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第1部   科学技術発展の展望
第5章  新分野の開拓と科学技術水準の向上
2  基盤的科学技術の培養
(6)  触媒技術


触媒は,それ自身変化することなく,微量で物質の反応を促進させるものであり,化学工業における重要な基盤的技術となつている。

とくに,新しい触媒の創出は,近年の石油化学,高分子化学等の飛躍的発展の原動力となつたといわれる。

しかし,触媒については,まだ学問的な体系が確立しておらず,実用触媒の開発は,大学における純理論的な触媒研究とはあまり関係はなく,むしろ試行錯誤性の多い試作と試験によつて行なわれてきたといえる。

触媒技術の最近における主な動きについて概観してみると,まず石油精製関係では,従来合成シリカ・アルミナ触媒がもつぱら用いられてきたが,最近とくに注目されているものにゼオライト系触媒がある。

ゼオライトは,シリカ,アルミナを成分とする結晶性の物質であり,固体触媒として活発なものは無定形であり,結晶構造の発達したものは不活性であるという触媒に対する常識を打ちやぶつた。

そして,その触媒は,従来の触媒に比べて活性,ガソリン収率等の面で多くの利点をもつており,アメリカにおいてはこれが広く採用されている。

酸化触媒では,多元触媒(2種類以上の活性成分よりなる触媒)に関する技術分野の発達がめざましい。

アクリロニトリル合成触媒として,リン,モリブデン酸,ビスマス触媒が開発されてから多元系触媒の有効性,重要性が広く認められ,以来わが国でも酸化反応やアンモ酸化反応に使われる多種の新多元触媒が多数開発された。

次に,高分子重合触媒についてみると,金属錯体触媒の分野が最も重要な技術として注目されている。塩化チタンとトリエチルアルミニウムの組合せ触媒がドイツのチーグラー,イタリヤのナッタにより,エチレン,プロピレンの高分子重合に有効であるということが見出されて以来,続々と新しい金属錯体触媒が開発された。そして,このなかには国産技術も含まれており,プラスチックや合成ゴムの製造に少なからず寄与している。

今後の触媒技術の課題は,実用触媒についての基礎研究とこれに基礎を置いた実用的工業触媒の探索と最適使用条件の設定に必要な技術の確立にあるといえる。


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