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第1部   科学技術発展の展望
第5章  新分野の開拓と科学技術水準の向上
2  基盤的科学技術の培養
(2)  電子技術


通信,放送など情報伝達技術として誕生し,固体物理学に支えられて発展してきた電子技術は,電子計算機を生み,最近では計算機技術を中核として驚異的な進歩をとげている。今日開発されている電子計算機は,1945年に開発された真空管による電子計算機に比較して能力において約1万倍,大きさにおいて約100分の1となつている。

一方,電子技術の応用範囲の拡大に伴い,電子計算機の処理能力の一層の向上が要請され,現在の電子技術の発展のすう勢は,パルス処理の高速化(または高周波化),電子機器類の小型化,軽量化および高信頼度化にあるといえる。そして,これらの要請にこたえるものとして,電子機器の各分野に採用されつつある集積回路(IC)の出現をあげることができる。すなわち,パルス処理の高速化の要請は,回路中を伝達する時間を無視し得ないものとして,素子の超小型化が不可欠となつた。また,電子計算機に使われている素子の数は,計算機の容量増大に伴い,年とともに指数関数的に増加した。そのために素子を1個づつ組立てていく方式は,作業能率などの面で限界(゛数の障壁″といわれている。)に達し (第1-61図参照) ,いくつかの素子を含む回路全体を一つの基板の上にくみ込んだ集積回路が開発されたのである。

第1-61図 電子計算機等の部品数の増加

また,集積回路の出現は,部品をハンダ付けして回路を構成するという組立,加工面での欠陥を取り除くとともに,接続個所の不良をなくすことによつて信頼性の向上に多大な貢献をしつつあり,今後は,さらに大規模な集積回路(LSI)に進む方向にある。

また,他方では,直接,物理現象を電気信号に変換する機能素子の研究が進んでいる。

これは固体内において電子と光,音波,磁気等の相互作用の現象を利用するものであり,とくに,光を利用した計算機の開発に大きく寄与するものと期待されている。なお,機能素子の例としては,すでに圧力,電気変換の機能をもつ感圧素子が世界に先がけてわが国で開発されている。

こうした電子技術の発展を支える電子材料面での進歩も著しく,半導体としてあまりにも有名になつたゲルマニウム,シリコンの高純度物質のほかに,最近では砒化ガリウム(GaAs),アンチモンインジウム(InSb),硫化カドミウム(CdS)などの化合物半導体が開発されている。

電子技術は,計算機技術をはじめとして,通信技術,制御技術,計測技術等非常に広範囲に応用され,しかもそれぞれの心臓部としての役割を担つているものが多い。したがつて,今後の技術革新を支える基盤的科学技術として,その発展を図る必要性はきわめて大きいといえよう。


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