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第1部   科学技術への新たな要請とそれへの対応
第3章  科学技術における国際協力の展開
2  国際協力に対する要請とそれへの対応
(1)  対等な立場での先進諸国間の協力


先進諸国間の科学技術協力は,OECD等の多国間の場,あるいは日米協力等二国間の場において推進されているが,最近における最も重要な動きは,昨年10月に開催された第4回OECD科学大臣会議において,「社会のための科学技術」をテーマに70年代の科学技術政策が検討されたことであろう。同会議における国際協力関係の提案を要約すると次のとおりである。

1) 技術発展がもたらすプラスとマイナスの効果を評価し,また科学技術のすう勢を予測することが,科学技術政策の主要な任務であるという認識のもとに,テクノロジー・アセスメントの効果的な方法論を開発し,各国のそれぞれのケース・スタデイの結果を交換する等の協力を推進する。
2) 加盟各国の経済,社会および環境の側面における共通の目的を達成し,研究開発に,資金,人材等の資源をより効果的に利用するために,70年代においては,国際協力を一層強化することが必要であるとの認識にたつて,基礎研究,公共サービス部門に対する技術革新の導入に関する協力をはじめ,ビツグサイエンス(天文学,高エネルギー部門等)の各国における施設の共同利用,有毒化学物質の生物への影響の解明等について国際協力を推進する。
3) 「第2次国連開発の10年」の国際開発戦略の広範な目的を達成するために,科学技術の役割が重要であり,そのため,加盟各国は開発途上国の開発に必要な研究,とくに食物,エネルギー,医療等の研究を実施するとともに,そのための国際研究協力が必要である。さらに,加盟国は加盟国が所有する技術を開発途上国に移転することについても,協力すべきである。

このようなOECDの動きに加えて,ユネスコ(国連教育科学文化機関),国際学術連合会議(ICSU)等の場で,各種の共同研究プロジェクトが拡大されているほか,米国の1970年代以降における宇宙開発計画-ポストアポロ計画-への参加の呼びかけ,天然資源の開発利用に関する日米会議と同様の協力関係を結びたいとするカナダの申入れなど,研究開発の国際協力への要請は近年ますます増大しようとしている。

一方,このような要請に対して,わが国の科学技術水準や経済力が向上してきたことにより,わが国の先進諸国との国際協力に従来とはかなり異なつた対応がみられはじめている。

まず第1に,従来の技術導入依存型から脱却し,最近では対等の立場での相互交流が進展してきている。たとえば原子力平和利用の分野では,現在までの協定に基づく二国間協力の実績が内外で高く評価され,従来の日米,日英,日加のほかに,オーストラリヤ,フランスとの間にも,最近原子力協定が調印されてきている。また,現在日米両国が共通して関心を有する19課題について協力を進めている天然資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)のような協力方式を単にアメリカのみにとどまらず,意欲的にその他の国との間でも展開しようとする機運がカナダ,オーストラリアとの間に高まつてきている。

第2に,従来,共同研究は,国際生物学事業計画(IBP),地球大気開発計画(GARP)のような基礎科学分野で活発に行なわれてきたが,近年では,実験安全車にみられるように,資金分担,成果の帰属などについて事前に十分検討し,双方で了解された条件を付する共同研究を推進するケースがみられるようになつている。わが国としてもかかる国際協力を国内における研究開発の延長としていろいろの観点から評価し,明確な指針のもとに積極的に推進していこうとしている。さらに,先端科学技術分野における立遅れの解消やわが国の国情から指向される科学技術の振興を図るためには,自主的な研究開発努力による部門と国際協力による部門との調和を考慮していかなければならない時期にあり,たとえば研究開発の国際分業などのような新しい国際協力方式について検討すべき時期にきているといえよう。

第3に,人材交流や国際会議のような基本的な国際交流において,従来のどちらかといえば一方的な知識の修得という姿勢から,対等の立場で研鑚,資質の向上を図るという形に変つてきている。国立大学,国立試験研究機関などの研究者を中心に在外研究員制度拡充への要請が年々高まつており,さらに,わが国の科学技術水準の向上によつて,わが国に留学して研究することを希望する海外の研究者が急速に増加しており,欧米諸国がわが国の科学者の受入れについて格別の恩恵を与えていることにもかんがみ,今後研究者の交流を円滑にするために必要な体制整備を一層推進していかなければならない。また,国際会議がとくに医学,基礎科学のような分野で活発に開催されており,近時わが国は,これらの場で積極的にデータを提供したり,意見を提出することが多くなつているが,国際社会に対するかかる国際協力の役割を認識し,円滑な会議の運営が図られるよう受入れ体制など,会議等の所期の目的を達成できるよう十分な措置を講ずることが必要である。


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