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第2部   科学技術活動の動向
第3章  国際協力活動の動向
1  国際機関における活動
(2)  経済協力開発機構(OECD)


OECDは,経済の成長,開発途上国への援助および相互の貿易の拡大という主な目標を掲げて加盟各国の政府代表者会議,加盟国相互間の政策調整,共通ルールの設定,情報資料の交換,共同研究等を行なつている。

OECDの科学技術における活動は,科学政策委員会(CSP),研究協力委員会(CRC),科学者技術者委員会(CSTP)等が中心となり,それぞれ,各国の科学政策の立案,実施についての意見交換,大気汚染,都市問題,輸送問題等の研究協力,科学技術者養成のための各国の教育度についての意見交換等を進めている。

科学政策委員会における活動としては,各国の科学技術政策のコンフロンテーション加盟各国の研究開発統計の整備充実などを通じて,各国の科学技術政策の進展,科学技術の振興を図ることがある。とくに,昭和41年以来,検討が行なわれたきた「技術格差」論は,昭和43年3月の第3回「科学大臣会議」で討議に付され,折から資本の自由化や技術導入の自由化を控えていたわが国において,多大な関心を呼ぶこととなつた。このようなことから,科学政策委員会の現在の活動の中心が,この技術格差の検討に端を発した格差解消のための科学技術政策のあり方をめぐつての検討となり,政府負担の研究開発計画の選択と管理に関する問題,技術革新の条件,技術予測技術の検討,技術移動問題,コンピュータの公共的利用等に重点がおかれるようになつた。さらに今年になつてから科学技術が,経済成長の結果生じた「現代社会の諸問題」の解決に果たす役割を検討しようとする新たな動きが起き,加盟各国の強い関心をよんだ。これは,これまでの科学技術政策が,経済成長の手段として自然科学にのみ目を向け,その独自の発展を図つていたのに対し,社会科学および人文科学を含めた科学技術の進歩を経済社会の枠組の中で統一的に把握し,「現代社会の諸問題」の解決に寄与させる総合的施策が必要となつてきているという認識に立つものである。

このように環境開発,都市問題,情報問題,輸送問題など,「現代社会の諸問題」に対処していくために科学技術政策を国の重要な政策の一つとしてとらえ,そこから新しい科学技術政策の方向を生み出そうとするOECDの新たな動きがみられる。

OECDにおける国際研究協力は,OECD設立と同時に,科学研究委員会により,進められてきたが,その後,研究協力委員会の設立に伴い,従来科学研究委員会で行なわれていた研究分野について検討が加えられ,基本的には政府が関与する公共部門に関する研究活動を中心に活動を進めることとなつた。これに基づき,さしあたつて,環境研究,都市および輸送問題,材料研究,科学技術情報研究がとりあげられることとなり,わが国も,1964年,OECD 加盟以来,積極的にその研究協力活動に参加している。

研究協力委員会ではこれらのテーマを,「現代社会の諸問題」解決のための課題とし評価し,1970年においても,ひきつゞいて継承するとともに,新たに水資源開発,大気汚染等に関するテーマをつけ加えることを検討している。

科学者技術者委員会は,教育計画の立案と教育投資問題,科学者,技術者などの活用の問題を担当しており,もともとは,加盟国における科学技術者の養成と供給という課題を経済発展計画との関連において検討し,経済成長のための科学技術マンパワー政策を作成するという構想のもとに発足したものであるが,最近は,経済社会全般の発展計画の基盤をなす教育全般についての計画に活動の重点を移してきている。これは,教育が,経済成長の手段ではなく,人間の,社会生活に充足をもたらすと同時に,現代社会の中心課題をなすものであるとの認識に基づくものであり,今後のOECDの動きが注目される。

以上のほか,OECDの活動で特記すべきものとして,原子力平和利用促進を目的として設置されている欧州原子力機関(ENEA)がある。ENEAは,OECDの中で他の委員会と同列のものであるが,会議形式による原子力政策についての情報交換のほかに,参加国が協力協定を締結し互いに資金を提供し合つて,独自の原子力関係事業を進めている。わが国は,40年2月ENEAに準加盟し,ハルデン計画,核データ編集センター,計算機プログラムテイブラリーに参加している。なお,わが国からも専門家を派遣していた食品照射に関するサイベルスドルフ計画は,昭和43年12月をもつて終了した。


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