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第2部   科学技術活動の動向
第4章  主要国の科学技術政策
3  フランス
(3)  第6次五ヵ年計画の概要


今後5年間のフランス経済の方向を決める第6次五ヵ年計画(1971 〜 1975年)は,閣議の最終的承認を得て実施の運びとなつた。これによれば期間中の実質経済成長率(国内総生産)を,年平均5.9%に置くなど,欧州の先進資本主義国としては異例の高度成長路線を強調している点が注目される。とくに,科学技術に関する非軍事研究開発予算額は,期間中に214億フラン(1兆3千億円)に達することになり,1970年の予算額と比較すると,年平均9.5%の増加率になつている。

第5次計画では,国全体の研究投資の国民総生産に対する比率を1965年の2.1%から,1970年には2.5%とすることを目標としていたが,実績は1.84%にとどまつた。第6次計画が予定通り進められると国全体の研究費の国内総生産に占める割合も2.45%になることが期待されている。

この研究開発の基本的目標は

○知識の全般的な向上を目的とする基盤的研究(総額の34%)
○産業開発を目的とする研究(56%)
○生活環境の改善を目的とする社会経済的な研究(10%)

の3点に分類できる。

この比率は第5次計画に比べて3番目の社会経済目的の研究の割合が若干少なくなつている。


(1) 基盤的研究の推進

この分野では1)第5次計画で研究のための施設整備が比較的よく進められたので,第6次計画では,共同研究推進のための研究者の受入サービスセンターを整備すること,2)コンピューターを整備し,情報システムを確立すること,3)委託研究を重点的に進めること,4)分野別ではライフサイエンスと人間科学(言語学,環境問題など)を重視すること,5)その他,核物理学,地球物理学(気象予報の改善,海洋問題など)を推進することなどをかかげている。


(2) 産業目的の研究

本計画では直接産業に寄与する研究の重要性を指摘し,1975年までに基礎研究,応用研究,開発のうち開発の占める割合を現在の48%から52%に増加させるよう努力すべきであると勧告している。また,産業目的のための開発費が全開発費に占める割合を35%から43%に増加させる必要があると指摘するとともに,重点的に推進すべき点として,1)原子力発電については国際協力によりウラン濃縮とナトリウム冷却高速中性子炉に関する研究を進めること,2)宇宙開発については実用衛星(とくに通信衛星)の開発とその打上げロケットの開発を国際協力により進めること,3)先端技術についてはエレクトロニクス機器,通信および輸送に関する新技術の開発を重点的に行ない,その他に電子計算機計画を進めること,4)その他化学,冶金,材料および機械の分野を推進することをかかげている。

これらの推進にあたつては,政府の努力は不可欠であるが,産業界自身も積極的に研究開発投資を行なうべきであり,国全体の研究費に占める民間負担の割合を第5次計画中の30〜31%に対し,1975年にはに34〜35%に増加させるべきであるとしている。


(3) 社会・経済目的の研究

この研究は,ライフサイエンス(とくに医学)と人間科学(とくに人間とその環境に関するもの)に関するテーマに向けられるが,その重点として,1)医学研究に対しては集団生活に大きな影響を及ぼす人間の疾病の治療の改善,2)住居の改善,3)新しい都市輸送方式(とくに汚染が少なく安全度の高い方式)の研究,4)公害防止(大気汚染,水質汚濁,食品汚染,騒音,地下水など)のための研究,5)その他,都市現象(都市環境に関する種々のテーマ)および非都市空間(動植物,水の流れに関するもの)の研究の推進をあげている。


(4) 実施方法

これらの実施方法としては,1)委託研究を重点的に進め,全予算の3分の1程度をこの方法で支出すること,2)産業界と公共部門の研究者の交流を図ること,3)国際協力を活発にすること,4)研究活動のパリ集中をさけるため施設等の地方分散を図ること,5)さらに産業界の研究開発を促進するために特許の譲渡,ライセンス許諾に対する税制の改正,研究実施化庁(ANVAR)による発明の保護,普及,実施化の促進,中小企業に対する現行の政府研究援助方策の活用を図ることなどがあげられる。


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