題に対して積極的協力の意図を表明した。また,人口問題の解決には,科学技術の活用,資源の総合的有効利用が重要な意義をもつているが,このような諸問題を含む広汎な検討を行うため,1972年11月,第2回アジア人口会議が東京で開催された。

世界気象機関(WMO)では,世界気象観測(WWW),地球大気開発計画(GARP)などの計画を他機関との連携の上に推進している。1972年10月,東京で第6回海洋気象委員会,海洋技術会議が開催された。


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