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第1部   科学技術発展の展望
第3章  社会開発における科学技術への期待
4  社会開発基盤の強化と技術開発
(2)  通信の高度化


電話,ラジオ,テレビジョンなどの通信技術の出現は,日常生活をはじめ,ひろく人間の活動全般にわたつて高度の通信システムの形成を可能にした。その結果,われわれは,多様な通信手段を所有し,これを選択して用いることが可能になつた。今後も,さらに新しい革新的な通信技術の出現によつて,通信手段がより豊富になり,いつでも,どこからでも,自由に情報交換ができる理想的な通信システムの実現へ近づくことが期待される。

とくに,コンピュータの普及に伴うデータ通信システムの実用化や,伝送容量の飛躍的拡大等通信網の整備充実に対する要請は,情報化社会へと移行しつつあるわが国においてきわめて大きいものとなつている。


(1) 技術の動向

わが国における通信は,通信技術の発展によつて,電信,電話および放送を中心として急速に高度化してきた。すなわち,手動から自動中継に進歩し,さらに加入電信網によつて端末装置に発着するようになつた電信は,電子計算機の普及に伴つてデータ通信へと発展している。

また,国内の電話網については,接続の自動化,市外回線の高度の多重化と電子装置の固体化による経済化等によつて,現在,全国におけるダイヤル通話の割合は90%以上に達している。

一方,放送においても,テレビ放送,FM放送,カラーテレビ放送等,エレクトロニクスの発展とともに大きく進歩した。

国際通信の分野に目を転じてみると,ここでは初期の海底ケーブルに始つて,無線回線(長波および短波)になり,再び中継器を内蔵した海底同軸ケーブル,そして最近は静止通信衛星によるマイクロ波通信へと発展した。技術発展を続ける電気通信を情報形態や利用対象者の面からみると, 第1-9表 および 第1-41図 のように類別できる。電信電話に続く今後の高度化の中心は,データ通信や画像通信(たとえばTV電話,あるいは加入ファクシミリ)であろう。


(2) 技術的課題

電気通信における主要な技術課題は,まず社会の強い要請にこたえるためのデータ通信,画像通信等を中心とした新しい通信方式の開発である。

また,増大する通信需要にこたえうるよう伝送容量の飛躍的拡大に必要な伝送技術の開発,改良が不可欠である。この点衛星通信は,アクセスの容易さ,伝送容量の大きさの面で革新的なもので,その技術開発が急がれねばならない。また,電子交換方式は,公衆通信システム利用の効率化に大きく寄与しよう。

さらに,豊富になつた通信手段を効率よく使うため,総合的な視野に立つて,通信システムを整備することが重要となろう。


(a) 超多重化技術

多重化技術としては,各単位通信路(チャネル)の使用周波数帯域を広げて互いに重ならないように配列し,これらを1本のケーブル上を同時に伝送する周波数分割方式と,各チャネルを一定間隔のパルス列に変換し,これらを時間内に重ならないように配列して伝送する時分割方式が代表的なものである。

前者は,搬送方式ともいわれ,古くから実用化されていて,現在,同軸ケーブルを使つた2,700チャネル(12メガヘルツ方式)のものが利用されている。アメリカでは,3,600チャネルのものがあり,わが国でも,さらに多重度をあげるため,10,000チャネル以上のものが開発されつつある。

マイクロ波無線回線においても,多重化と中継器の固体素子化が進んでいる。

後者の代表的なものは,現在脚光を浴びているPCM(パルス・コード・モジュレーション)で,これは信号の大きさ(アナログ量)を量子化(ディジタル化)して,さらにそれぞれをパルス列の符号に変換するものである。これには高度のパルス技術が要請されるが,現在,1電話回線24チャンネル方式が実用化されており,さらに120チャンネル方式が近く実用化されようとしている。これは,将来のディジタル通信時代の主力としてきわめて有望視されているので,超高速パルス技術と多重化構成法によつて超多重化を実現するべく開発がまたれる。


(b) データ通信技術

コンピュータに出入する多量のデータ情報の伝送のため,現在日本電信電話公社では,電話1回線あたり,50,200,1,200および2,400ビット/秒の伝送速度でサービスしている。しかし,これらは,コンピュータの入出力速度に比べて格段に遅いため,さらに高速度のものを開発しつつある。すなわち,音声帯域を用いて伝送速度を最高9,600ビット/秒にあげることをはじめとして48ないし240キロビット/秒の広帯域伝送方式が研究されている。

さらに,PCM方式をデータ伝送に用いて,非常に多量の情報量を伝送することも検討されている。

一方,コンピュータの側においては,ハードおよびソフトの両面におけるタイム・シェアリング技術の開発が急務である。

なお,これらの基盤となる技術として,ミリ波,サブミリ波,および光領域の利用技術ならびに超高周波,超高密度の電気,磁気素子の開発および利用技術があり,これらの発展が不可欠である。

第1-9表現在の通信体系(情報形態別)

第1-41図 通信形態の類別(利用対象者別)

第1-42図 通信形態と所要周波数帯域


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