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第1部   科学技術発展の展望
第5章  新分野の開拓と科学技術水準の向上
2  基盤的科学技術の培養
(4)  制御技術


制御技術は,生産の合理化のために必要な技術であるとともに,原子力開発,宇宙開発,海洋開発などに欠くことのできない重要な技術である。このような制御技術は,20世紀にはいり,鉄鋼業をはじめ,化学工業,石油精製工業等におけるプロセス制御に導入されることにより,その本格的発展期を迎えた。

しかし,初期の制御技術を支えた理論は,単なる調節の領域にとどまり,その多くは経験に基づくか,または比例,積分,微分の三動作に代表されるような簡単なダイナミックスによるものであつた。

第二次大戦中,イギリスで軍事防衛上の必要性からORの開発がはじまり,それが多数のループをもつ広範囲の制御系に適用されるようになり,制御技術は,古典的ないわゆる調節技術から大きな操業システム全体の制御技術へと拡大されるようになつた。

一方,制御理論の発達により制御不可能な因子,または制御対象システムに外部から加わる制御不可能な外乱等を統計的手法を用いて,数学的に記述することができるようになり,時間的に変化するシステムの制御の可能性を生んだ。

電子計算機の発達は,前者のような,ORに代表される大規模系の操業理論の発展にも,また後者のようなシステムの動特性に注目した制御理論の発達にもきわめて重大な影響を及ぼしている。これらの制御理論のすべては,電子計算機の計算能力を前提とした実用価値のある理論として出現し,発達した。そこで,静的な操業理論と動的な制御理論とは逐次総合化され,深い相関をもつようになり,制御技術は,単一ループの動作理論から大規模な操業システムの動作理論へと発展した。そして,その大規模な操業システムのなかで複数個の電子計算機をいかに配置し,いかなる関連をもたせ,各種プラントに多種多量の物質をいかに処理させるかというテーマが多くの国で取り上げられるようになつた。時分割で直接にプラントを制御させるDDC(Direct Digital Control)調節系の設定点やシステムパラメータを変更指令するSCC(Supervisory Computer Control)は,電子計算機の制御への応用の一大眼目となつている。

現在,電子計算機にどこまで集中制御させるかということ,これとは反対にどこまで段階をもたせ分散させるかということ,また,いかに計算機を相互に関連させるかということなどが研究されており,具体的に応用されつつある。

制御理論や制御システムの構成ばかりでなく,これらの発展と相まつて,制御機器はきわめて急速に発達している。かつて,空気式調節器は信頼性が高いものとして各方面に採用されていたが,現在までは情報量において,これに数段まさり,伝達速度も格段に高い電子式調節器がこれを凌駕している。

最近の労働力不足の深刻化は,産業用ロボットの開発を促したが,これは近代制御システムの構成理論,電子計算機の利用技術などの結晶のたまものである。さらにロボットは,単純動作の組合せによるトランスファーマシンではなく,それ自身が感覚や判断力をもつことが望まれているが,これが実現すれば画期的なものであり,その技術的波及効果は,きわめて大きなものがあるといえよう。

以上のように,制御技術は,現在,急速に進展している分野であり,さらに,一層の高度化が期待されている。そして,今後の制御技術の課題は,制御システム全体のなかでコンピュータ,計装機器などの諸要素をいかに位置づけ,各要素を有機的に結合することなどによつて制御機能をいかに適切に発揮させるかということであり,これとあわせ流体制御素子の開発,計装機器の高度化が必要とされている。


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