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第1部   科学技術発展の展望
第5章  新分野の開拓と科学技術水準の向上
2  基盤的科学技術の培養
(1)  材料技術


結晶物理学,高分子化学などに支えられて発展してきた材料技術は,新技術の開発に重要な役割を果たしている。その例として,超大型船,長大橋の建設を可能にした高張力鋼,超音速機を成功させたチタン合金,山陽新幹線の高速電車モータの耐熱材として使われる予定のポリベンゼンイミド(PBI)などがある (第1-60図参照)

材料技術の進歩は,材料そのものの品質の向上と製造技術,加工技術の進歩に大別できる。

前者については,1)自然に存在する材料あるいは新たに合成された材料から優秀なものを探索する方法と,2)既知の材料を改質させる方法,たとえば添加物を加える方法,純度を高める方法,および2種類以上の材料を組み合せる方法がある。

無機材料技術についてみれば,その発展の基礎となる考え方は,近年,大きく変ろうとしている。戦前の開発方向は,1)に重点がおかれていたが,現代の材料開発は,電子材料であるゲルマニウム,シリコンなどの高純度材料や複合材料にみられるように,材料を人為的にコントロールして,必要な機能を付与するような方向にあり,在来材料の性能の向上や新しい機能の創出に著しい発展がみられ,次々に多種多様な性質をもつ材料が出現している,さらに,新しい,よりきびしい使用環境に耐えうる性能をもつ材料,たとえば宇宙開発用の材料として研究されている超強力鋼(マルエージ鋼,引張り強さ180Kg/mm2 ),原子炉用材料として研究されている高温に耐えうる燃料被覆材などの開発が進められている。

第1-60図 戦後の主要な金属材料の開発の推移

一方,有機材料技術についてみると,発展の中心は合成高分子材料にあるが,とくにプラスチックは各種共重合体,工業樹脂をはじめ補強材を組み合わせた複合材料や発泡体が次々に出現している。さらに,今後は,導電性高分子,光学用高分子などの新しい合成高分子材料の開発が期待されている。

複合材料は,金属,セラミック,プラスチックなどの異性素材を組合わせた材料で,未来の材料開発の主役を演ずるものとして期待されている。とくに最近では,熱可塑性複合材料として,FRP(繊維とプラスチックを組み合せたもの),FRTP(ポリエステルとガラス繊維の組み合わせたもの),繊維強化金属(繊維と金属とを組み合せたもの)などが開発されている。

また,材料の製造技術および加工技術の発展方向は,生産規模の巨大化と生産,加工工程の直接化,連続化が特徴としてあげられる。

以上のように,材料技術は,科学技術全般の水準の向上に寄与するものであり,多くの研究開発プロジェクトの鍵を握つており,その発展の動向は,科学技術の進展を左右するといつても過言ではない。常に在来材料の性能向上や新しい機能の創出に努めるとともに,その製造,加工技術の高度化を図り,汎用性を高めることが肝要であろう。


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