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第2部   科学技術活動の動向
第2章  科学技術情報活動の動向
1  国内の動向
(2)  科学技術情報サービス機関の活動


科学技術の進展に伴い,科学技術情報は数量的に増加しているばかりでなく,質的にもますます複雑多岐化してきており,さらに情報の需要面からみてても,その利用のされ方が多様化してきていることは,前にも述べたとおりである。

このような情報の量的,質的現象を背景として,わが国の科学技術情報サービス機関の活動はどのようになつているかを以下に述べる。


(1) 既存の情報サービス機関
1) 日本科学技術情報センター(JICST)

日本科学技術情報センターは,わが国における中枢的科学技術情報サービス機関として,昭和32年に設立されて以来今日に至るまで,その業務の拡大を図り,情報サービスの内容も年々充実してきている。

発展の過程を予算規模でみると,昭和37年度には414百万円(政府支出分151百万円)であつたのに対して,昭和46年度には1,955百万円(政府支出分1,038百万円)となり,この10年間に5倍近い伸びを示している。

日本科学技術情報センターの事業は,情報収集整理業務と情報提供業務の二つに大別される。まず情報収集整理業務については,外国逐次刊行物,国内逐次刊行物,外国特許関係資料の収集を行なつており,昭和45年度の実績は,それぞれ5,406誌,2,342誌,46,623件となつている。このほか,原子力レポートの収集にも力を注いでいる,これらの収集した情報につき,分類コードおよびキーワードの付与,抄録の作成,編集など整理業務と行なつているが,これには漢字処理が行なえるコンピューターシステムを導入するなど情報処理の機械化に積極的に取り組んできた。

つぎに,情報提供業務については,能動的に情報を提供する出版業務と受動的に情報を提供する受託業務を行なつている。出版業務としては,科学技術文献速報,外国特許速報,海外技術ハイライト,中小企業海外技術情報ラ食品工業技術情報,情報管理,アルミニウム技術文献集,金属表面処理技術文献集,環境公害文献集等の出版を行なつている。これらに収録される文献数は年々増加の傾向にあり,昭和40〜45年度の実績は 第2-17表 のとおりとなつている。

第2-17表 文献速報および特許速報等の収録件数(実績)

受託業務としては,複写サービス,翻訳サービス,調査サービス,抄録サービス等を行なつており,その実績は 第2-18表 のとおりとなつている。この利用者サービスには,コンピューターの利用を推進しており,昭和47年度からMEDLARS(医学文献分析検索システム)を利用したサービスを開始することとなつたほか,JICST文献検索磁気テープおよび米国化学情報サービス(CAS)の磁気テープによるSDIサービス(情報の選択的提供サービス)について検討している。

このほか,わが国における情報科学技術の普及と研究開発の啓発を目的として講習会および研究集会等を開催しているが,これについては後述する。

第2-18表受託業務の処理実績


2) 国立国会図書館

国立国会図書館は,国会,行政および司法の各部門ならびに一般公衆に対し,いわゆる図書館サービスを提供する目的で設立されたものであり,内外の図書・資料の収集・整理,蔵書の館内閲覧,資料の複写,文献資料に関するレフアレンス・サービス等の直接,間接のサービスの提供,各種の目録類の編さん・刊行等を行なつている。

科学技術関係に限つてこれらの活動状況をみると,図書の収集整理については,納本,購入,受贈,国際交換等の手段により,各専門分野の図書,調査研究に必要なハンドブツク,事典,文献目録類,技術レポート,政府刊行物,雑誌類等を収集している。これらの収集にあてられた経費は,昭和45年度には1億317万円,昭和46年度には1億617万円であり,また昭和45年度に整理された科学技術関係の図書類は,和漢書3,442冊,洋書5,420冊であつた。ちなみに昭和45年度に国立国会図書館に受入れられた洋雑誌を発行国別および分野別にみると, 第2-19表 および 第2-36図 のとおりである。

これら収集された図書類を閲覧,複写等のサービスに供するとともに,これらの目録,索引等(全日本出版物総目録,納本週報,洋書速報,雑誌記事索引,海外科学技術資料月報,原子力関係資料目録,外国航空・宇宙文献目録等)を刊行し,国内の主要図書館,大学,研究機関等に配布している。

第2-19表発行国別受入雑誌数

第2-36図分野別受入雑誌数

なお,国立国会図書館では,昭和46年1月よりコンピューターを導入しており,主として書誌類の作成等情報処理の機械化に積極的に取り組んでいる。システムの特徴としては,漢字処理を行なうためにコンピューターに直結した漢字プリンター・システム(漢字数約4,000)を有していることである。


(2) 新しい情報サービス機関

NIST構想でその必要性が強調されている専門センターあるいはデータ・センター的機能を果たすべく,すでにいくつかの情報機関が政府,民間等において設立され,活動を開始している。しかしながら,設立まもないために基礎固めの段階にあつて,その本格的活動は来年度以降に期待されている。

以下にこれら機関の活動の概況を述べる。


1) 日本特許情報センター

科学技術情報のうちとくに産業界が技術開発を推進していくうえで重要な技術あるいは権利の情報源としての特許情報は,近年ますますその重要性を増すとともに,情報量も著しく増大する傾向にあり,さらにその技術内容も複雑化,高度化してきている。

激増する特許情報の調査および検索には,多大の労力と時間を必要とするので,企業が独自で,この特許情報を管理し,調査および検策を行なうことは,ほとんど不可能な状況になつてきており,特許情報の集中的な管理機構を確立する必要があるといわれてきた。

このような背景のもとに,昭和46年6月に財団法人日本特許情報センターが設立された。このセンターの主たる業務は,国内外の特許情報を収集して,適切な加工を加え,要求に応じて迅速,的確に提供することであるが,このほか,特許協力条約発行後国際サーチ機関になることが予定されている日本特許庁のために必要な情報の処理,提供,さらに世界各国の特許局,国際サーチ機関等に対する日本の特許情報の処理,提供ならびに外国より提供された特許情報の二次加工処理も行なうことになつている。

第1期事業を昭和46〜55年度,第2期事業を昭和51〜55年度として段階的に情報サービスの拡大をはかつていく計画で,46年度はその初年度で事業の基礎固めの段階にあり,特許公開公報の抄録の発行,書誌的事項による内外特許文献の検索サービス(第1検索システムによるサービス)など1部のサービス業務を行なつているにすぎない。


2) 日本医薬情報センター(JAPIC)

日本医薬情報センターは,日本製薬工業協会が母体となつて,同協会加盟会社のうち製薬会社を中心とする25社の共同出資によつて昭和45年10月に設立されたものである。日本医薬情報センターでは情報の対象を医薬品の副作用に関する情報に主体をおいており,現在,次のような刊行物を編集,発行し,提供している。

1) 日本医薬文献週報
2) 海外医薬文献週報
3) 日本医薬文献抄録カード

3) 化学情報協議会(JAICI)

化学情報協議会は,化学関係学協会を中核として,化学に関する包括的情報機構を企画立案し,国内における情報の円滑な流通と諸外国との健全な交流を図ることを目的として,昭和46年3月にその発起人会が開かれ,当面任意団体として発足したが,将来は財団法人等に改組する計画となつている。なお,この協議会をバックアップする学会としては,日本化学会,高分子学会,分析化学会,石油学会,生化学会,化学工学協会,窯業協会,鉄鋼協会,日本薬学会,農芸化学会,金属学会などがある。昭和46年度においては,国内論文抄録速報誌の発行準備,化学系雑誌目録作成,CASテープの受入れについての検討等が行なわれている。

以上のほかに鉄鋼情報に関する専門センターとして鉄鋼技術情報専門センターが,またデータ・センターとして熱力学データ・センター,日本高圧データ・センター等があり,今後における活躍が期待されている。


(3) 地方における情報サービス機関

NIST構想において情報の提供サービス機能として最も重要な役割を果たすのが地域サービス・センターである。地域サービス・センターは,その地域の利用者の情報需要を細かく反映して,サービス機能を十分に発揮するために,利用者の要求の分析,それに適合した情報の検索および提供の能力をもたねばならないが,そのためにはまず,各地方における情報活動の重要性が地域住民に深く認識されることが先決問題である。この点に関しては,日本科学技術情報センターを代表とする情報機関が全国各地で行なつている講習会,講演会,研修会等の普及活動の果たす役割はきわめて大きいといわねばならない。その成果として,最近全国各地に情報活動が急速に活発化してきているが,代表的な地域活動の例を以下に述べることにする。


1) 北海道情報科学研究会

本研究会は情報に関する基礎知識を習得するとともに,北海道にとつて有効かつ重要な情報はなんであるかを研究し,北海道産業の育成と繁栄に寄与しうる情報センターの設立を目的として,昭和45年6月に産業界,学界,官界の総意に基づいて設立されたものである。

昭和45年度における活動状況は,「情報の基礎理論」,「北海道開発と情報問題」,「日本の情報流通システム」等をテーマとする定例研究会を10回開催したほか,調査活動として「北海道の情報利用に関する実態調査」を,また普及活動として「情報管理セミナー」を開催した。なお,昭和45年度の予算は約300万円であつた。


2) 長野県技術情報センター

本センターは,情報化社会の進展に伴う情報量の激増に対処して,広く情報を収集して,効率的に県内の企業に提供することを目的として昭和46年4月に設立された。現在の組織は,専任4名,兼務8名からなつている。

事業内容としては,資料の収集,資料の閲覧および複写サービス,企業に必要な技術および経済に関する情報の検索サービス,「技術情報センターニュース」の発行などのサービスを提供するほか,資料の調査,相談にも応じ,また,講演会および講習会の開催等を行なつている。


3) 神奈川県資料室研究会

本研究会は,京浜地区の会社,公共研究機関等の資料室(図書館,図書室)の運営向上について連絡と研修などを行ない,もつて各資料室の充実と運営の活発化を図り,神奈川県の産業の振興に寄与することを目的として,昭和38年4月に結成された。事務局は川崎図書館におかれている。

事業としては,1)研究会,講演会,講習会,見学会等の開催,2)参考資料の調査・収集と配布,3)科学技術および経済関連専門図書館および団体との連絡,4)資料室開設運営上の指導相談等を行なつている。なお,機関誌「神資研」を刊行し,関係団体に配布している。


4) 産業技術資料協議会(静岡県)

本協議会は,静岡県立中央図書館の産業技術情報活動に協力し,もつて静岡県の科学技術資料の普及と産業の発達に寄与することを目的として,昭和46年6月に発足した。

本協議会の活動としては,講演会,研究会の開催,資料情報の提供,複写サービス等がある。


5) 周南文献情報連絡会(山口県)

本連絡会は,地方における科学技術に関する新しい情報の入手,参考文献の検索・入手,情報知識の貧困等のハンディキャップを克服するため,周南地域に存在する企業体および公立図書館が相互に協力することを目的として,昭和38年2月に設立された。現在,加盟会員は12社,1図書館の合計13団体で,会員の所蔵定期刊行誌調書の作成・配布,文献複写の相互サービス,情報担当者の研修等を主たる業務として活動している。

以上のほかに,富山県における科学技術文献利用振興会,岡山県における山陽技術振興会および情報処理開発委員会,広島県における広島産学協同懇談会等があり,その地域においてそれぞれ情報活動と熱心に取り組んでいる。


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