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第1部   科学技術発展の展望
第4章  経済の効率的発展における科学技術への期待
4  経済基盤の強化と技術開発
(3)  鉱物資源の開発


最近のわが国の資源需要の拡大ぶりは,高度経済成長を如実に反映している。すなわち,わが国の資源需要の伸び率は世界一の急速な拡大を示し,その結果,経済規模が自由世界第2位になる数年前に,すでに多くの資源需要は世界第2位になつた。一般に,経済発展は,原材料需要ウエイトを減じさせるというのが常識的であるが,わが国の資源需要の伸びは,G.N.P.あるいはI.I.P(鉱工業生産額指数)の伸びを上回つている。この原因の一つは,技術進歩による材料節約効果が,産業構造における資源多用型産業の伸びによつて打ち消されたためと考えられる。さらに将来を展望すると,資源需要の伸び率は,技術進歩や産業構造の高度化,高加工度化によつて幾分鈍化しようが,絶対量の伸びや世界の需給におけるウエイトは,相当の高まりを示すものと予想されている。

このような需給面での特質に加えて,供給面では海外依存度の上昇が著しい。 第1-29表 に示すように,急速な需要拡大は,国内自給量の相対的地位を減じ,大幅かつ全面的な海外依存を招来するに至つている。

さらに,いままでの商業ベースによつて広く資源を海外に求めるという単純輸入方式は,資源の世界的寡占体制や発展途上国の経済的ナショナリズムによる供給不足,価格高騰に逢着して,致命的な欠陥を露呈するに至り,わが国の経済発展の制約要因となりつつある。したがつて,今後の経済発展に必要な多量の資源を低れんかつ安定的に確保するためには,自主性をもつた確保方式を確立することが望まれている。

また,最近の大陸棚資源の有望性や黒鉱の発見は,国内資源についても経済的な観点から見なおす必要性のあることを示唆している。

わが国の優秀な技術で,海外資源の確保競争で優位に立つた例もみられ,鉱業技術においてわが国独自の優位性をもつことが資源問題解決の鍵であるといつて過言ではなく,資源開発において世界に先がける技術の開発は,きわめて重要である。

第1-29表 鉱物資源の需要および海外依存度

今後,わが国が海外資源や大陸棚資源の開発を積極的に進めていくためには,未調査地域における大規模資源を発見し,深部・海底等の悪条件下における生産や搬出を可能とし,あるいは,未利用地下資源の経済性を高めていくような技術開発が必要であり,さらに資源の変化の多様性に即応し,システム化することに留意しつつ,積極的に推進する必要がある。

このような観点から当面重要となる鉱業技術は,次のとおりである。

1) 新資源の発見を効率的に行なうための,深部あるいは海底下の探査を中心とした地質調査,物理探査,ポーリング技術などの開発
2) 大規模資源あるいは悪条件下の生産を効率的に行なうため,大型採掘技術,海底下掘削技術あるいは地下ガス化,液化バクテリアリーチング法等に代表される無人探掘技術や搬出,輸送技術などの開発
3) 未利用資源の経済性を高めるためのラテライト等低品位資源の選鉱,精錬等の処理技術,海水中の微量成分の回収技術などの開発
4) ガス爆発防止,落盤防止などの保安技術や公害防止技術などの開発なお,これらに並行して広義の資源の有効利用のため,資源利用面における資源節約型技術,たとえば,原子力における新型転換炉および高速増殖炉の開発等の技術開発も積極的に推進し,資源獲得面と利用面での技術とあいまつて資源問題を解決していくことが必要である。

エネルギー,水資源,鉱物資源の開発課題のなかには民間が主体となつて解決を図つていくものも含まれているが,多くは,その規模の大きさ,重要性からみて,国がこれらの解決を積極的に推進していくことが望まれる。

以上述べてきたように,経済の国際化,労働力不足の進行など社会的,経済的環境条件の変化に対処して産業構造の高度化を達成し,経済基盤の強化を図り,今後も経済発展をとげていくためには,多くの解決すべき技術課題があり,科学技術に寄せられる期待は大きい。


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