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第2部   科学技術活動の動向
第4章  技術交流および特許出願の動向
4  特許出願の現状


特許制度は,発明である新技術を公開させ,その代償として一定期間その技術の独占を発明者に認め,その研究投資に対する報償を与えるとともに,公開した内容を基盤として技術の進歩を図ろうとするものである。これにより,発明者は,新製品,新技術の分野における独占的地位確保の手段としたり,特許実施権を商品化して収入を得ることができる。

第2-110図 特許,実用新案の出願件数の推移

第2-38表 主要国の外国人出願(特許および実用新案)の内訳

第2-39表 部門別特許出願件数

とくに,企業の利益率を高水準に保つためには,特許権の果たす役割が大きく,特許は,技術交流において,最も重要な対象となつている。以下,最近における特許出願の現状について述べることとする。

最近における特許および実用新案の出願状況をみると, 第2-110図 に示すとおりである。これによると,特許および実用新案の出願件数は,昭和42年度にやや減少する傾向をみせたが,43年度には再び増加の傾向を示しており,戦後年々増加の傾向にあるといえよう。

第2-38表 に,主要国の外国人出願の内訳を示す。これによると,先進諸国ではほとんどの国が自国出願より外国出願の数が多くなつている。

このような特許の外国出願は,出願国の出願相手国に対する技術輸出の潜在力になるとみられる。外国出願率の高低は,その特許が外国出願に値するかどうかという特許の質の問題,外国市場に対する期待の相違,国内市場等いろいろな要因によつてきまるものであり,これをもつてただちに,技術水準の比較を行なうことはできないが,今後,経済の国際化が進むとともに,わが国企業の技術水準の向上に伴なつて,対外国出願は,増加していくものと思われる。

次に43年度における特許出願を部門別にみると 第2-39表 のように化学が28,236件で全体の29.3%で最も多く,ついで機械の18,625件で19.9%,弱電の15,399件,16.0%が高い比率を占めている。とくに,弱電部門は対前年度増加率が44.2%と最も高くなつていることが注目される。各部門別の外国人の出願割合をみると,化学の9,507件(全外国人出願件数の37.1%)が最も高く,ついで機械の5,761件(23.6%)で,この両者で全外国人出願の60%を占め,外国人出願は,化学,機械に集中していることが認められる。

弱電部門のうち,とくに出願件数の増加が注目されるものとしては 第240表 のように電気通信,多重伝送,基本電子回路,半導体装置およびこれに使用する半導体等がある。これらは,パルス技術によるPCM通信,光通信等に関する出願の増加,半導体装置,その他の回路部品の小型化,集積化に関する出願の増加等が大きな影響を与えているものであり,近年の技術開発の傾向を示しているものといえよう。

その他,化学部門においては,合成樹脂,ゴムの配合加工,公害防止,水資源開発に関する出願の増加,機械部門では, ロータリエンジンの改良,排気ガスの浄化のほか,公害対策を反映して排気ガス洗浄装置,電気集塵装置に関する出願の増加,運輸機器,建設部門では,自動車の自動変速装置や衝突などの際の安全装置,建築,土木関係における工法の迅速化,軽量化,長径間吊橋に関する出願の増加などが注目される。また,強電部門においては,リニアモータ,MHD発電,燃料電池およびその電気自動車への応用に関する出願がめだつている。

第2-40表 弱電部門主要類別特許出願

次に,国内企業の特許出願の状況を,科学技術庁の行なつた調査に基づいて,その概要を述べることとする。この調査は,昭和43年度に国内の資本金1億円以上の企業828社を対象として昭和39年度〜41年度の国内企業の特許出願状況を調査したものであるが, 第2-41表 のように,資本金規模別にみると,100億円以上の企業では1社当たり801件に達しているのに対し,1〜10億円の企業では18件となつており,企業規模の大きい企業ほど出願件数は多くなつている。

次にこれを,業種別にみると,電気機械工業が1社当たり510件と最も多く,ついで化学工業,非鉄金属工業,鉄鋼業,機械工業,輸送用機械工業,精密機械工業などが多い。これを,外国への特許出願でみると,資本金規模の大きい企業ほど出願件数が多くなつていることは,国内出願と同様であり,業種別では,化学工業,電気機械工業の2業種が17件でとくに大きくなつており,ついで精密機械工業の10件が多い。

第2-41表 特許活用状況


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