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第1部   科学技術発展の展望
第2章  技術発展の動向
1  発展形態からみた技術の動向
(3)  直接化


直接化は,反応工程を短縮化したり,原料を複雑な工程を経ずに一挙に最終製品に仕上げてしまうような技術であり,反応技術,動力駆動技術,加工技術,エネルギー変換技術などの分野でとくに進んでいる。

直接反応技術では,P.N.C法(光ニトロソ化反応法)によるカプロラクタム製造技術,直接酸化法による酸化エチレンの製造技術などがある。また直接駆動技術では,ロータリ・エンジンの開発などがあり,直接加工技術では連続鋳造法,金属加工における液圧バルジ加工法などがあげられる。直接変換技術については,将来開発が期待されているMHD発電,燃料電池などが代表的な例である。

ナイロン6の原料であるカプロラクタムの製造は, 第1-5図 に示すように,従来はフエノール法,シクロヘキサン直接酸化法,ニトロ化法,スニア法などによつてなされてきた。しかし,光反応を利用するP.N.C法によれば,これらの方法よりも大巾に反応工程を短縮化することができる。この製造は,光反応に適した効率のよい大容量特殊水銀灯の開発,耐しよく性の高い材料の開発,生成されるタール状物質の除去法,タール状物質生成を低減させる方法の開発,反応装置の設計技術の開発などによつて実用化したのである。

直接酸化法による酸化エチレンの製造では, 第1-6図 に示すように,銀化合物触媒の採用と触媒層に発生する多量の熱を制御し,回収利用する技術の開発などによつて,従来のクロールヒドリン法に比べ,工程を短縮した。ロータリ・エンジンは,従来のレシプロエンジンの場合における燃料→往復運動→回転運動→推力という行程を,燃料→回転運動→推力というように1行程短縮化したエンジンである。

第1-5図 カプロラクタム製法の直接化の状況

第1-6図 酸化エチレン製法の直接化の状況

ロータリー・エンジンの開発が成功したのは,自己潤滑性をもつ特殊カーボン材料,ハウジング内壁の表面加工法,オイルシール,ロータ歯車など多くの要素の開発によるものである。

連続鋳造法は, 第1-7図 に示すように,従来の造塊,分塊工程を短縮化するものである。すでに,非鉄金属関係では連続鋳造法が採用されてきたが,鉄鋼の場合,鋼の溶融点が高いために実用化の域へ達するのが遅かつた。しかし,鋳型溶鋼の付着除去法の開発,ダミーバー着脱の迅速化技術の開発,冷却速度,冷却水量の制御技術の開発などによつて,鉄鋼を対象とする連続鋳造法も実用化が可能となつた。

直接化技術は,今後の重要な技術開発課題として重要視されており,反応,動力駆動,加工,エネルギー変換の分野などで,ますます促進されていくことになろう。たとえば,反応技術では,直接製錬法の開発などがあり,直接駆動技術では,リニアモーターの開発などがある。また,直接変換技術では,高温電離ガスを強磁場のなかを通すことによつて発電するMHD発電,酸素と水素を反応させて電気をとりだす燃料電池の開発などがあり,技術の直接化への展開がくり広げられていくことと思われる。


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