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第2部   科学技術活動の動向
第2章  科学技術情報活動の動向
2  科学技術情報活動をめぐる国際協力の現状と諸外国の動向
(1)  国際協力の現状


科学技術情報の増大によつて,情報の蓄積と流通に対する要求を満足させる国家的システムを確立する場合,国際的な協力が不可欠となりつつある。

このような観点から科学技術情報流通に関する国際的な協力の動きが,近年活発化している。国際協力は,国際的機関を通じて行なわれる情報の交換,政策の調整,標準化など多国間的なものおよび資料交換,人材交流などを行なう二国間協力との二つに分けることができる。前者を扱う機関としては,国際連合の専門機関,CECD,ISO,FID,ICSUなどがあり,後者には,日韓,日米協力がある。

以下これら国際協力の現状を概観する。


(1) 多国間協力
1) 国際連合

国際連合の専門機関の中で,国際連合教育文化機構(UNESCO),国際原子力機関(IAEA),国際連合食糧農業機関(FAO),世界気象機関(WMO),世界保健機関(WHO)などがそれぞれの立場で情報交換,データネットワークの確立など科学技術情報活動に取り組んでいる。

国際連合教育文化機関は,国際学術連合会議,(ICSU)との協同のもとに世界的科学技術情報システム(UNISIST)の創設を検討している。

UNISISTは,本来任意加盟の協力組織で

1) 科学技術逐次刊行物の登録
2) ISOとの協力により機械可読型の書誌記法の標準化
3) 世界的規模での情報流通に必要な研究開発ユニットの確立,とくにユニットは言語問題に関心をもつべきこと。
4) 開発途上国をUNISISTと有効に結合するためのプロジェクトをもつべきこと。
5) CODATAおよび科学技術情報評価センターの役割を重要なUNISISTのエレメントと考えるべきこと。

などを勧告したが,当面,UNISISTの組織として1)政府間会議,2)諮問委員会,3)執行部を考えている。

なお,わが国においては,日本学術会議の学術情報研究連絡委員会を中心に,UNISISTに対する取組み方等について検討されている。またIAEAにおいては,国際原子力情報システム(INIS)が創設され,活発に活動している。

すなわち加盟国あるいは加盟国のグループは,その地域で発表された科学技術文献を詳しく調べ,INISの主題範囲に含まれているものについて完全な書誌事項,キーワード,抄録を提出する。なお文献が入手困難なものは全文を添える。

加盟国から受けとつた資料のうち,書誌事項とキーワードは磁気テープに収録し,抄録と全文はマイクロ・フイッシェに変換蓄積する。

加盟国は,月2回磁気テープサービスと磁気テープより作成した索引誌のサービスを受けることができる。また,抄録と全文については予約により購入できる。

昭和45年から入力作業が開始され,当初は限定された主題範囲にしぼり,これを拡大していく予定である。すでに5月には磁気テープ(INIS原子力インデックス)と抄録等のマイクロ・フイッシェを配布した。現在のINISへの参加はわが国を含めて34か国と4国際機関である。


2) 経済協力開発機構(OECD)

OECDにおける科学技術情報流通の問題は,研究協力委員会の中の情報政策グループにおいて検討されていたが,45年機構改革により,情報政策グループは科学政策委員会に移つた。

情報政策グループの活動は,各国の国家情報政策についての意見の交換を行なうもので,わが国も毎年代表を送つている。現在カナダについてのコンフロンテーションを行なつているほか情報分析センター,情報専門家の教育および訓練もテーマとしてとりあげている。なお,本グループは,作業パネルを設け,情報の経済性の問題,情報システムの相互連絡,環境管理における情報流通について検討を行なつている。

最近の動きとしては,科学技術情報流通問題は電子計算機利用と密接不可分のものであり,電子計算機利用グループとの接近を図るため,その連絡調整を行なうアドホックグループを科学政策委員会の中に設けることになつた。


3) 国際学術連合会議(ICSU)

ICSUはその前身である国際研究会議の時代からドクメンテーションと情報流通の問題に関心をもつており,天文学と地球物理学の分野では設立(1931年)以前から科学技術情報サービスを行なつていた。

ICSUには日本学術会議が国家会員となつて参加しているがその主な情報としては,物理,化学,生物,天文学,地質学,結晶学の分野における一次および二次情報の流通を国際的な規模で促進することを目的とするICSU文献抄録委員会(ICSU-AB)と,科学技術に重要な物質の特性に関する評価されたデータの収集,配布を世界的規模において推進することを目的とした科学技術データ委員会(CODATA)の活動をあげることができる。


1) ICSU-AB

本委員会の活動はいくつかの作業グループを通じて行なわれるが,現在次のような作業グループが活動している。

〇 利用者の要求に関する作業グループ

情報利用に関する要求の国際的比較の可能な調査

○ 標準化作業グループ

UNISISTと共同で機械可読型書誌記法の標準化

〇 分類方法作業グループ

物理,化学,生物,天文学,地質学の分野における加盟サービス部門

(Astronomy and Astrophysics Abstracts,Biological Abstracts,Bu11etin Signaletique,Chemical  Abstracts,Physics Abstracts,Physikalishe Berichte,Referativnyi Zhurnalなど)の共通分類法の開発

○ 物理分野の協力作業グループ

物理学に関する加盟サービス部門間の情報交換


2) CODATA

現在本委員会が行なつている研究は,重要な物質に関する数値的データの収集,評価,出版,提供のための計画の作成と世界的規模での目録作成,数値データの作成処理への電子計算機導入の方法の開発およびその互換性の確保である。


4) 国際標準化機構(ISO)

ISOの科学技術情報流通に関する活動は,ドクメンテーションの標準化を扱うISO/TC46と情報処理における標準化を扱うISO/TC97の二つの技術委員会で扱われている。


1) ISO/TC46

本技術委員会には,文献の複製再生産と使用言語の変換とを担当する二つの作業部会があるが,これまでに書誌的記法の標準化,音訳の標準化,マイクロコピーに関する標準化について多数の勧告を行なつてきた。

現在ドクメンテーションの用語,翻訳物のレイアウト,機械化に伴う標準化などが検討されている。

わが国では昭和44年ISO/TC46ドクメンテーション日本国内委員会が発足し,事務局を日本ドクメンテーション協会に設置した。この委員会の目的は,日本工業標準調査会ISO部会の委託を受け,ISO/TC46が扱う事項の審議に当り,ドクメンテーションに関する国際標準化事業に協力するとともに,ISO規格の国内への普及につとめ情報に関する標準化に協力することにある。

なお,本委員会は,ISOの正規メンバーとして登録された。


2) ISO/TC97

本委員会は,用語集,文字とコード,文字認識,,入出力,プログラム言語,デイジタルデータ変換,定義と分析,機械装置の数値制御を扱う8小委員会から構成され,コードの互換性などに関する勧告を行なつてきた。現在,磁気テープ,パンチテープなどの物理的特性とコード,光学認識用の文字,プログラム言語に関する勧告が提出され,または審議中である。


5) 国際ドクメンテーション連盟(FID)

FIDは1895年創始され,ドクメンテーション分野における主導的な国際的組織であるが,UNESCO,ICSU-AB,ISO,OECDとの密接な協力のもとに活動している。わが国では,日本学術会議が国家会員となつている。

現在,情報の理論的基礎の研究,国際十進分類法,分類法研究,機械化技術とシステム,ドクメンテーションにおける言語学,産業のための技術情報,ドクメンタリストの養成,開発途上国におけるドクメンテーションの活動の必要性などの分野において活動している。

なお,開発途上国の問題については特別委員会(FID/DC)を設けている。

このほか,FIDの地域組織として,アジアオセアニア委員会(FID/CAO)が新設され,その第1回委員会が,昭和45年4月東京で開催された。


(2) 二国間協力
1) 韓国

昭和45年8月,第2回日韓科学技術担当大臣会談が開催され,日韓両国が,科学技術面で緊密な協力関係を続けることで意見の一致をみ,科学技術情報の交換をはじめとする7項目事項を申し合わせた。この合意事項の中には,日本科学技術情報センターにおけるKORSTIC職員の研修,資料交換など日本科学技術情報センターと韓国科学技術情報センター(KORSTIC)との間の協力をより一層緊密,かつ強力なものにすることが含まれている。


2) アメリカ
1) 日米科学委員会第3カテゴリー(科学技術情報交換)

日米科学委員会の科学技術情報交換に関する専門家会議において,「国際情報システムと国内情報システムとの関連性に関するセミナー」が,昭和45年11月,アメリカで開催された。このセミナーにおいて,

(a)科学技術情報に関する国際協力活動のレビュー
(b)国際情報システム参加に関連する諸問題
(c)国際情報システムの展望および国内情報システムの役割
(d)日米両国における政府,学協会,その他の役割
(e)国家的立場からみた国内情報システムと国際情報システムの調整等に

ついての意見交換がなされた。


2) 国立医学図書館(NLM)

NLMと科学技術庁との間でMEDLARS(医学文献分析検索システム)の検索実験が行なわれている。

MEDLARSは,NLMがインデックス・メディカスの編成過程を昭和39年に機械化し,機械検索を可能としたシステムである。MEDLARSはサーチセンターと称する衛星センターを設置し,専門分野別文献リスト,SDIサービス,検索サービスなどのサービスを行なう一方,その地域で発生する医学情報の入力処理を分担する形で,ネットワークを国際的に拡大しているシステムである。

サーチセンターは米国内部に4か所,外国では,イギリス,スウェーデン,オーストラリア,デンマーク,フランス,西ドイツに設置されている。その他,わが国をはじめとしてベルギー,カナダが設置の方向で準備を進めている。


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