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第1部   希望にみちた社会をめざす科学技術
第3章  資源の有効利用に取り組む科学技術
第2節  資源の現状と技術開発の動向
6  廃棄物の資源化



(1) 現状と問題点

わが国の経済規模の拡大に伴つて資源の使用量が飛躍的に増大し,それにつれて排出される廃棄物の量も激増し,質も複雑化している。加うるに,包装材や宣伝文書のはん濫,流行や販売増加のためのモデルチェンジなどは,一層廃棄物の増大をもたらしている。

一方,在来からある廃品回収業,古物商などの回収ルートは,労働力の不足や経済性の喪失などにより次第に崩壊し,今では,市販された生活物質の大半は,回収利用されることなく,そのまま都市ゴミとなつて排出されている。

国民1日1人当りのゴミ排出量は,昭和38年に613gであつたものが45年には921gとなり,50年には1,200gになると予想されている。

すでに,東京,大阪等の大都市では1,OOOg/人・日を越えるゴミが排出されるようになつており,全国で1出こ排出される生活廃棄物は約85,000トンに達し,とどまることなく増え続けている。

生活様式の高度化は,ゴミの質的変化をもたらしている。なかでも特徴的なことは,耐久消費財による大型のゴミが多くなつたことと廃プラスチックが増加したことである。とくに廃プラスチックの量は著しく増加し,東京都区内を例にとると,昭和40年当時,ゴミ組成の4.3%を占めるに過ぎなかつたが,44年には9.71%に達しており,今後ますます増加する傾向にある。プラスチックは腐敗せず,燃焼すれば有毒ガスを発生するものがあるなど廃棄物処理上の問題となつている。

一方,産業廃棄物は,その発生源がきわめて複雑多岐にわたり,実態を把握することさえ難しい状態にある。

科学技術庁資源調査所の調査によれば,製造原単位などからみた最近の主要産業廃棄物の発生量は,おおよそ年間39,000万トンに達している。廃棄物の業種別の発生量および種類別発生量は 第1-34図 のとおりである。

第1-34図 廃棄物の業種別・種類別発生量

このほか,有機水銀やシアン化合物のように微量であつても人間生活,環境保全に著しい悪影響を及ぼすものもある。

このように増え続ける廃棄物によつて起こる諸問題の解決に対しては,当面する処理対策も重要であるが,さらに根本的な対策として廃棄物の再生利用を図ることの必要性が強調されはじめている。


(2) 技術開発の動向

近時公害問題をはじめとした廃棄物問題が顕在化し,科学技術庁資源調査会が44年11月に,廃棄物の合理的利用が必要であることを示した「廃棄物の処理体系に関する報告」を発表したこともあつて,各方面で廃棄物の資源化利用に関する研究開発が行なわれるようになつた。

通商産業省工業技術院では,昭和47年度から都市廃棄物を対象とする「資源再生利用技術システムの研究開発に関する調査」に着手し,10年後を目途に技術システムの開発を開始した。また,48年1月には日米廃棄物処理委員会が開催され,廃棄物処理に関する情報交換を行なうこととなつた。

現在,各分野で進められている主な資源化技術には,産業排水の工業用水化,パルプ廃液の有効利用,廃溶剤の回収利用,プラスチック廃棄物の有効利用,排煙脱硫副生品の有効利用,各種農産物加工排液の有効利用,都市ゴミの乾留・熱分解による燃料ガス化等の技術がある。また,廃棄物の処理システムの開発という面からは,廃棄物の排出,収集・輸送,事前処理,再生処理の各段階ごとに,それぞれ,区分排出法の検討,新輸送手段の開発,再生処理と関連した形での破砕,分別技術の開発,焼却熱の利用方法や副生品の利用に関する研究開発が行なわれているとともに,これらプロセスのシステム分析,システム設計およびそのシミュレーションが行なわれている。

以下,これらのうち,最も開発が望まれるものについて述べる。

(1) 廃棄物の収集・輸送技術

現行の廃棄物の処理体系においては,収集・輸送に係る経費が全処理コストの8割以上を占めている。また,すでに多くの都市では,在来のトラックによる収集・輸送方式が限界に達している。このため,効率的な収集・輸送の手段としてスラリー輸送,真空パイプ輸送,ベルトコンベア輸送,コンパクタートラック輸送の導入や運行系統へのコンピュータ制御の導入について検討が行なわれている。

(2) 都市廃棄物の資源化技術

資源の海外依存度の高いわが国においては,資源の有効利用を達成する意味からも,都市ゴミの資源化にかける期待は大きく,国や各地方自治体,公害防止産業等で研究開発が進められている。

各方面で進められている都市ゴミの資源化は,ゴミ中の鉄,アルミニウム等はそのまま金属資源として,乾燥ゴミ中の大半を占める紙,木屑,繊維はちゆうかいパルプ原料として,厨芥類は他のゴム,プラスチック等の有機物とともに熱分解して燃料ガス,軽質油として,陶器くず,砂石類等不燃物は各種建築材料として利用する方向で研究開発が進められている (第1-35図)

第1-35図 都市ゴミ中の資源再生利用技術システムの例

(3) プラスチック廃棄物の資源化技術

プラスチック廃棄物は,生産,加工の過程から排出されるものと,流通,消費の過程で排出されるものとによつて異なつた資源化の方法がとられている。前者については,組成もほとんど均一なものが多いところから,溶融しかいてペレット化し,再利用されている。後者については,種々の雑芥と混合された形で収集されることが多く,分別に手間がかかり経済的な分別がほとんど不可能なことから,焼却処理の際の熱利用や粉砕し他の製品への充てん剤として利用するなどの方法がとられている。

また,最近有望視されはじめているものに,廃プラスチックの熱分解による石油還元がある。これらの方法と内容をまとめると 第1-23表 のとおりとなる。

第1-23表 廃プラスチック有効利用技術の体系


(4) 廃棄物の広域的,総合化処理

廃棄物の収集,輸送,処理の合理化やスケールメリットをねらつて,各地で廃棄物の総合化処理の試みが行なわれはじめている。

これは,異種プロセスや企業間で廃棄物の相互利用や資源化を図つたり,広域的に同種廃棄物を集めて廃棄物資源化産業の成立を図る一種の廃棄物コンビナートによる資源化処理であり,通商産業省工業技術院では47年度からクローズド・プロセス技術の開発に重要技術研究開発事業の一環として着手し,地方自治体,業界団体等でも調査研究がなされはじめている。大阪府では,これに関して大阪産業廃棄物処理公社が設立されている。

研究開発の方向は,生産プロセスの総点検や生産プロセスの改変などによる生産ロスの減少と収率の向上,廃棄物の相互利用による廃棄物の無害化,副生品化を図ることから,廃棄物を全く出さないクローズド生産システムの開発に向かいつつあり,廃棄物問題解決の理想的手段として,その実現が期待されている。


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