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第3部   政府の施策
第2章  政府機関等における研究活動
5  国立試験研究機関の研究成果
(3)  科学技術庁


〔航空〕

V/STOL機に関する研究においては,フライングテストベッドについて,パイロットの操縦によつてガイドレール(拘束装置)にそつた上下運動を行ない高度制御の実験を実施し自由飛行計画の一段階を進めた。リフトエンジンについては,JR 200(推力重量比約16)の性能を確認し,さらに一部チタン化,タービンの冷却等の技術を駆使し,その性能向上を図つたJR2200の製作を完了した。

遷・超音速機の研究においては,国産機の開発のために,その風胴試験を行なうとともに,風胴測定技術の向上を図つている。また,航空機設計に必要な基礎データの集積を行なつた。

航空機の安全に関する研究については,自動着陸の研究,乱気流,ジェット輸送機の操縦室の人間工学的研究などを重点に進め,それぞれ成果を得た。

〔宇宙〕

基礎的先導的研究を進めるとともに,わが国の宇宙開発計画の支援を行ない,固体ロケットの性能向上,液体ロケットの研究,誘導に関する研究等を進め,実機に活用できる設計資料を提供した。

〔金属材料〕

昭和39年以降,3段連続製鋼装置による連続製鋼技術の開発研究を進めているが,現在までに1チャージ溶銑6トン規模の試験操業を実施し,操業法および耐火物等に関する基本的問題について各種の知見を得た。

溶接の研究においては,造船用大型厚鋼板等の溶接作業の能率向上を目的とした片面溶接法の研究を行ない1)裏ビートの形成状態の探知2)開先精度の検出,3)開先中心位置の検出等の新技術を開発した。また,昭和44年度上期においては,片面溶接自動制御装置の試作に成功し,その実用化への道を開いた。

粉末冶金の研究分野においては,高密度焼結材料を開発することを目的として,液体噴霧法による金属粉末製造法の研究を行ない,圧粉成型性が非常にすぐれた金属粉末の製造条件を確立した。なお,液体噴霧装置は,新技術開発事業団の開発あつせんにより,企業化が行なわれることになつた。

〔無機材料〕

非金属無機材質に関する研究としては,超高純度の炭化珪素(SiC)の新しい結晶形(9T,10H 27R型)の単結晶を発見した。これは,耐熱半導体の開発を可能とするものとして期待されている。

さらに,硫化鉄(Fe-S)の合成研究において新化合物グレギット(Fe3 S4 )の合成に成功し,磁気的,誘電的性質について解析した。

これは,鉄と硫黄の化合物で鉄の化合物のなかでは一番磁性が強く,磁性材料としては,従来のフエライト(酸化鉄)に代る新材料として,電子計算機の記憶回路をはじめ,エレクトロニクス分野での利用が注目されている。

〔防災〕

長野県松代市において,深さ1,930mのボーリングを行ない,松代群発地震の震源域を構成している岩石を直接採取し,これに地震によるすべり面を発見した。これら岩石の産状から,地震が第三紀の新しい岩石中で発生していることが明らかとなり,また,成因論的にも,群発地震は,モザイクな地質でおこるという最近の仮説が検証された。

道路の除雪作業を計画する際に正確な降雪強度を知る必要があるが,このために雪片が光を散乱する性質を利用して,空間における雪片の分布密度から降雪強度を測定する新しい型の降雪強度計を試作した。これは,風の強い時でも降雪量を正しく観察できる長所があり,雨量計型降雪強度計などの他の計器と併用して観測することにより,降雪の強さを正確に測定することができるものである。

〔放射線医学〕

原子力開発利用計画の一環として,放射線医学の研究を進め,放射線障害の回復については,1)分子レベルでは暗回復の機構として二ち以上のものがあること,2)細胞レベルでは高等生物細胞における障害の本質がDNAの損傷にあり,回復現象はその修復であること,3)臓器のレベルでは造血細胞系,とくにリンパ系と赤血球の回復において細網細胞が重要であること,4)個体レベルでは副腎皮質ホルモンが回復に重要であること等を明らかにした。

また,プルトニウムによる内部被ばくに関する調査研究においては,1)吸入後プルトニウムは主に肺に残留し,大部分は糞中に排泄されること,2)プルトニウムの内部被ばくによつて網内系機能が低下すること,3)利胆剤によるプルトニウム生体除染の可能性を支持すること,等がわかつた。同時に,プルトニウムの最大許容負荷量まで検出しうるよう肺負荷測定器を改良した。

なお,放射線医学領域における造血器移植に関する調査研究に着手し,組織適合性,続発症発現機構,移植造血細胞の動態等について新しい知見を得た。


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