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第1部   科学技術発展の展望
第2章  技術発展の動向
2  技術発展と国民生活
(3)  快適性の向上


われわれの活動の場は,科学技術の進歩により,各分野において,快適性の向上が大巾に図られている。

たとえば,交通機関における乗心地や住宅における居住性などはその顕著な例であり,著しい改善が行なわれ,快適な生活環境の形成が可能となつた。

自動車や鉄道の乗心地を左右する大きな要素として,車体振動があり,その防止には,車両側ではバネ構造の改良や防振材の採用など,地上側では道路,路盤の改良整備などにより大きな効果を得ることができる。

すなわち,バネ構造では,板バネからコイルバネさらに空気バネが開発され,鉄道車両や長距離バスなどに広く用いられている。また,防振材が動力伝達系などの相互装置の結合に採用され,振動絶縁効果とともに防音効果も発揮し,また,人間工学的な研究も進んだため,乗心地は著しく改善され,疲労が少なく,楽に旅行することができるようになつた (第1-18図参照)

第1-18図 日本国有鉄道の旅客 車の乗心地の推移

一方,居住性についても,温度,通風,照明,防音などの点で,種々の改善が加えられ,家庭生活や作業環境において理想的な条件に近づきつつある。

たとえば各種暖冷房器具の登場で,寒暖の悪条件を生活環境から駆逐することができ,螢光灯,水銀灯などによる照明装置の改善で,昼夜を問わない活動が可能となり,また防音材の採用により静かな生活環境を造ることができるようになつた。

作業環境では,従来は高熱や塵埃が多く,劣悪な作業環境であつた製鉄や紡績関係の職場は,各種機械の自動化により,作業環境は著しく改善され,働きやすいものになつた。最近,環境衛生の面からも一般工場の作業環境改善が重要視され,防塵設備や空調設備の設置が行なわれつつあり,作業員の労働環境は今後はますます改善されることが期待されている。

一方,医療技術の進歩により,われわれは種々の不快感,不安感から救われることが可能となつた。

たとえば,麻酔薬の進歩により,大がかりな手術でも,患者に苦痛を与えないで,比較的容易に行えるようになつた。

従来のエーテル,亜酸化窒素,シクロプロパン等の吸入麻酔薬では,初めに患者がそれを吸入する時,非常に不快であるばかりでなく,不安を与え,場合によつては窒息するような感じをおこさせたが,静脈麻酔薬としてヘキソバルビタール,チオペンタール等が出現したため,安らかに患者を眠りに誘うことができるようになつた。これらの静脈麻酔薬は,吸入麻酔の導入時あるいは短時間の手術に効果的に用いられている。

また,向精神薬は,最近10年間に長足の進歩をとげた薬剤の一つであり,なかでもトランキライザーの出現は,精神安定薬として精神の不安,興奮,神経症,不眠状態の解消に有効であり,広く用いられている。また,乗り物酔いを事前に防止するためには,抗ヒスタミン剤とキサンチン系誘導体を配合した薬剤が広く用いられており,快適な旅行を楽しめるようになつた。


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