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第1部   科学技術への新たな要請とそれへの対応
第3章  科学技術における国際協力の展開

科学技術に関する国際協力は,科学技術の社会・経済の中に果たす役割および国際情勢の変化に伴つて,その活動に変化がみられる。

先進諸国間の協力においては1960年代の前半までの一般的な認識であつた「経済成長のための科学技術」という考え方から,最近では「社会のための科学技術」へと国際協力の理念に転換がみられる。たとえば,去る46年10月平泉前科学技術庁長官の議長のもとに開催されたOECD科学大臣会議では,今後の社会経済の発展を図るためには,とくに人間尊重を基調とした科学技術の発展を図ることが重要であるとし,OECDの活動を従来の経済発展指向から社会開発指向へと転換を要請し,その方向で国際協力に取り組もうとしている。

開発途上国との協力については,南北問題に関する世界的努力をさらに強めるため世界銀行の委嘱を受けてまとめられたピアソン報告や,第2次国連開発の10年(UNDDII)のため経済社会理事会の開発計画委員会が作成したティンバーゲン報告にもみられるように,1970年代は,まさに人類が世界共同体という連帯意識にたつた「国際開発協力時代」の幕あけとして広く認識され,国連を中心に開発のための科学技術の適用について具体的な検討が進められている。

一方,世界の先進諸国に経済発展をもたらした技術革新の副次的影響として,人間環境の汚染・破壊といつた好ましくない問題がクローズアップされ,その解決のために全地球的な国際協力の必要性が強く認識されるようになつてきている。

また,最近の国際社会における動きの中で今後の国際協力にかなり影響をもつと考えられるものに,中国の国連加盟,イギリスほか3カ国の欧州共同体(EC)加入がある。中国の国際社会への復帰は,国連専門機関の科学技術活動,とくにアジア地域における諸活動に大きな影響を及ぼすものと予想される。

欧州共同体は,従来,加盟6ヵ国の結合を強めるとともに,科学技術のみならず,政治,経済の面でも第3勢力として大きな力をもつにいたつていたが,今回さらにイギリスほか3ヵ国の調印加入によつて,より大きな超国家的勢力となり,域内における科学技術協力を強力に推進するとともに科学技術の国際協力においても大きな発言力をもつようになるものと予想されている。

このような国際的背景のもとで,わが国の国内における諸問題を解決するためにも科学技術面での国際協力の必要性が高まつている。

そこで,以下,わが国の立場からみた国際協力の必要性を考察し,つぎに,国際協力に対する要請とそれへの対応について述べることとする。


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