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第2部   科学技術活動の動向
第2章  科学技術情報活動の動向
2  国際協力の現状と諸外国の動向
(2)  諸外国の現状


前項で述べた科学技術情報に関する各種の国際協力機関では,主として欧米先進国が中心となつて活動している関係で,これら先進諸国における科学技術情報活動に比較してその他の諸国の活動状況はよく知られていないのが実状であり,アジア,オセアニア地域の諸国についてもインド国立科学ドクメンテーションセンター(INSDOC)のほかは余りよく知られておらないのみならず,その活動も低調であつたが,過去2回のFID/CAO会議を転機として,各国で科学技術情報の重要性が認識され,情報活動が活発化してきている。

以下にアジア,オセアニア地域の数ヵ国について,その情報活動を概観してみる。


(1) 韓国

韓国の科学技術情報活動の中心的機関は,韓国科学技術情報センター(KORSTIC:Korean Scientific and Technological Information Center)である。同センターは,国内外から科学技術情報を収集し,国内の利用者に供することによつて韓国の科学技術の振興に貢献すべく1962年に設立されたものであり,1971年現在約100名のスタッフ,370万ドル(13億3,200万円)の運営費で運営されている。

第2-20表 KORSTIC収集資料の国別比率

同センターは,20ヵ国以上から各種定期刊行物約2,400誌を収集しており,この収集資料を国別にみると 第2-20表 のとおりである。

また,1969年に処理した情報量は,非特許情報65,400件,特許情報52,000件,複写サービス10,500件であつた。

同センターで編集している出版物には

○Current Bibliography on Science and Technology(月刊;物理学,工学,化学,植物学の4シリーズ)
○Current Bibliography on Foreign Patent(半月刊)
○The Highlight of Foreign Science and Technology(月刊)
○The Korean Scientific Abstracts (月刊)

等がある。

1972年には情報処理機器を導入して情報の機械処理を行なうべく,人材の養成,韓国語のシソーラスの作成,コンピューター編集(JICSTのコンピュータ編集システムの韓国語化への可能性)等が検討されている。

なお,韓国には1969年現在273の図書館(公共図書館57,大学図書館117,専門図書館99)がある。


(2) 中華人民共和国

中国における科学技術情報の中枢機関は,国務院科学技術委員会の下に設置されている中国科学技術情報研究所であり,この下に地方行政単位のものとして省,市,自治区に科学技術情報研究所が設置されている。さらに,中央国営工場の大部分には技術情報室が設けられており,これらで科学技術情報のネットワークを形成している。

このほか,北京の科学図書館を中心に全国の6大行政区(沈陽,上海,西安,成部,広州,関州)に地方図書館が設置されている。また,科学技術情報の専門員を養成するための科学技術情報大学が設置され,中国科学技術情報学会も発足している。

文献資料の入手と配布については,文化大革命で活動が中断された当時(1966年6〜10月)入手していた文献数は,定期刊行物で約8,000種類で,その他の単行本をあわせると膨大な量にのぼつていた。これらを整理,分類して検索類〔文摘(訳抄)雑誌29種類99分冊,文献索引(目録)27種類39分冊〕,訳報類〔速報39種類,訳数91種類〕,研究(動態)類〔9種類〕がそれぞれ発行され,関係情報部門,科学研究単位,高等院校(大学,専門学校),工場鉱山企業,図書館等に配布していた。

中国は科学技術面で後発国であり,当初はその情報をソ連東欧圏に求めていたが1960年ソ連との経済技術援助協力協定が破棄されてから,西欧の先進工業諸国に多く依存するようになり,とくに,石油化学,エレクトロニクス関係ではこの傾向が強くなつている。


(3) インドネシア

インドネシアにおける科学技術情報活動の中心的機関は,国立インドネシア科学技術ドクメンテーションセンター(Indonesian National Scientific and Technical Documentation Center,インドネシア語の略称でPDIN)であり,図書館サービス,ドクメンテーションサービス,印刷・複写サービスの三つのサービスを行なつている。すなわち,科学技術分野における内外の単行図書,雑誌および索引誌,抄録誌,書誌等の二次資料を収集するほか,文献探索,主題書誌および翻訳に対する応答サービス,外国から購入したマイクロフイルム等からの複写物の提供サービスを行なつている。また“Quick Information”を発行して,このセンターで収集した近着資料の目録を提供している。

このセンターの利用状況を1969年の図書館利用者調査によると利用者の44%が科学者および技術者で,あとの56%は理工系を主体とする大学の学生であつた。このことは大学図書館がまだ十分に整備されていないことを示している。また1969年には765件の複写サービスの依頼があつたが,化学分野に関する依頼が最も多く,ついで薬学分野に関する依頼が比較的多かつた。

なお,インドネシアでは1969年から1973年にわたる政府の5ヵ年間開発計画により,食糧増産のための農業,畜産業,水産業の振興を図つている関係で生物学および農学分野の図書館の充実に力を入れており,比較的整備されている。


(4) セイロン

セイロンにはまだ国立図書館はないが,その設立計画は進められている。

現在は国立文書局(National Archives Department)が国立図書館的な機能を果たしており,セイロンで発行されるすべての資料のデポジトリーにもなつている。同局が発行している代表的なCurrent Bibliographyとしてつぎの2つがある。

○Ceylon National Bibliography(月刊;Sinhara,Tamil,英語の3言語に分けて書いている。)
○Register of books published in Ceylon Under Ordinance No.1 of 1885

セイロンには4つの大学図書館があるが,そのうちセイロン大学図書館が最も充実しており,その蔵書数は1969年末で266,000冊に達している。この図書館では月刊で新規購入誌のリストを発行している。

一方,最近専門図書館もその数を増してきており,たとえば,茶業研究所(Tea Research Institute),セイロン科学・産業研究所(The Ceylon Institute of Scientific and Industrial Research),中央銀行(The Central Bank),農林省(The Department of Agriculture)等に付属図書館が設置されている。


(5) オーストラリア

オーストラリアでは連邦科学・産業研究機構(Common wealth Scientific and Industrial Research Organization,(SIRO)の図書資料部(Laibrary and Documentation Unit)が中心機関であり,科学技術の全分野にわたる範囲で,蔵書30万冊,定期刊行物2万冊,マイクロコピー100万以上を所蔵している。

CSIROの活動としては,CSIRO abstracts(月刊),Australian Science Index(月刊)等の発行,複写,翻訳,レフエラルサービス等を行なつている。1969年には抄録2000件,索引項目6,000件を発行した。


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