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第3部   政府の施策
第2章  政府機関等における研究活動
4  研究の総合的推進
(1)  巨大科学技術


巨大科学技術には,原子力開発,宇宙開発,海洋開発などがあげられる。

これらの特色は,社会経済の発展に重要な貢献をすること,国家的利益の増進および国際的地位の向上に大きな役割を果すこと,科学技術水準の向上に大きな効果があることなどにある。


(1) 原子力開発

近時,原子力開発は,その発展とともに広範多岐にわたる領域において活動が行なわれている。

第1に,原子力発電の実用化である。産業の発展とともに電力需要は急速に拡大し,その供給に占める原子力の割合の増加傾向が顕著である。これはエネルギーの安定かつ低廉な供給を図るうえで,核燃料の輸送,備蓄が容易であり,コスト面からみても火力発電に匹敵する程度に改善されつつあることによるものである。

第2に新しい動力炉開発の進捗である。現在,新型動力炉の開発は動力炉・核燃料開発事業団を母体として,新型転換炉と高速増殖炉を国のプロジェクトとして進められているが,前者は在来型炉に比較して核燃料の効率的活用が可能であり,在来型炉の技術の活用を期待することができ,後者に比して早期の実用化が可能であるため,在来型炉と高速増殖炉のつなぎとして開発されている。

高速増殖炉は,消費した量以上の核分裂性物質を生成するもので,天然ウランのエネルギーをほとんど無駄なく利用でき,夢の原子炉として将来の原子力発電の主役となろうとしている。

第3-20表 原子力関係予算の推移

第3-21表 主要国の原子力予算の推移

第3に,原子力第一船「むつ」の建造,放射線利用の進展などその他の新分野への進出である。

第4に,核燃料サイクルの安定かつ低廉な供給を図ることを目標とする研究開発がある。

原子力発電の需要の急増に即応して,天然ウランの確保,ウラン濃縮の研究,使用済燃料の再処理,プルトニウムの有効利用などに積極的施策が講ぜられている。とのうち,ウラン濃縮については,ガス拡散法と遠心分離法の研究開発が併行的に進められている。

今後期待される新分野には,中性子線の医療への応用,食品照射の研究開発,核融合の研究開発,原子炉の利用の拡大など多方面にわたつている。

わが国の原子力関係予算の推移を 第3-20表 に,主要国の原子力予算の推移を 第3-21表 に示した。


(2) 宇宙開発

わが国の宇宙開発は,実用衛星の開発および同衛星打上げ用ロケットの開発にあたる宇宙開発事業団をはじめ,科学衛星,同衛星打上げ用ロケットの開発にあたる東京大学および各種基礎的研究を行なう各省庁の国立試験研究機関などの協力のもとに行なわれているが,これらの各関係機関の実施する宇宙開発プロジェクトの選定などに関する重要政策の企画および関係機関相互の総合的な調整を行ない,内閣総理大臣へ意見を述べる任務をもつた宇宙開発委員会が設置されている。

現在わが国の宇宙開発は,同委員会が策定した宇宙開発計画(昭和45年度決定)に沿つて実施することになつているが,この宇宙開発計画によれば,宇宙開発事業団は,技術試験衛星型および電離層観測衛星の中高度衛星ならびに技術試験衛星2型および実験用静止通信衛星などの静止衛星の開発を行なうとともに,これらを打ち上げるためのNロケットの開発および追跡管制体制の整備を行なうことになつており,また東京大学は,科学衛星およびこれを打ち上げるMロケットの開発を進めることになつている。

現在,これらの開発進捗状況は,宇宙開発事業団では,電離層観測衛星のプロトタイプの開発を進めている。また,実用ロケットについては,その基礎的な調査を終え,システムの設計に着手しようとしている段階である。

第3-22表 宇宙関係予算の推移

第3-23表 主要国の宇宙開発予算の推移

また,東京大学が行なつている科学衛星およびMロケット開発の進捗状況については,昭和45年2月,L-4S-5号機によりわが国初の人工衛星「おおすみ」の打上げが成功し,引き続き昭和46年2月,M-4S-2号機により「淡青」の打上げに成功した。これにより今後は本格的な科学衛星が打上げられることとなろう。科学衛星は,現在第3号まで完成,第4号はプロトタイプで完成,第5,第6号は研究の段階にある。Mロケットについては,全段誘導の改良が進められている。

このほか,科学技術庁,通商産業省所属の試験研究機関においては,ロケットエンジン,精密計測,空気力学,シュミットカメラなどのロケット,人工衛星に関係する基礎的研究を実施しているほか,郵政省,運輸省,建設省所属の試験研究機関などにおいては,実用衛星の利用システムおよび塔載機器の研究を進めている。

これらの諸研究は,自主技術開発力を高めるとともに,人材の養成,研究から開発へのすみやかな移行を助けるものとして,わが国の宇宙開発の一環として重要な役割を担つている。

わが国の宇宙開発関係予算の推移および主要国の宇宙開発予算の推移を 第3-22表 および 第3-23表 に示した。


(3) 海洋開発

諸外国においては,最近海洋開発を原子力開発宇宙開発につづくビッグ・プロジェクトとしてとりあげ積極的な活動を進めている。

わが国の海洋開発は,関係各省庁の協力のもとに,海洋科学技術開発推進連絡会議の実行計画に基づき,推進されている。

昭和45年1月の実行計画では,国が中心的役割を担うプロジェクトを設定した。このプロジェクトは鉱物,水産資源,大陸棚調査など広範な分野に及んでおり,総合的研究の必要性が強く要請されている。

この実行計画について,昭和45年10月内外の諸情勢の進展に即応して所要の見直しを行なつた。

諸外国と同様に,わが国においても海洋開発の必要性は広く認識されており,わけても,水産資源利用についての国際的制約が強化されるなかで需要の増大に対処しなければならないこと,消費量が急激に拡大しつつある各種鉱物資源の確保の必要性が高まつていること,工業立地と生活環境保全との不調和が尖鋭化していることなどは,海洋開発への強い誘因となつている。こうしたことから,今回の見直しは海洋開発のための現段階に見あつた改訂を行ない,これに加えて海洋汚染対策に必要な科学技術の開発課題をとりあげるなど新しい要素を組み込んだ。

第3-24表 海洋開発関連経費


第3-24表 に,日本の海洋開発関連経費を省庁別に示した。


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