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第2部   科学技術活動の動向
第4章  主要国の科学技術政策
1  アメリカ
(3)  高級技術者の失業問題


このため,知的労働者とくに科学技術者の失業,あるいは大学の新卒者の就職難が深刻化しているといわれる。もちろんこれらの問題は政府機関の研究開発費の削減だけの問題ではないが,国防費,宇宙開発費等の大型予算が削減されたために関連産業,大学,民間研究機関が研究活動を縮少し,研究費のみならず,人員削減も実施しているのが実情である。航空宇宙局では10万人以上の技術者,研究者が職を離れざるを得なくなつており,米国の研究者で海外に職を求めるいわゆる頭脳流出傾向がみられるに至つたとさえいわれている。

そこで,統計から失業者の割合をながめてみると 第2-33表 にみるとおり,1969,70年においては漸次増加しており,そのなかでも科学技術者の含まれる専門職および技術者の失業率の増加は著しいものがあり,上記のことを裏付けるものとみることができよう。

第2-33表 アメリカにおける最近の失業率(%)

大統領科学技術局は,科学技術者からの強い要請もあり従来の国防関係の研究費の削減分は,そのまま,国立科学財団その他の省庁の科学技術関係予算にまわすべきであるとしているが,1971年度までの国防予算の削減が大きかつたため,国防関係研究費削減分をカバーするに至つていない。

1972年度予算における研究開発費は予算総額2,292億ドルの10%にあたる167億ドルであり,前年度に比し,11億ドル(7%)の増加を示した。このうち,9億ドルは国防研究費の増で,その他の研究費の増加は,わずか2億ドルにすぎないが再び研究開発に力が注がれはじめたとして歓迎されている。

72年1月20日に発表された大統領教書では国民生活に直結する科学技術分野の振興の重要性についてふれており,宇宙開発技術,原子力開発技術のようにとくに進んでいる技術を国民生活に役立てようとしている。このため,重点的に開発すべき課題として,無公害で大規模な新しいエネルギー源の開発,安全・迅速・無公害の交通システムの開発,地震・台風などの自然災害の防止システムの開発,毎年3万人の生命を救うことのできる効果的な緊急医療システムの開発,医薬品使用時の運転規制および薬剤使用者のリハビリテーションのための新方法の開発などに取り組もうとしている。


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