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第2部   科学技術活動の動向
第2章  科学技術情報活動の動向
1  国内の動向
(3)  科学技術情報流通に関する人材養成の現状


今日の科学技術情報流通にたずさわる者には,科学技術に関する知識を有すると同時に新しい学問分野である情報学の知識と技術が要求されている。

すなわち,近年,学術研究や技術開発の分野における情報活動の果たす役割がきわめて重要視され,かつ,文献・情報量の増加が顕著なこともあつて,その能率的,経済的な処理・流通が強く望まれている。一方,科学技術の急速な進歩は,情報の収集,整理,蓄積,検索等いわゆる情報処理の機械化を可能とし,コンピューターの利用を主体とした情報処理技術の進展には目ざましいものがある。

したがつて,従来から実施されている司書等のドクメンタリストの養成のほかに,近年ではコンピューター利用技術を含めた情報処理の技術や方法論に関する知識を有する情報処理技術者の養成が重要な課題となり,その要請に応えて各方面でその養成が行なわれている。

以下わが国における科学技術情報流通のための主要な情報処理技術者の養成,研修機関等の現状について述べる。


(1) 文部省

学術情報の効率的な収集,処理および利用に関する知識の普及と技術の向上を図るため,大学,学会等の学術雑誌の編集関係者,大学,研究所の研究者,文献情報担当者などを対象に,昭和36年度以降毎年「ドキュメンテーション講習会」(受講者数300人程度)を開催している。


(2) 大学

図書館学あるいは文献情報学としてまとまつた学科を設置し,情報に関する専門家の養成をしているのは,現在のところ慶応義塾大学文学部図書館・情報学科,国立図書館短期大学図書館学科,文献情報学科だけである。ただし,最近,大阪大学,九州大学等いくつかの大学の工学部に情報処理に関する学科が新設されているが,これらはコンピュー・サイエンティストの養成を主目的としており,この項で取り上げるものとやや趣を異にしている。

慶応義塾大学では,昭和26年に文学部内にわが国最初の図書館学科(定員50名程度)を開設したが,その後,情報科学技術の進歩に伴う図書館学における新展開に即しうるよう昭和42年度に主として情報の把握,処理,伝達に重点を置いた図書館・情報学専攻を大学院修士課程に開設し,さらに,昭和43年度には学部課程のカリキュラムも改訂して学科名も図書館・情報学科と改称した。

第2-37図 慶応義塾大学図書館・情報学科卒業生就職先の推移

第2-38図 図書館短期大学図書館学科卒業生就職先の推移

図書館短期大学は,大正10年に文部省の図書館員教習所として開設され,その後幾多の変遷を経て,昭和39年に短期大学となつたもので,当初は図書館学科(定員80名)および別科(定員40名)であつたが,昭和42年度には図書館学科の定員を120名に増員し,昭和46年度からは文献情報の能率的,経済的な収集,整理,提供の必要性の増大および情報処理技術の高度化に対応できる専門家を養成することを目的として,既設の図書館学科を図書館学科(定員80名)と文献情報学科(定員40名)に分離改組した。

ちなみに,以上2大学の卒業者の就職状況をみると, 第2-37図 , 第2-38図 のとおりで大学図書館および専門図書館への就職者が多数を占めており,なかでもライブラリー・サービスや文献情報活動に対する社会の認識,要請の高まりを反映して,専門図書館への就職者が昭和43年以降はとくに多く,卒業者数の約半数を占めている。


(3) 日本ドクメンテーション協会(NIPDOC)

日本ドクメンテーション協会は,「国際十進分類法協会」を母体として,昭和37年に設立された協会であり,科学技術に関するドクメンテーションの理論,技術の調査,研究を進めるとともにこれらの普及を図ることを目的としている。

日本ドクメンテーション協会の活動としては,出版活動,委託調査,研究,教育・訓練活動等があげられる。このうち,教育・訓練活動については,創立以来,毎年,企業における情報部門,企画・調査部門の担当者,管理者等を対象に, ドクメンテーションに関する各種の講習会を開催しており,その受講者数はすでに延べ約4,500人に達している。

現在実施している講習会は,次のようなものである。

1) 長期講習会(技術コース 6講座)
2) 長期講習会(機械化コース 6講座)
3) 国際十進分類法(UDC)による分類法訓練(上級および初級)
4) 技術士受験講習会
5) 新入職員のための講習会
6) その他特殊題目に関する短期講習会

(4) 日本科学技術情報センター(JICST)

日本科学技術情報センターは,わが国における科学技術情報流通の中枢的機関としての立場から,その業務の一環として情報処理技術者の養成をも手がけており,技術の交流,向上を目的とした情報科学技術研究集会,技術の習得を目的とした講演会,講習会等を行なつている。

現在実施している研究集会,講習会等は,次のようなものである。

1) 情報科学技術研究集会
2) 情報管理講座(初級研修および中級実務)
3) IR(情報検索)講座研究会
4) その他地方における講習会,講演会,セミナー等

(5) その他

科学技術情報流通関係従事者の教育・訓練は,以上の官,学,協会等のほかに民間企業においても実施されている。

日刊工業新聞社では,早くから企業における情報の収集,管理等の重要性に着目し,昭和33年からこれらに関する講習会を開催してきており,昭和46年末には開催回数約80回,延受講者数約3,400名に達している。しかし,最近では協会等における研修機会が増加したので,これらの業務を縮少する方向にある。

また,昭和44年1月に設立された科学技術情報株式会社(STI)においても,STIシンポジウム・シリーズとして講習会を開催しており,すでに15回開催され,延受講者数は約750名に達している。


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