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第3部   政府の施策
第4章  科学技術振興基盤の強化
6  特許制度の改善


昭和37年末以降の出願件数の急激な伸びに対して審査,審判の処理はこれに対応できず未処理滞貨は累増を続けている。他方,技術開発の進展に伴つて,工業所有権制度における迅速・的確な権利付与の必要性は一層高まつてきており,特許行政は困難の度を増している。とくに,出願内容の高度化,審査資料の加速度的増加,外国人出願の増加等への対処が急務となつている。

このような情勢のもとで,特許庁は審査官,審判官の増員,待遇改善,審査審判資料の整備,審査の機械化等の対策を講じているが,昭和46年1月には特許法,実用新案法等の一部を改正する法律が施行され,早期公開制度,審査請求制度などを新しく採用した。また昭和46年6月には特許情報の流通改善を目的とする財団法人日本特許情報センターが発足した。

一方,国際面では多数国出願手続の煩雑さと重複審査の無駄を省くために昭和45年6月特許協力条約(PCT)が調印された。

この条約によつて次のような効果があがるものと期待されている。

1) 出願人の利益

(a)1つの言語(日本語)による1つの出願を1カ所(日本特許庁)にしただけで多数国に対する内国出願としての効果を生ぜしめることができる。
(b)PCT出願をしてから各国への翻訳は優先日(優先権主張日または優先権のないときは国際出願日)から20ケ月までに提出すればよい。したがつて従来に比べて翻訳作成時期は8ケ月遅らせることができる。
(c)PCT出願をすると出願人は国際サーチレポート(希望すれば国際予備審査レポート)によつて自己の出願に対する特許可能性について一応の目途をつけることができ無駄な労力と費用を省ける。

2)特許庁の利益

(a)PCT出願には国際サーチレポート(場合によつて国際予備審査レポート)が伴われるので特許庁においてはこのレポートを参考にしつつ審査を行うことができ,審査労力の軽減をはかれる。
(b)PCT出願の方式は既に受理官庁でチエックされているので方式のととのつたものだけが来ることになる。
(C)PCT出願は出願人が国際サーチレポート等をみて選択された後なので明らかに拒絶になるような出願にかけられる無駄な審査を行なわなくてすむようになる。

また,近年各国とも外国特許資料の収集整理に追わているが,この場合各国がそれぞれ別個の分類体系を有していたのでは海外特許文献の整理のために莫大な費用および労力が必要となるので,その欠陥を除くために国際特許分類(IPC)協定が締結され,わが国も同協定に署名した。

この協定の概要は次のとおりである。

1) 統一分類の採用

協定加盟国は所定の資料に国際統一分類という統一分類を付与する義務を負う。この統一分類としては,ヨーロツパ条約で定められたものを採用する。この場合自国の分類と併記することはさしつかえない。

2) 分類を付与すべき資料

(a)特許,発明者証,実用新案,実用特許
(b)公開出願
(c)政府定期刊行物に記載された通知

3) 分類表の改正

分類を社会の変化に応じて実態に則したものとするため,5年に一度改正されることが予定されている。しかしそれは加盟国で構成する専門家委員会の多数決で決定する。


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