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第1部   科学技術発展の展望
第5章  新分野の開拓と科学技術水準の向上
2  基盤的科学技術の培養
(7)  超マイクロ波技術


超マイクロ波とは,波長単位がミリメートル以下の波長領域の電磁波である。近年,マイクロ波技術のミリ波への応用およびレーザーによる光波領域の利用が発展しつつある (第1-63図参照)

これらミリ波およびレーザーは,通信をはじめとして各方面に利用されつつあり,共通的,基盤的技術としてきわめて重要なものである。

超マイクロ波技術は,通信技術の高度化の要請をうけて,エレクトロニクスの進歩に伴つて発達してきたといえる。

すなわち,より多量の情報の伝達,より精密なレーダ像の把握をめざして,長い波長からより短い波長の利用のために技術の開発が進んできた。ここで,最も重要なことは,新しい波長領域を開拓することにあつた。そして,エレクトロニクスの進歩に伴つて,発振方式は,三極管→板極管→進行波管,クライストロン→半導体ダイオードへと発達した。

第1-63図 発信方式と伝送容量の推移

現在,宇宙通信も含め,マイクロ波における発振方式は,進行波管やクライストロンにも用いられているが,波長の長い方から徐々にダイオードで置きかえられつつある。さらに,メーザー,ガンダイオード,レーザーなどの新しい電磁波(ミリ波から光波に至る領域)の発振方式および大電力化に向つて研究開発が進められている。他方,通信への実用化には,伝送特性の研究,機器の信頼性の向上など開発すべき技術課題は多い。そして,ミリ波帯や光波帯の電磁波の利用が可能になると,ミリ波帯では10〜100倍の通信容量が確保できるといわれている。

また,レーザーは,一つの搬送波で10万チャネルのテレビ信号,1億チャネルの電話が同時に伝送できるといわれている。情報化社会へと移行するなかで,放送,電話,画像通信,データ通信など通信容量は増大の一途をたどつており,超マイクロ波技術なくしては将来の情報量の増大に対処し得ないことは明白である。このほか,超マイクロ波技術は,計算機,精密測定,各種観測,医療,物性研究,金属加工などへの応用が期待されている。

(8)分析,計測技術先に述べたように,最近技術はより高精度,高性能を追求するようになつてきており,また,極限状態の探究が重要になつてきているが,これらを効率的に推進するためには,まず分析,計測技術を高度化することが必要である。

分析は,あらゆる物質の組成およびその量的割合に関する情報を適確に入手するための方法であつてそのため分析機器には各種計測技術が駆使されており,また計測はすべての科学的測定の基礎をなしている。

したがつて,現代の科学技術は,分析,計測技術を基盤として発達しているといつても過言ではあるまい。

分析,計測技術は,最近の技術革新の進展に応じて,迅速化,高精度化,高感度化へと進んでいる。

たとえば,従来一昼夜以上を要した石油成分の分析は,ガスクロマトグラフ法によつて十数分で行なえるように迅速化され,また有機工業薬品の分析には,従来±10%程度の誤差があつたが,赤外分光法でこれが±1%以内の高精度となり,さらに電子捕獲型検出器の出現により,塩素系農薬の場合10-7 から10-12 の微量含有量が,ガスクロマトグラフ法で高感度に分析できるようになつた。さらに,科学技術の発展に伴い,各種材質に関する物性,組成についてより高精度の資料が要求されつつあり,これに対応して,分析技術は,一層高度化が必要とされており,新原理に基づく測定方法の開発などが要請されている。

また,労働力不足の深刻化に伴い,分析,計測法は省力化が要請され,自動化が進められている。

たとえば,高信頼性のデータ自動処理法の開発が重要課題となつており,これに対処して測定結果を電子計算機によつて処理するため電子計算機を分析機器,計測機器に直結させるのに必要な技術課題について研究開発が進められている。

ー方,分析,計測技術の精度保持という観点から現代の技術水準に適合した標準のみならず,将来の技術の進歩を予測し,これに対応できるための高精度な標準の確立が要請されている。

このため,1)レーザー,原子時計などの新たな手法を用いた標準の精度の向上,2)混相流量などの動的現象を含む未開拓領域への新しい測定方式の開発,3)ミクロへの測定分野の拡大などの努力が払われている。

また,従来,標準は,長さ,重さ,時間などの物量に関する物理標準に限られていたが,近年,物性あるいは組成が確立された標準試料の重要性が国際的に認識され,物理標準に対応して化学標準,あるいは物質標準という概念が生まれつつあり,標準物質に関する国際協力のための体制整備とその研究の推進が必要となつている。


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