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第1部   科学技術への新たな要請とそれへの対応
第3章  科学技術における国際協力の展開
1  わが国の立場からみた国際協力の必要性


上記のような国際的背景のもとで,わが国における諸問題を解決するためにも,科学技術面での国際協力に期待されるところが大きい。

まず第1に,わが国の科学技術水準は,生産技術を中心にして,著しく向上したものの,原子力,宇宙,海洋開発などの先端的技術分野では,まだ先進諸外国との間にかなりの格差がみられる。これらの分野における研究開発は,多額の資金と人材を必要とし,わが国のみでは十分な成果が期待できなへので,先進諸外国との協力により効率的にその研究開発を進めていくことが必要である。

第2に,わが国は,大気汚染,水質汚濁等,環境問題の解決に科学技術面から,積極的にとり組んできたが,その根本的な解決のためには,生態学的,全地球的観点から研究開発を推進していくことが重要となつており,このため,多国間の場,二国間の場において,積極的な協力体制の確立が望まれている。

第3には,わが国が今日の経済発展をみた一面に,海外とくに開発途上国への資源の大幅な依存があげられる。わが国としては,今後とも,資源の安定的確保のために努力を払つていかなければならないが,資源産出国をめぐる国際的動向はきわめてきびしい環境にあるといつても過言ではない。したがつて今後における資源の安定的確保,現地での経済ナショナリズムとの摩さつなどを起こさないように科学技術協力を含む多面的な国際協力を通じて実現していくことが必要である。

なお,わが国は,1970年に開催された国連総会で,1975年までに開発途上国に対する援助を国民総生産の1%にするよう努力することを表明しており,また技術援助額の増大を国際機関からしばしば勧告されていることでもあり,今後開発途上国に対する科学技術協力を一層推進していかなければならない。

第4に,資本の自由化が進むとともに,優秀な技術を武器にした多国籍企業がわが国に進出してきており,これらの多国籍企業の多くは,研究開発を本国の本社で統括し,現地での研究成果としての技術を一般に本社に帰属させる方式をとつており,重要な技術については,技術独占といつた事態が予想され,健全な技術交流を阻害する恐れがある。このようなことから,企業活動の国際化に伴う諸問題について国際的ルールを定めるなど国際的観点からの配慮が望まれている。

これらの国際協力の推進については,46年4月科学技術会議が,内閣総理大臣に提出した5号答申において,わが国の国際地位の向上に伴い,国際的連帯感のうえに立つて,科学技術面での国際協力を一層重視すべきであり,先進国との研究開発協力,研究者の交流等ならびに開発途上国との科学技術協力について積極的な促進を図るべきことを指摘している。

また,産業構造審議会の中間答申(46年5月)においても,先進国との協力を強調し,当面,社会開発分野や原子力,海洋,航空機等の分野で共同研究を実施すべきであると述べている。

さらに,対外経済協力審議会は,46年9月「開発途上国に対する技術協力の拡充強化のための施策について」を答申し,政府開発援助の強化,技術協力の量的拡大,社会基盤分野における協力の強化,技術協力計画策定の必要性,現地主導型の実施体制の確立等今後わが国が進めるべき技術協力の方向を打ち出すとともに,積極的な協力を強調している。


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