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第1部   希望にみちた社会をめざす科学技術
第2章  国民生活に密着した課題に取り組む科学技術
第3節  社会基盤の強化
3  通信の高度化


(1) 現状と問題点

社会・経済の進展に伴つて,情報・知識の流通が社会活動のあらゆる領域で重要な役割をもつようになつている。通信は情報を迅速,的確に,伝送し処理する重要な手段となつてきている。

電信,電話にはじまり,ラジオ,テレビジョンを加えたこの分野の発達は,これまで社会・経済の進行段階に応じてよくその発展に寄与し,むしろこれを推進する役目を果たしてきた。

この情況をまず電気通信についてみると,大戦によつて壊滅的打撃を受けたわが国の電気通信設備は,経済成長がもたらす膨大な通信需要とめざましい技術革新とによつて今日世界的な優位にたつ発達を遂げ,これによつてわれわれはさまざまな情報流通の便利さを享受することができるようになつた。このことは,この10年間における電気通信の諸指標の伸びがよくものがたつている (第1-16表)

第1-16表 電気通信の伸び

さらに,最近は通信回線と電子計算機とを結んだデータ通信サービスが発展を遂げ,電子計算機の利用が進展している。また,国際通信の面でも通信衛星の商用化が軌道にのり,市内電話と同程度の明りょうさで地球の裏側とも通話することができ,ダイヤル即時通話も可能となるまでに至つている。

しかしながら,依然として電話の需要は多く,47年度末においても約200万個が積滞しており,また一方では次のような新たな問題が生じてきている。

第1に,社会・経済の複雑化と広域化に伴う情報の伝達・処理の効率向上の要請である。とくに従来の音声を主体とした通信のほかに,人対機械,機械対機械の通信,すなわちデータ通信,画像通信などの需要が生じつつあることである。

第2に,急激な社会条件の変化に対応してさらに公害防止,生活環境の整備,流通機構の合理化,教育,医療の充実等の見地から電気通信サービスの高度化と多様化の要請が高まつていることである。

第3に,人間の情報に対するニーズがきわめて多種多様化し,情報の選択の幅が拡大し,コミュニティ単位でのきめ細かな情報流通のメデイアの開発が要請されていることである。

次に放送についてみよう。

放送はマスコミュニケーションの有力なメデイアとして戦後急速な成長を遂げてきた。近年の放送に関する技術の発達もめざましく各種の放送形態,伝送媒体の開発が進み,われわれは変化にとんだ放送の内容を自由に選択し,楽しむことができつつある。現在,ラジオ,テレビジョン,FM放送の視聴可能地域は全国のほとんど100%に,またカラーテレビジョンの契約率は47.3%(47年10月)にまで達して,社会に広く深く浸透している。

しかし一方では,大都市における交通量等の急速な増大,高層ビルの急増は,電波障害,雑音の増大となつて放送の受信に重大な影響を及ぼしつつある。また,余暇時間の増大,生活の高度化は,現在ある放送の形態のみならず,より変化にとみ,かつ高度な質のものを要求するようになつており,積極的にこのような要求に応えていくことが望まれている。

(2) 技術開発の動向

このように通信は現在多くの問題に直面しているが,とくに国民生活に関係の深い電信電話について日本電信電話公社は,積滞電話の解消,自動化の完了などを内容とする「電信電話拡充第5次5ヵ年計画」(昭和48〜52年度)を策定し,これに備えようとしている。次に技術開発の面からの諸問題への対応の情況について概要を述べる。

(1) データ通信電子計算機を電気,ガス,水道と同様に誰もがいつでも,自由に利用できる「電子計算機共同利用」の時代に備えて,その重要な役割を果たすデータ通信サービスを提供するため,情報処理技術,データ伝送技術,データ宅内技術の3つを中心に研究開発が進められている。 また,遠隔地間の事務連絡や監視の効率化,教育効果の向上などに大きく寄与する画像通信については,映像伝送,模写伝送,心電図伝送,テレビ電話等各種の伝送方式を中心に研究開発が進められている。
(2) 通信形態の多様化各種の利用分野の要請に応じて,今後出現が予想される多彩な通信形態は経済的かつ能率的な通信網があつてはじめて達成される。このため,高度な交換処理機能をもつ電子交換機を軸とする「総合電気通信網」の形成が進められている。
(3) 有線テレビジョン(CATV)以上のような広範囲,大規模な通信網によるサービスのほかに,生活の高度化に伴つてこれに密着したきめの細かい情報流通サービスが要請され,技術的にこれを可能とするCATVが脚光を浴びている。 1つのコミュニティの中で各戸に張りめぐらされた同軸ケーブルは,大量の情報を同時に伝送することができ,情報源との対話,ニーズに応じた情報の選択などが可能となる。これによつて住民は各種の生活情報,経済情報,教育情報などを受ける一方,住民の意向調査,ガス,水道の自動検針などの情報を送ることも可能となる。この分野における将来性にかんがみ,政府においても通商産業省,郵政省が協力して生活・映像情報システムの研究開発を進めることとしている。
(4) 新しい放送技術現在ある放送形態をさらに向上する技術開発が進められる一方,生活の豊かさにつながる新しい放送形態を求めて,電子新聞などのファクシミリ放送,4チャンネルステレオ放送など多重音声放送,直接放送衛星システム,高精細度な大型画面を有するテレビジョン等について研究開発が行なわれている。 以上のように,生活基盤の改善,環境汚染と災害の防止,社会基盤の強化を図つて人間が真に豊かな生活を享受できる高福祉の社会を実現していくため,数多くの技術的課題の解決が望まれるが,これら課題の多くは公共的,かつ総合的なものであるので,国が主体となり,学界,民間の協力体制のもとに,強力な推進をすることが重要であろう。

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