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第2部   科学技術活動の動向
第3章  技術交流および特許出願の動向
1  技術交流
(3)  技術導入の特徴


技術導入の件数および対価支払額は年々増加していることは前述のとおりであるが,その技術内容あるいは契約形態には,わが国の科学技術水準の向上,社会・経済情勢の変化等を反映して,ほぼ一定の傾向で変化がみられる。

以下,その傾向について述べることにする。


(1) 技術内容の特色

技術内容の特色については,まず第1に公害防止に関する技術や流通・消費に関連する技術が増加していることがあげられる。すなわち,従来技術導入の中心を占めていた生産技術の総件数に占める割合は漸減する傾向にあることは前述のとおりであり,これに代つて最近は,わが国の社会情勢を反映して, 第2-23表 および 第2-24表 に示すとおり公害関係および流通・消費関係の技術の導入が増大している。

公害防止に関する技術の導入は,昭和44年度に一時低下したものの,昭和45年度は著しい増加を示し,前年度の約2倍の63件を数えた。とくに脱硫技術および廃水処理・水処理に関する技術がそれぞれ16件,15件と多数を占めた。

流通・消費に関連する技術の導入もやはり昭和44年度に停滞したものの,昭和45年度は前年度の1.4倍と大幅な伸びを示した。技術の種類ごとに導入の目つた技術をみると,服飾・デザイン関係では婦人用スーツ・紳士用上衣などに関するデザインパターンが,家庭電化製品関係では従来から多かつた受信機,音響機器のほか電子レンジに関する技術が,包装・流通関係では港湾におけるコンテナー荷役機械,自動包装機械,トラック用蓄冷式冷凍装置等があげられる。

第2-23表 公害防止関連技術導入件数

第2-24表 流通・消費関連技術の導入件数

第2は,新規導入技術が減少していることである。 第2-44図 は以前に同一もしくは同種の技術が導入されたことのない技術の全導入技術に占める割合を示したものであるが,全分野の平均でみると年々低下しており,昭和40年度に45.5%であつたものが昭和45年度には26.3%に減少している。なかでも,電気機械,金属の分野で減少が著しい。しかしながら,昭和44年度と昭和45年度を比較すると,その傾向は鈍化しており,多数の分野で減少しているものの一般機械および電気機械の分野では微増している。これら新規導入技術のうち着目すべき技術としては,電気機械では慣性航法装置の製造に対する技術等,化学ではコークス炉の廃ガス中のアンモニア除去技術,インプレン重合技術等,一般機械では荷役,倉庫管理のための自動荷役に関する技術等,金属ではステンレス鋼の真空脱炭精練技術等がある。

第3に,同一技術を複数の企業が導入する場合が減少していることである。 第2-25表 はこの状況を分野別年度別に示したものであるが,同一技術を導入した件数の総件数に占める割合は昭和43年度の16.8%から昭和45年度には11.3%となつており,また,1技術当りの企業数も昭和43年度の4.9社から昭和44年度には4.0社,昭和45年度には3.3社と年々低下している。これを技術分野別にみると,電気機械では1技術当り企業数が4.4社と依然として平均を上回る高い水準にあり,企業間の競争の激しいことを物語つている。多数の企業に導入された技術としては,16企業が導入したパイロット信号を有するFMステレオ信号受信装置製造技術,15企業が導入したトランジスタを使用した音響機器,ラジオ受信機製造技術が目立つている。

第2-44 図新規導入技術の状況

第2-25表 同一技術への集中状況

第4に,国産技術と競合する技術の導入が多いことである。わが国が各分野において相当高度な技術を自主的に開発しているものの,生産実積,性能,ユーザーの信用度等の面において今一歩外国技術に遅れていること,企業間の競争により国内の技術交流が十分に行なわれがたいことなどにより,国内に何らかの形で同一,同種の技術があるにもかかわらず,外国技術を導入する場合が多く,しかもそれが従来は増加傾向にあつた。昭和45年度においては 第2-45図 に示すとおり,甲種技術導入のうち68.8%の技術が国産技術と競合するものであり,高い比率を示しているが,昭和44年度に比し,機械,電気機械および金属の分野ではほぼ横這いであり,化学分野で大幅に減少したこともあつて,平均で3%低下していることが注目される。

第2-45図 導入技術と国産技術との競合率


(2) 契約上みられる特色

契約上からの特徴をみると,第1にクロスライセンス契約が増加傾向にあることがあげられる。すなわち, 第2-26表 に示すように技術導入の自由化が行なわれた昭和43年度の大幅増を除けば,その件数は年々増加しており,昭和45年度はクロスライセンス契約25件,共同研究契約1件となつた。このうち交換技術を等価として双方無償とした契約が7件,わが国企業が若干の対価を支払う契約が17件,わが国企業が対価の支払いを受ける契約が1件となつている。これらは欧米の技術に匹敵するようなわが国の技術が増加しつつあることと,先端技術の導入がクロスライセンス方式でないと困難となりつつあることを示している。なお,契約相手企業の国籍別ではアメリカが92%と圧倒的多数を占めている。

第2-26表 クロスライセンス契約の推移

第2-27表 特許契約件数の推移

第2に,特許契約件数の比率が低下していることがあげられる。すなわち,ノウハウを伴わない特許のみの技術導入の全件数に対する比率は, 第2-27表 に示すように昭和43年度までは,20%をやや上回つていたが,44年度は15.6%,45年度は14.6%と減少している。ただし導入件数では194件と44年度より多くなつている。とくに電気機械分野では52.7%と過半数が特許契約で占められているのが注目される。このような現象は,外国に広範囲にわたつて特許を押えられており,後発のわが国企業が特許を導入せざるを得ないことを示している。

第2-46図 株式取得を伴う技術導入件数の推移

第3には,株式取得を伴う技術導入契約の増加傾向があげられ, 第2-46図 に示すように経営参加的株式取得の認可件数は,昭和40年度以降急増しており,これに伴い株式取得を伴う技術導入件数も増加傾向を示している。昭和45年度においては,昭和44年度よりやや低下し,甲種技術導入件数中に占める割合は4.5%となつたが資本の自由化,企業の多国籍化等が進展するに伴い今後も増加するものとみられる。

第4には,技術導入の契約条件が厳しくなつてきていることがあげられる。すなわち,製品の市場制限については,昭和45年度には全体の79.1%の契約に何らかの形で市場制限条項が付されており,年々増加する傾向にあること( 第2-28表 参照),対価支払については無償とするものが減少しているとともに,有償とするもののうちイニシヤル条項の付されているものの比率が増大しつつあること( 第2-29表 参照)等が指摘できる。

第2-28 表輸出市場制限の状況

第2-29表 甲種技術導入対価支払い条件の推移


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