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第2部   科学技術活動の動向
第3章  国際交流の動向
1  国際機関における活動
(1)  国際連合および専門機関



(1) 国際連合

国連の科学技術活動は,調整機関である経済社会理事会(ECOSOC)の総括のもとに,各種機関を通じて行なわれており,近年,開発途上国援助,環境問題,巨大科学技術を中心に活発な活動が展開されている。科学技術活動の国連活動に占める比重の増大により,科学技術に関する機構をいかに再編改組するかが問題に上つており,現在ECOSOCの科学技術諮問委員会で検討されている。

まず,開発途上国援助では,国連開発計画(UNDP),国連貿易開発会議(UNCTAD),国連工業開発機構(UNIDO)などを中心とする技術協力が,逐年質量ともに拡充されてきている。国連は,こうした関係機関の援助活動を組織的に行なうため,1960年代を「国連開発の10年」として積極的に取り組み,かなりの成果をあげてきたが,先進国と開発途上国の格差が依然として拡大の一途をたどつているため,さらに1970年代を「第2次国連開発の10年(UNDDII)」として,新たな展開を図ることとなつた。このための開発戦略において,10年後の開発途上国の研究開発支出の努力目標が設定されるとともに,従来の技術協力に加えて先進国の研究開発協力,技術移転の促進に関する協力を行なうことが明らかにされている。

また環境問題では,近年世界各国の関心の高まりとともに,国連は従来の各種専門機関による活動に加えて全世界的規模で問題解決にあたるため,これに取り組もうとしている。その第一歩として欧州経済委員会(ECE)の主催で1971年プラハで環境会議を開くことになつており,ついで1972年にはストックホルムで「人間環境に関する国連会議」を開く予定で,加盟各国はこの準備作業を行なつており,わが国もこれに積極的に参加している。

さらに,原子力利用,宇宙開発,海洋開発の巨大科学技術については,それぞれ科学委員会および国際原子力機関,宇宙空間平和利用委員会,海底平和利用委員会で協力活動が行なわれている。

科学委員会では,放射線の影響に関して活動が行なわれている。

原子力利用に関する活動の大部分は国際原子力機関で行なわれているが,これについては項を改めて述べる。

宇宙空間平和利用委員会においては,宇宙空間の定義,宇宙空間に発射された物体により生じた損害の賠償に関する協定案,宇宙の利用の促進や直接放送衛星についての法的,技術的な検討など宇宙活動の原則および技術上の諸問題などの審議が続けられている。

海底平和利用委員会では,1970年の第25回国連総会において「深海海底を律する原則宜言」が採択され,深海海底を人類の共同財産として平和目的のために保留することになつたのに伴い,この原則宜言に従つて深海海底に関する一般的な国際条約の作成作業が進められている。


(2) 国連教育科学文化機関(UNESCO)

ユネスコの自然科学関係の事業としては,1)科学政策,基礎研究および科学情報,2)科学教育と技術教育研究,3)環境科学と天然資源研究の3つが主なものであり,これらの事業は政府間共同調査研究事業および「国連開発の10年計画」を中心として,逐年活発化している。

まず,科学政策では,1968年に開催された「アジアの開発への科学技術適用会議」に基づき,アジア極東経済委員会(ECAFE)と協力体制をとつて,科学と技術と生産のリンクの強化について検討が進められていたが,最近新たに科学技術ユニットが設けられることになつた。基礎研究では,国際学術連合会議(ICSU)など多数の国際学術団体に対して補助金などを支出しており,また,1965年から実施されてきた微生物研究事業が,1968年の第1回国際微生物株保存会議の開催,1970年の国際微生物株保存機関連盟の結成にみられるように順調な進展をみせている。科学技術情報では世界的科学技術情報システム(UNISIST)について検討されている。

科学技術教育では,わが国の協力事業として1965年以来,東京工業大学において化学および化学工学に関するユネスコ国際大学院研修コースを開催しており,1970年には,地熱エネルギー研修コース(九州大学),コンピュータテクノロジー研修コース(東京),科学技術ドキュメンテーション研修コース(東京),出版技術研修コース(東京)を開催した。また,日本政府が資金を提供して,アジア地城に農業教員養成モービルチームを派遣する事業が昭和45年度から開始された。

環境科学や天然資源研究は,主に政府間共同調査研究事業で行なわれ,まず「人間と生物圏」事業計画(MAB)は,生態学的観点から,生物圏資源の合理的利用と保護,人間と環境との相互作用の解明を進めようとするもので,1971年に発足することになつている。政府間海洋学委員会(OC)では,国際インド洋調査(OE),熱帯大西洋共同調査(CITA),黒潮および隣接水域共同調査(CSK),地中海共同調査(CIM),カリブ海および隣接水域調査(CICAR),中東大西洋北部共同調査(CINECA),南大洋共同調査,全地球海洋ステーションシステム(GOSS),大平洋津波警報組織などが実施されてきた。このほか,国際水文学10年計画(HD)が実施され国際地質対比計画(GCP)が準備されている。また,政府間共同調査研究事業ではないが,地震学,地震工学の事業が行なわれている。


(3) 国際原子力機関(IAEA)

IAEAは世界平和に対する原子力の貢献を促進することおよび原子力の軍事利用防止の二大目的のもとに設立されたものであり,技術援助,核物質などが軍事目的に利用されないための保障措置の実施,核物質設備などの供与および交流の促進,原子力科学技術情報の交流の促進,各種基準の作成等幅広い活動を行なつている。これらIAEAにおける活動の方針,実施計画等の決定は,総会および理事会を中心になされているが,ここ2,3年のこれらの場における活動は,1968年の非核兵器保有国会議においてとりあげられた諸問題の検討に重点がおかれてきた。

まず,核兵器不拡散条約(NPT)下における保障措置の問題については,理事会の下に保障措置委員会を設置し検討が行なわれ,1970年7月各国の核物質管理制度を活用して簡素にして合理的なものとするなどの原則が決定され,さらに具体的手続について検討している。

理事会の構成再検討の問題については,1970年の第14回総会において理事国数を25から34に拡大し,かつ地理的配分の公平を図る案が採択された。

技術援助については,主として技術援助にふりあてられる任意拠出金の目標額を1971年から引きあげることになつた。また,最近では,IAEAの支持のもとにアジア地域において研究開発,人材養成などについて共同プロジェクトを推進する計画が具体化しつつある。

このほか,原子力科学技術情報の流通の促進,核爆発平和利用,特殊核物質基金などについても協力活動が進展している。


(4) その他

国連食糧農業機関(FAO)は,加盟国の国民の栄養水準を高め,農産物の生産能率の改善を保証し,農村の生活状態を改良することを目的として,栄養,農業に関する科学的,技術的な調査および教育,天然資源の保全等の技術活動を行なつている。環境問題では,1970年に世界食糧会議で人間環境の保全について検討が行なわれ,また,「海洋汚濁が生物資源と漁業に及ぼす影響に関するFAO技術会議」で,汚濁防止のための勧告が行なわれている。

世界保健機関(WHO)は全世界の人々に高い水準の健康を維持させることを目的として,情報の収集および交換を行なつているほか,コレラ,チフス,ペストなどの国際的な検疫伝染病に関して活動を行なつている。環境問題については,環境と健康,病気との関連に関する諸問題の解明に取り組んでいる。昭和45年には,公害に関するセミナー(大阪)を開催し,環境汚染の人体への影響,測定監視体制の企画,環境基準の設定などについて研修を実施している。


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