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第3部   政府の施策
第2章  政府機関等における研究活動
1  国立試験研究機関の研究活動
(2)  国立試験研究機関の研究成果


国立試験研究機関においては,国の要請に応えて広範な分野について試験研究を実施し,多大の成果をあげているが,以下昭和45年度,昭和46年度を中心とした,主要な研究成果について,その概要を述べることにする。


(1) 警察庁

〔毛髪〕

毛髪より個人の性別,年令などを識別することは犯罪鑑識上,重要であるが,走査型電子顕微鏡,およびX線マイクロアナライザーにより毛髪を研究し新しい毛髪の鑑識法を開発することができた。走査電子顕微鏡により男性と女性の間に構造上の差が認められ,男性では角度の強い小皮紋理が観察された。

また,X線マイクロアナライザーにより毛髪中の塩素の含有率が男性では女性の約3倍ぐらいを示した。

これらの機器による毛髪の研究は,従来の光学顕微鏡,放射化分析による研究に比し,すぐれていることがわかつた。

これらの研究方法は,毛髪のみにとどまらず,血痕,精液斑,皮膚片,骨片などあらゆる法医鑑識上の物体検査に応用することが可能となつてきた。

〔におい〕

犯罪捜査,鑑識の面で事件現場の空気や遺留建れた物資から発するにおいを分析することにより,関係者個人を識別したり,微量の揮発性物質の同定を行なう目的で基礎的な実験をおこなつた。冷却濃縮法,吸着濃縮法により得られた試料からガスクロマトグラムのパターンを比較分析する方法について検討し,それぞれ数種の動物から発するにおいの比較分析に応用したところ,動物の種類,同種動物間の雌雄の別を判別することができ,好結果が得られた。

〔初犯少年の総合的研究〕

犯罪をはじめておかした少年をどのように処遇するかによつて,再犯防止と初会防衛とに影響するところは極めて大きいため,初犯少年の総合研究を心理学,社会学,犯罪学の見地から調査し,早期発見の非行防止上の貴重な資料を得た。

〔自動車運転不適格者検出法開発に関する研究〕

これまで交通場面における事故対策の一つとして,心理的,性格的運転不適格者を抽出,指導,排除するための手法をある程度確立してきたが,さらに,多数の運転者の取扱いができるよう,従来の精密型適性検査を基礎にスクリーニングテストと称すべき簡易,普及型の開発を行ない一応の成果を得ることができた。本検査は事故傾向の有無,および,運転上の能力として情況判断力,動作の正確さ,動作の速さ,衝動抑止力,情緒安定度の検出をほぼ35分間で行ない,  3〜5分間で結果処理をすることのできるよう仕組まれたペーパーテストである。


(2) 北海道開発庁

〔寒地土木〕

災害の防止に関する研究では,積雪寒冷地における都市河川の汚濁並びに洪水災害について観測網を整備した。積雪寒冷地における道路並びに交通に関する研究では,冬季道路交通の諸問題を解決するため大型走行試験場を造成し,車両の追従試験および吹雪の実態構造に関する調査を行ない,それぞれ有効な資料を得た。また,路床の現場C.B.R調査結果から,凍土地帯における舗装構造の基準を作成した。さらに,石狩河口橋の架設に伴う上部構造の振動試験を行ない,その耐震性を確認した。寒冷地における農用地並びに施設整備に関する研究では,農地造成工法について試験研究および特殊土壤地帯の農業用水路の実態調査を行ない,それぞれ設計施工に関する有効な資料を得た。北海道における土木材料並びに施工技術に関する研究では,コンクリートの断熱保温による寒中養生について簡易化の方途を見いだし,また,火山灰盛土の締め固め度の判定方法を開発するとともに,泥炭性軟弱地盤における鋼管セル型ウエル基礎について各種振動実験を行ない,その振動性状に関する基礎資料を得た。


(3) 防衛庁

〔ガスタービンエンジン〕

軸出力500馬力の試作(41〜44年度)小型ターボシャフトエンジンについて,小型,高性能化を目標に試験研究を実施し,整備を容易にするため,圧縮機回転部,圧縮機静翼タービン回転部,タービンノズルを一体とする精密鋳造とするとともに,マッハ数の高い翼列を用いることにより,圧縮機段数を2段で圧力比を2にした。さらに燃焼器を小型にするため,蒸発効率を高めた沿面蒸発式燃焼器及びエンジン制御の柔軟性を増すため,電子式燃料管制装置を開発した。

これらの研究は,小型航空機,車両用エンジンの設計の基礎資料として,広く使用することが期待される。

〔艦艇用鋼材〕

強度が90kg/mm 2

級(耐力)の溶接性のよい艦艇用鋼材(超高張力鋼)について,鋼材の化学成分を改良し,強度や強じん性を確保しながら,溶接による材質低下が全くない新しいタイプ(ベーナイト組織)の鋼材の開発に成功した。この鋼材について強度,じん性,溶接性の諸試験を行ない,その特性を調べた結果,充分実用にたえる性能をもつていることが明らかになつた。

〔電子〕

従来のレーダ・ロウ・ビデオ表示のほか背景地図等の図形表示,漢字,平仮名,片仮名,英数字を含む文章の表示を高速のデジタル型文字発生器を併用して高速にブラウン管上に表示する独自の方式(特許46 - 13778)を考案し,汎用ブラウン管表示装置の開発を行なつた。

プログラム制御で行なう表示要素の位置決めには電磁偏向系を,文字記号短ベクトルによる背景地図等の表示には静電偏向の副偏向系を用い,1フレームあたり平均10画の漢字表示の場合500文字,地図表示の場合約1200ベクトルの表示能力を確かめた。また時間と共に表示が移動する動表示も可能である。表示文字をプログラムできる字画コード記憶部は,システムの要求に応じて自由に書き換えできる高速メモリーを用いて汎用性を高めた。

これらの研究成果は,航空交通管制用,コンピューター自動設計等の表示装置として,あるいは経管情報システム,情報検索,文章の編集校正用の表示装置として広く利用できる。


(4) 科学技術庁

〔航空〕

V/STOL機に関する研究については,実験機(フライングテストベット)による飛行試験を行ない多くの成果を得,VTOL技術の中で最も重要な遷移飛行の研究に着手できる段階まで到達した。

ジェットエンジンに関する研究については,電子式燃料制御についての資料を得るため,このような方式の制御装置を試作し,エンジン(TR100H)に装着して試験研究を行ない所期の成果を得た。

内部冷却式高温タービンの研究については,エンジンの作動温度の上昇を図り,作動温度1150°Cのタービンが実現できた。またこの成果をもとに1175°Cの試験研究に必要な供試体の製作を行なつた。

音響疲労の研究については,エンジン付近の部材のジェットエンジンの発する音響エネルギーによる疲労破損事故を防止するため,これに必要な試験装置を設計製作し,またこの装置の特性試験を行ない基礎資料を得た。

〔宇宙〕

固体ロケットエンジンの推力中断の研究については,同エンジンを試作し,地上燃焼試験を行ない基礎データを得た。

スピン燃焼の研究については,高空の環境とスピン時の状態を地上に再現して,燃焼試験を進め,設計資料を得た。

液体ロケットに関する研究については,燃焼器およびターボポンプ要素について行ない,いくつかの問題点の抽出とその改良のための試験研究を行ない実用性等の確認を行なつた。

また誘導関係の研究については,センサ系(探知機)の高精度化を進め精度のよいディジダル方式による速度,距離検出の実用化に必要な資料を得た。

〔金属材料〕

3段連続製鋼炉による連続製鋼技術に関する研究においては,12トンチャージの操業実験を行なつており,製鋼反応で重要な問題となる脱燐について約80%の成果が得られている。

また,国産金属材料について中立的立場から機械的強さの標準データを提供するため,クリープデータシートの作成を行なつており,昭和46年度中にボイラー熱交換器用鋼管6鋼種について,高温引張およびクリープ破断に関するデータ集を刊行した。

〔無機材料〕

高温半導体材料として有望視されている炭化けい素(SiC)に関する研究においては,高純度大型単結晶を合成する新しい方法を開発し,これとともに硫化鉄(FeS)に関する研究では,強磁性体,半導体特性をもつグレーギント(Fe 3

S 4

)の合成について,電気化学的手法による合成法を見出した。

また,鉛ペロブスカイト(PbMo 3

)に関する研究については,とくに高圧力下における物質研究の手段として,高圧力発生装置に用いる多重耐圧円筒体を開発した。これは今後の研究の進展に大きく貢献されるものと期待される。

このほか,炭素(c),酸化ジルコニウム(ZrO 2

)などの研究分野についても成果を収めた。

〔防災〕

筑波学園都市に建設中であつた大型耐震実験施設が完成し,各種構造物の実験・研究が開始された。構造物の振動による破壊の実験では,破壊時の共振振動数は構造物の固有振動数の1/3になることが確認された。

地震予知の推進に関する計画の一環として微小地震観測のための深層地震観測井が完成した。

雪害実験研究所では,雪水測器を開発研究していたが,レーザ・ビームを使つた確度が高くかつ安価な降雪強度計を開発した。また,除雪処理能力の大きいブロア型ロータリ除雪装置を試作実験し,高速ロータリ除雪車開発の基礎資料を得た。

〔放射線医学〕

速中性子線による悪性腫瘍の治療に関する基礎的な調査研究で,特に速中性子線線量分布等の測定に必要な測定器の開発,腫瘍部と正常組織との生物学的効果比の算定に関する研究および速中性子線治療技術の向上と治療の基本型を確立するための種々の実験がそれぞれバンデグラフ装置を用いて行なわれ,有用な成果を得た。また,将来,サイクロトロンによつて生産される医学的に有用な短寿命ラジオアイソトープの製造法,利用方法についての研究,医用サイクロトロンの安全管理についての調査も併せ行ない有用な知見をえた。

一方,放射線の大量被ばく事故に対処し,かつ,放射線治療の効果向上に資するために実施している造血器移殖に関する調査研究は,移殖後の続発症の発現に関与する毒性物質の作用,造血組織の採取法,冷凍保存方法および組織適合性判定の基準化についての調査研究を進め,有用な成果をえた。


(5) 大蔵省

〔醸造〕

醸造用こうじ菌について,分離起源にさかのぼつてその類縁関係をただし,分類の基準を明確にするとともに有毒物質生産性糸状菌との差異を明確にした。

酒造工場の公害問題の過半は洗米廃水であることを明らかにし,その種々の処理方を開発した。

防腐剤を使用しない清酒の貯蔵および出荷管理の一環として火落菌の基本的性質を研究し,これにもとづく火落防止策を考案した。

酒類の熟成機構ならびに変質について研究し,数種の新物質(フエリクリシン,ドーパー,フエノール性物質)を発見した。

醸造用水の新分析法を考案し,用水に対する適切な処理法を確立した。

各種優良酵母から泡なし性変異株の誘導法を開発し,大量仕込みを可能にし,品質的にも好成績を収めた。


(6) 文部省

〔緯度観測〕

地球の極運動に関する経度および緯度の観測において,現われる測定誤差は,観測地点の分布,観測に使われる器械,観測に使われる星に影響されるが,それらの誤差が解析され,地球の大規模な周期的変形も予想される結果が得られた。地球の運動の理論は実際の地球が複雑な構成であり,また物理現象を含むもので完全に解くことは難かしいが,実際の地球に近い地球の模型を考えることによつて,大洋が日周および年周の影響を極運動に与えることが確認され,その大きさも無視できないことがわかつた。極運動においては,年周項の他に日周項,月周項の存在が考えられているが未だ確認されていない,それは天文観測は欠測が多いためであるが,極運動の短周期項の解析の新しい統計の手法が研究された。


(7) 厚生省

〔がん〕

がんの化学療法剤の開発として,代謝拮抗剤のうち核酸合成阻害核酸関連化合物について研究を進めた結果,マウスのL-1210白血病に対して強い制がん性を示す2.2-0-サイクロシチジンの開発に成功した。

また,抗生物質としては,土壌から分離した放線菌のうち数種の有望な株を選び出すことができた。

がんの免疫性については,マウスでその存在を確認できた。また各種のマウスのがん細胞とBCG生菌を混合しマウスの皮内に注射することにより使用したがん細胞に特異的ながん免疫を誘導することができた。

〔精神,神経障害〕

精神障害者とくに精神分裂病者の社会復帰に関し,デイ・ケア(昼間通所)によるリハビリテーションの方法ならびに理論の研究を行なつており,現在までにおおむねデイ・ケア・センターの設置,運営の方法,内容,技術等について研究成果をまとめた。

さらに在宅精神障害者の地域総合医療に関して,7年間にわたり福島県,千葉県において調査研究を行ない,地域精神医療活動の理論と実践についての貴重な資料を得た。

同環境ならびに異環境の一卵性双生児の精神発達に関する縦断的継続観察を19年間にわたつて行ない,各発達段階における素質と環境の相互作用について多くの知見を得た。

〔らい〕

らいの病原体であるらい菌は,未だ培養が不可能であることにもより,らい菌体の特異的構成成分は現在でも明らかでないが,最近の血清免疫学的方法によつて,らい菌は特異な抗原を有することを明らかにした。この特異な抗原に対する免疫血清を用いてらい菌を結核菌その他の抗酸性菌と区別することが可能となつた。このことはらい菌の培養および動物移殖の成否の判定とらいの診断に寄与するところが大きい。

らい菌はネズミ族の動物,特にマウスの足底部で限られた増殖を起すことが明らかとなり,これを利用して,らい菌の増殖を阻止する効果をもつ薬物を選び出す研究が進められている。

〔ワクチンの改良,開発〕

新痘癒ワクチンの開発のひとつの段階として,世界各国のワクチン用ウイルスの温度感受性が2群に大別されることを発見し,高度弱毒DIS株のニワトリ胎児ワクチンの試作に成功し,実用化の検討にはいつた。

またインフルエンザワクチンの副作用を滅した精製HAワクチンの開発に成功し,近く実用化されることになつた。

破傷風トキソイドを精製して副作用を減少する試みに成功し,また人体接種用の精製はぶトキソイドの試作に成功し,実用化の検討にはいつた。

ホツリヌス多価抗毒素(治療用)の開発については,各型の毒素,精製方法を確立し,免疫原性の高いトキソイドの製造が可能となつた。

〔食品の安全性〕

18ケ月にわたる詳細な動物実験によるβ-BHCの慢性毒性試験でβ-BHCの残留について,安全性の目安をつけるための有用な資料が得られ,これによつて牛乳の暫定許容基準を定めることができた。

また,最近の環境汚染物質であるPCB(ポリ塩化ビフエニール)の分折法については,乳肉食品,水および水産食品の新たな分折法が開発され,PCBを精密分折する上でほぼ満足すべき成果が得られた。

〔環境汚染因子の生態系への影響〕

カドミウムと亜鉛の河川中における挙動を明らかにするため,シミュレーション・モデルを用いた室内実験を行ない,これら金属は生成された懸濁物質表面に吸着濃縮されること,また吸着の程度は懸濁物質の表面の性質に左右されることが明らかとなつた。

汚染大気に光化学反応を起す紫外線を測定する柴外線分光光度計を試作し,10A′の分解能で分光測定した結果,汚染大気中で3,200A′以下の光が完全に消失してしまうことのあることがわかつた。

光化学反応に対する炭化水素の寄与率は炭化水素の種類により異なるの,で,ガスクロマトグラフを用いて各成分に分けて測定する方法を開発し,これによつて石油コンビナート地区ではプロビレン・アセチレン濃度が高いという知見を得た。

また,亜硫酸ガス(330ppm),窒素酸化物(70ppm),オゾン(5ppm)を実験的にモルモットに30分曝露して,アルブミン抗原によるアレルギー感作がたかまることおよびアレルギーをもつたモルモットはオゾンの曝露によりアナフイラキシー状呼吸困難の頻度が増加することを見出した。

〔保健医療サービス〕

多種多様な医療需要に対して,等しく的確な迅速かつ一貫性のある医療を提供する医療供給体制の確立のためには,医療施設の設置単位地域の設定が重要であることにかんがみ広域的な地域を対象として医療施設利用調査を実施し,その利用状況を把握した。

これに人文地理学的研究を援用して,医療施設設置のための単位地域の設定を具体的に行なつた。さらにこれによつて各単位地域ごとの医療供給体制の設定と計画手法についての考察および施設規模の算定手法について,考察を行なつた。


(8) 農林省

〔畜産〕

今後開発が進められる山地傾斜地の草地利用について,省力,低コストの草地造成法,育成牛の放牧法,土地保全技術を確立した。

大規模草地による子牛育成牧場について,これまでの大規模草地等の研究成果により草地の維持管理,家畜の飼養技術,経営管理等の技術指針を全国の主要地帯について作成した。

家畜衛生関係では,鶏の伝染性コリーザ死菌予防液の開発および馬の伝染性貧血の一診断法として,ゲル内沈降反応による方法を確立した。

〔園芸〕

りんご樹が高く繁茂することが栽培管理の省力化の隘路となつていたが,わが国の栽培品種に適したわい化台木の有望種が確認され,農家へ普及する段階にはいつた。

果樹園土壤の特徴を把握しうる調査法,土壤区分法および分級法を確立し,適地の判定,土壤改良のための目標になる基準を作成した。

りんご,茶の大害虫コカクモンハマキの性フエロモンの化学構造式が解明された。

また,ビニールハウス内のぶどう,いちご等のカンザワハダニの防除に捕食性天敵チリカブリダニの放飼が有効であることがわかり,実用化の可能性がでてきた。

〔加工流通〕

ばれいしよから澱粉を製造する過程における廃水処理が水質汚濁を招くため,澱粉製造過程を経ないで,ばれいしよから直接糖をとる方法として,ばれいしよの低温処理等による糖化法を研究し,かなり高い割合で糖に転換させうることが認められた。

〔その他農業関係〕

養蚕機械化の研究が進み,新しい蚕飼育機,条桑刈取機が開発され,その実用化が期待される。

また,河川流域の桑園に被害が大きい桑のモザイク病が線虫によつて伝染することが明らかとなり,線虫駆除による病害防除の可能性が示された。

なお,基礎的分野の研究成果として,植物の単一細胞から比較的容易に完全な植物体を培養することに成功し,今後の展開が期待されている。すなわちウイルス病の増殖機構,治療研究の過程でたばこの葉からとつたプロトプラスト(細胞壁のないはだかの単一細胞)を用い,これを分裂増殖させて,培養組織から完全なたばこ植物体をつくりだし,単細胞培養による新しい植物育種法等への道をひらいた。

〔林業〕

大気複合汚染の樹木に対する影響,除草剤の森林生態系に及ぼす影響等の研究の推進により環境保全の面等にかなりの知見を加えたほか,保健保全林の機能と造成管理についての知見をとりまとめた。

また火災に安全な木質材料の開発のための研究では,薬剤処理による方法について見通しを得た。

林業におけるフオールスカラー航空写真の利用研究では,樹脂や樹木活力などの判定に利用する方法について実用化の見通しを得た。

〔水産〕

沿岸,沖合漁況海況予報事業の一環として北部太平洋における試験の結果,漁船からの無線による海況に関する情報を収集し,コンピューター処理によつて海況速報の作成と漁船への広報を行なう水産,海洋情報の収集処理通報システムを開発した。

水産増養殖分野においては,タラバガニの採卵,ふ化,稚ガニの育成実験を行ない,従前の実績に対し大幅な進歩がみられた。

漁具漁法分野においては,マグロはえなわ漁業用の人工飼料およびイカつり漁業における音響漁法が開発された。

利用加工分野においては,エビ,カニ等の褪色原因を解明し,その防止法を発見した。


(9) 通商産業省

〔電子〕

電算機等の表示素子として実用化されつつある液晶の研究において,新たに液晶の光電効果を発見し,従来の表示効果と合わせて,入出力表示装置への利用が可能となり,画像などのパターン入力装置の単純化,ロボットの眼等への応用が期待される。

また情報処理技術の研究では,音声情報処理の研究において文字で書いた文章より,高品質の連続音声の合成および聴覚を模擬する音声の分析法を開発した。

〔高分子工学〕

高分子研究では,主鎖中にケトン基を含む光崩壊型の共重合高分子の合成,線状高分子を三次元網目構造中にとじ込めた構造を有する新しい型の高分子の合成,高分子の熱分解生成油の水蒸気改質,高電圧下や海水中など特殊条件下における高分子材料の疲労劣化現象等につき研究成果をあげた。

光崩壊型高分子はあらかじめ設計された機能を有する高分子の実用化への一歩を進めたものとして,その将来が期待される。

〔産業安全〕

火薬の爆発災害防止については,北海道上富良野において野外実験を実施し,また可燃性ガスの爆発防止については,エチレン等を対象として,流動拡散,爆発現象等について研究し,保安基準作成のための基礎資料を得た。

〔安全工学〕

自動車安全走行制御系の研究について,通路パターン認識装置から直進,旋回,停止の三つの動作を視覚的に表示しうる装置を実車に装備して走行実験を行なつた結果60km/hの速度まで安定に動作し,実用性が確かめられた。

また自動車安全に関する人間工学の研究においては,自動車運転者の精神負担測定法やグレア(まぶしさ)評価法を開発するとともに,人間と自動車を一つのシステムとして把え,安全性の面から最も適した運転操作装置の構成を研究し,安全で安定性のよい運転操作系が有すべき諸要件を明らかにした。

〔新材料〕

新種工業材料の開発のため,高強度,高弾性率の炭素繊維の基礎的製造条件の検討を行なつており,着々成果をあげている。

また炭素材料に金属を含侵する方法につき研究を行ない,強度,通電特性,摩耗特性等にすぐれた材料を開発している。

〔標準確立〕

質量の標準確立技術において,新しい質量原器用精密天秤を試作し,今ままで10 -8

であつた精度を10 -9

に向上させ国際的に注目されている。

また,温度の極低温領域における精度と現在の国際実用温度目盛の13.8K(-259.2C)の下限である平衝水素の3重点の温度を±0.0003Kの精度で決定できるようになつた。

その他,絶対静電容量の高精度測定,精密高エネルギーX線フルエンスの測定器の開発を行なつた。

〔海洋開発〕

陸棚海域地下資源賦存の基礎調査については,北海道北西および阿武隈海域の空中磁気採査を実施した。

海底地質調査技術の研究では,従来実施してきた各種資料を基にして予察的な海域地質図粒度-鉱物分布図を作成した。

また,電磁ジエツト推進の研究では,海水媒体形電磁ジェット方式として内部ジエツト推進形の模型船第2号を製作し,良好な結果が得られた。

〔機械工業のシステム化〕

機械設計自動化の研究において,記号処理のためのプログラムシステムを開発し,線分と円弧からなる2次元図形基本プログラムを作成した。ライトペンによる図形入力装置を完成し,その自動設計のためのグラフィック・ディスプレイ用言語の研究を進めている。

適応制御技術の研究では旋盤についての研究を終了し,フライス加工に関しては,工具摩耗をインプロセスで推定する方法を開発した。

〔公害防止〕

自動車排出ガス防止技術の研究は,無鉛ガソリン使用によるバルブシートリセッションの検討を行なつた。また触媒式浄化装置に使用される触媒の研究を約30種の1元触媒および2元触媒について行ない,有望と見られる数種の触媒を見出した。

また,風洞試験,水槽試験による汚染物質の拡散の研究およびこれに伴う現地調査等の研究成果により,産業公害総合事前調査に対し,有効なデータの提供を行なつた。

産業排水の自動管理技術の一環として,反射型螢光法による浮上鉱油検知装置および自動連続排水採取装置を開発した。

徴生物による産業排水処理技術の研究において,11種の芳香族系化合物について,微生物処理に対する許容濃度を把握した。

重金属含有排水処理技術の研究において,電解排水中の水銀を吸着処理により,1ppb以下まで処理する方法を開発した。

また,く形波を適用した溶出波ポーラログラフ法により,0.1ppbのカドミウムの定量が可能となり,イオン交換クロマトグラフ法の適用により約10種の金属イオンの同時定量が可能となつた。

プラスチック,廃棄物処理技術においては,プラスチックの熱分解生成物の水蒸気改質の研究を行ない,分解条件および改質条件について多くの知見を得た。

また,分解型プラスチックの開発においては,フエニールビニールケトンまたはメチルビニールケトンをスチレン等と共重合させた光分解型プラスチックを開発した。

〔住宅関連〕

低廉かつ良質な住宅生産の工業化をめざして新住宅材料の開発研究を行なつた。

火山噴出物であるシラスを原料とする中空微小ガラス球(シラスバルーン)と軽金属あるいはプラスチックとの複合材料を開発した。

また防水性,耐久性等において優れている大型セラミックス建材の開発を行なつている。


(10) 運輸省

〔船舶〕

船舶の高速化に対処して30ノット級の高速商船出現の可能性を得るため,その建造技術に関する推進性能,運動性能,構造強度等について系統的な研究を推進するとともに,これら船舶用の推進機関開発の一環として中速ギャードディーゼル機関開発のための研究を行なつて貴重な成果を得た。また新型式船舶として空気クッション船や潜水商船に関する研究を行ない将来の海上交通のための基礎的評価を行なつた。

〔港湾〕

沿岸海象の観測調査法に関する研究では耐波性直立ブイの開発を行ない,水理模型実験による安定性を検討するとともに現地実験により適応性を実証した。また広域波浪観測データ集中処理システムの運用と改良を行なつた。

さらに沿岸波浪の特性に関する研究として不規則波造波水路における造波特性と現地波特性との相関を究明した。

地盤の化学的安定工法の開発については,石灰などの安定剤の各種粘性土に対する処理効果を調査し,石灰による深層混合処理工法の実用性,有用性を実証することができ,新工法開発をより具体化することができた。

砂質土の流動化に関する研究については,ゆるい砂層地盤の振動による流動化の予測を可能にし,判定基準を確立した。

海岸堤防および海底トンネルの耐震性の研究により,耐震設計に必要な情報を得るとともに構造物と地盤の応答について解明した。

また,港湾工事等で水中構造物の安全急速施工を可能にする作業船や施工機械の開発を行ない捨石均し機を実用化した。

また,岩盤浚渫工法の確立のために,高圧噴流水,高周波による岩盤破砕を進め,その実用性を確かめた。

港湾構造物の設計自動化プログラムの開発を促進し,設計の合理化,省力化に資している。港湾計画分野にシステム分析手法が導入され,埠頭のシステム設計の開発が進められ,港湾計画策定に重要な資料を得た。

〔空港〕

滑走路など空港土木施設に関する特別研究により滑走路基礎地盤に対する荷重の伝達機構および支持力機構等が解明され,空港アスファルト舗装,空港コンクリート舗装の設計技術の向上に大きく資することができた。

特に空港の舗装については,「空港アスファルト舗装構造設計要領」および「空港コンクリート舗装構造設計要領」が完成し,設計の基準化をはかつた。

また,より合理的な舗装構造,すなわち新しい滑走路構造の開発の一環として連続鉄筋コンクリート舗装を考え,種々の載荷試験を実施した結果,理想的な無継目空港舗装の実用化が促進された。

〔気象,自然災害〕

地震予知に関する研究については,観測資料の自動処理化に必要な装置として,磁気テープ記録式地震計でとられた記録を数字化して電子計算機に入れられるよう磁気テープに再記憶させる装置を完成した。

梅雨末期集中豪雨の研究については,梅雨前線の立体構造,前線上に発達する規模1000km程度の低気圧,これに付随する中規模降水域を解析し豪雨の特徴を明らかにした。これは豪雨予報作業に活用できる。

地球大気開発計画(GARP)に基づく総合研究については,大気境界層,大気放射,積雲対流等の役割,台湾坊主等の低気圧の発生発達の機構,低緯度大気の現象,大気大循環の数値実験等について研究を発展させた,これは,数値予報精度の向上,長期予報の確立などに有益である。

〔安全対策〕

船舶については,大型鉱石船などの特殊構造,船舶の安全対策のための研究を強力に推進し,波浪の衝撃力による船体強度への影響を解明する第一歩として変動水圧の解明を行なつた。

航空機の航行安全については,ドプラVORの2分円誤差を除く方式を開発し,実験局を新潟空港に設置し,飛行試験を行ない,良好な結果を得た。また,着陸援助施設ILS空中線の研究開発として,本質的に地面の影響を受けにくい方式を研究し,3素子グフイドパス空中線方式を開発し,東京国際空港での実験に成功した。さらに,ATCシミュレータのハードウエアの整備を完了した。

鉄道については,橋梁の健全度判定法について研究成果をあげ,鉄道の安全対策に役立てられている。

自動車については,操縦性,操行の安全性および高速走行中の制動安定性試験法など自動車の運転性能の安全性に関する研究,プロペラシャフトの異常振動など車輛欠陥の防止に関する研究,ならびに前面ガラスの安全性,座席およびベルトの取付強度など,車体構造の安全性に関する研究等において成果をあげた。

〔公害対策〕

海洋の汚染防止を主眼として,液化メタンの流出時の拡散状況の研究と海上実験による油回収装置(自航式油水吸引器および簡易油水分離器)の実用性を確認した。

東京湾全域を含む大型模型により,同湾の海水交換および物質拡散に閃する水理実験を行ない,内湾の海水汚染水理について貴重な資料を得ることができた。また,有害物質を含む汚泥処理技術の開発研究は浚渫技術との関連で研究され,汚泥処理にかかわる基礎資料を得ることができた。

自動車の公害については,有害ガスの排出重量測定法,排気清浄装置の評価試験法,燃料中に含まれる鉛の自動車から排出状況およ燃料無鉛化による排気中の有害成分の変化などについて研究成果をあげた。

大気汚染の観測および制御については,従来のライダーを使用しての観測成果をもとに,汚染粒子の滞留層,垂直および水平方向への移動,有害ガス分布などの解明に有益である新しいライダーの設計が終了した。また,局地の風の予測を統計的手法によつて定常的に行なう方式を開発した。

〔海洋開発〕

海洋開発用機器については,海上作業台船,海上作業船等の運動性能に関する研究を強力に推進しているほか,海洋開発用新型式ロープの開発,浮力材の高水圧下特性等に関する研究を行ない。多くの成果をあげ,海洋開発用機器の性能向上および安全性向上のための基礎資料を提供した。

海洋土木技術については,大水深港湾構造物に関する研究,大水深新型式けい留施設の研究開発等により,多くの成果を得ることができた。これらの成果は港湾建設工事のみならず,海上空港その他海洋構造物の建設工事にも活用し得る共通的な基礎技術である。

海洋水理については,波と構造物との相互作用等に関する研究を行ない,貴重な成果を得た。

海洋開発に不可欠の海洋環境条件を把握するための海洋調査関係については,沿岸波浪観測機器および観測手法の開発等に関する研究に著しい成果があり波浪観測拠点の設置等全国的観測体制の整備を推進することができた。

また,日本海の一部では,海底地形,地質構造等の調査,本邦東方の北方亜寒帯では暖水塊変動形態等の追跡調査などを行ない貴重な成果を得た。

〔宇宙開発〕

航行衛星システムの開発のための研究では,衛星搭載用のLバンドの測距およびデータ伝送用トランスポンダの試作を行ない。また,機械的デスパンを考慮した。しバンドの衛星用円偏波ホーンリフレクタアンテナの試作を行なつて,いづれも満足すべき結果を得た。さらに航空機用を考慮したフエーズドアレーアンテナの基礎研究を行なつた。

人工衛星による放射観測の研究(窓領域赤外センターの研究)では,海面,雲頂の温度測定,雲の面像を作成するため,波長10.5〜12.0ミクロン(いわゆる窓領域)の赤外放射を観測する検知器についてカドミウム,水銀,テルル合金からなる検知部の温度を零下170°C内外に下げるための放射冷却装置を試作した。

気象衛星の研究開発においては,地球大気開発計画の一環として120°Eに打上げを目標とする静止気象衛星について (a)可視赤外放射計による地球画像の観測 (b)ブイ,船舶,離島などからの気象観測データの収集 (c)観測資料,天気図など解折結果の配布などのミツションに関する研究および技術調査を行ない,システム設計に必要な基礎資料を得た。


(11) 郵政省

〔宇宙通信〕

国産電離層観測衛星名を管制し,観測データを取得するための地上施設として準備を進めていた管制庁舎,コマンド送信装置,テレメータ信号受信装置,18φmパラボラ・アンテナ等が完成した。

通信衛星搭載用ミリ波中継器については,そのブレッドボード・モデルが完成して各種の技術的試験が行なわれ,その結果をもとにエゾジニアリング・モデルの試作を開始した。

また,船舶,航空機等の移動小局や離島等の小規模局相互間やこれらの小局と基地局間の通信が周波数や時間割当ての制限を受けずに,周時に通信が幾とおりも行なうことのできる通信方式として,将来が有望視されるSSRA(周波数拡散多元接続)通信方式について,機器の総合調整や室内実験を終了し, ATS-1号衛星により第1期のループテストを行ない所期の成果が得られた。

〔海洋通信〕

新たに海洋通信研究室を発足させ,レーザーによる海中における情報伝送特性の解明と情報伝送系の構成等について,強力に研究を進めている。

また,高圧環境下にある海底作業基地など海中において問題となるヘリウム音声の復元を目標として,海底居住シミュレーション実験時のアクアノートの音声を収録し,その解明と分析を行ない復元への端緒を得た。

〔電波伝搬,標準電波ほか〕

VHF以下の周波数帯の対流圏伝搬は電波に対する大気の分布構造によつて異なる特性をもつことより,これらの構造に関する電波気象学的な探査を目的として音波による対流圏探測装置を試作し測定の結果,低層気象に関する新しい知見が得られつつある。

このほか,電離層相互変調の存在の確認,レーザー波の大気中における伝送特性の解明など多くの成果が得られた。

また,47年1月1日から新しい時刻体系で標準電波を発射するため,従来の標準電波施設の機器の一部改造ならびにこれに必要な理論的検討や基礎的研究実験が進められた。


(12) 労働省

〔産業安全〕

機械的な災害防止では,グラインダについて,カバーの防護効果を高速度カメラにより調査しカバー設計のための基礎資料を得た。また,安全帽の安全性を向上させるために,人間の頭の寸法を,新しく開発した装置によつで測定し日本人の人頭の基本形状を求めた。

化学関係としては,化学反応による温度変化をあらわす常数である生活化エネルギーを,ポリエチレンなど熱可塑性プラスチックについて測定し,燃焼危険性に対する有力な判定要素となることを明らかにした。また,薄板が燃え続けるのを妨ぐのに必要な間隔を測定するため新しい器具を考案し,さらにこれが実用的な酸素濃度測定に利用できることを示した。爆発時の危険な圧力を軽減するための爆発放散孔については,基礎研究を進めるとともに,乾燥機および集塵機について応用実験を行ない設計資料を得た。

電気関係では,高圧酸素治療室や海底作業基地などの人工環境下における電気設備の安全化を図るうえで,放電火花によるメタンー酸素混合ガスおよび酸素中の可燃性固体の着火危険性を明らかにした。また,人体に蓄積した静電気の放電爆発火災事故を防ぐため,作業者に使用させる静電靴に必要な電気抵抗値の限界を明らかにし,その測定方法を示した。

〔労働衛生〕

精神作業の作業密度ストレスに関する研究においては,自動的計数表示装置を新たに開発し,これにより加減算作業を被験者に行なわせ,作業難易,作業密度とストレス発現の関係を検討した結果,作業の難易にかかわらず作業密度が最大作業量70%以下ではストレスが発現しないことが判つた。

また,産業中毒の研究においては,新たに中毒物質の影響を生体内のいろいろな系の流れの様相の変化から把握しようと試み,有機溶剤の影響を調べた結果,脂質代謝系より糖質代謝系の方が影響をうけることが判明した。


(13) 建設省

〔測量・地図〕

測量,地図作成分野において,自然および人文に関する地図の各種データーをメッシュおよびドットを利用して,その地域の大略的な特性を把握し,国土開発,保全,防災,環境等の諸計画に直ちに利用される表現方法について研究し,資料を得た。

また建設土木工事を対象とした海中構造物の設計ならびに施工管理に使用することを目的とした海底写真測量を行なう海中写真測量用カメラを開発中である。さらに,地震予知に関連し海底地磁気の地磁気永年変化自動観測装置の浮上機構の開発ならびに地殼の微小変動の連続観測を南関東地区で実施し,地震予知研究に役立てた。

〔都市計画・建築〕

都市計画に関する研究においては,昭和43年より進められていた東京都市群パーソントソップ調査にもとづき,昭和45年度は,交通需要予測の研究を行ない,都市交通体系策定の基礎資料を得た。

都市防災に関する研究においては,大地震火災に対する防災地点建物の配置形態に関して模型による野外実験を実施し,ガスの温度及び分布状況,炎の性状等について測定し,防災拠点の建設に必要な技術的基準の根拠を得た。この成果は江東地区防災計画の立案に利用した。

中高層量産住宅に関する研究において昭和40年度以後進められていたPS工法による高層量産住宅が一連の研究成果に基づき東京都営住宅(8階建)等に実施された。併せてまた建設実態から工事計画に必要な研究を行ない,在来工法にくらべ工数,工期の大幅縮少が出来るようになつた。

材料に関する研究においてはセメントコンクリートの諸性能改善を目的としたポリマーセメントコンクリートおよびレジンコンクリートに関する調合設計法,試験方法に関する研究を行ない,レジンコンクリートについては高強度調合設計法を確立し,大規模な実用研究が新技術開発事業団により実施されることになつている。

〔土木〕

災害の防止に関する研究では土木構造物の耐震技術,山地および斜面の崩壊機構の解明,防止技術に関して研究を行なつた。

水資源の有効利用に関する研究では,レーダー雨量計による降雨流出,ダム築造技術,とくにフィルタイプダムの設計施工法に対する調査研究を行なつた。さらに河道の水理現象の研究,河口部の閉基防止に関する研究を行なつた。

海峡連絡道路に関する研究では,本州四国連絡架橋調査についで東京湾岸道路の調査研究を行なつた。橋架について,より軽い床構造の研究,またケーソン基礎多柱基の支持機構の研究を行なつた。

トンネルに関して沈理トンネルの施工方法の細部工の確立,換気照明について試験研究した。海中基礎工法として,大口径海中掘削機を開発した。

道路輸送機能の高度化に関して,交通計画,道路構造規格,交通管理,安全対策,交通公害等について研究した。また,軟弱路床の舗装工法,舗装の耐摩耗,はく離,すべり特性,路盤材料と支持力等について研究し,舗装工法,舗装材料の改良を推進した。

土木工事の合理化の一環として,PC橋の自動設計システムを開発した。

土木材料については,コンクリートの品質および舗装あるいは沈埋トンネルに用いる高分子材料に関して研究し,土木材料の品質改良利用技術の開発を推進した。


(14) 自治省

〔消防〕

火災発生建物中の煙の濃さの状況を中央監視室などで集中的に把握したうえで,安全な方向への避難誘導を自動的に行なえるような煙濃度表示,避難誘導装置の試作を行なつた。

また,危険物火災の消火時における,消火剤の種類の選定および供給率は,重要な要素である。そこで,ヘキサン火災を標準火災として各種消火剤の消火可能な最小供給率を実験的に決定し,さらに理論的考案を加えて危険物火災に対する消火剤適用基準の大網をうることができた。

その他「大震火災の延焼性状に関する研究」および「航空消防活動による火災被害阻止の研究」を推進しており,前者は大震時に予想される市街地火災について,縮少模型を用いて相似的に風洞実験を行ない,その特異性を見出すものであり,後者は大震時の地上消防力の減殺を航空機により代替補てんする方法の可能性と限界についてヘリコプターを使用する野外実験によつて研究を進めている。


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