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第1部   科学技術発展の展望
第2章  技術発展の動向
1  発展形態からみた技術の動向
(1)  大容量化


大容量化の傾向は,とくに装置産業,国土開発,都市開発,輸送通信などにおける技術に顕著にあらわれている。

装置産業では,たとえば化学工業におけるアンモニア製造装置,鉄鋼業における高炉,転炉,圧延機械などの各種設備,電力事業における火力発電設備,原子力発電設備などの大容量化がある。国土開発,都市開発技術においては,巨大ダム,超高層ビルなどがあり,輸送関係では巨大タンカーなどがあげられよう。また,通信技術では,マイクロ波通信方式による通信回線の大容量化などがある。

これらのうち,数例についてその大容量化の傾向をみると, 第1-1図 および 第1-2図 のとおりである。

第1-1図 大容量化の推移

アンモニア製造装置の場合,1設備当たりの製造能力は,ナフサの脱硫技術の確立,新触媒の開発,新活性剤の開発,スチーム・タービン駆動による遠心式圧縮機の採用,発生スチームの有効利用法の確立などによつて,昭和35年の250トン/日から41年には500トン/日へと大容量化した。

製鉄設備では,高炉操業技術の向上,および製銑,製鋼工程の電子計算機による制御技術の採用により最大高炉内容積は,昭和36年の1,701m3 から44年には3,016m3 へ,LD転炉最大内容積は,165m3 から412m3 へとそれぞれ巨大化した。

都市計画区域内に建てられる建築物は,従来最も高い場合でもその高さが地上31mに制限されていたが,建築技術,耐震設計技術の発展によつてその制限は緩和され,昭和43年には,地上147mという霞が関高層ビルが完成し,続いて45年には,地上152mの世界貿易センタービルが竣工した。超高層ビル建築の出現により単位面積当たりの容積は飛躍的に増大した。

第1-2図 マイクロ波中継方式 の発達(長距離方式)

このような超高層ビル建築を可能にしたものとしては,耐震構造理論の発展,電子計算機を利用した動的耐震設計法の確立,材料技術とくに軽量コンクリート,大型H型鋼の開発,施工技術の開発とくに大型建設機械の導入による施工の機械化などがあげられる。

タンカーでは,昭和35年に10万3,000重量トンの大型タンカーが建造されてから,その船型は年を追つて巨大化し,昭和44年には32万7,000重量トンの超大型タンカーが出現するに至つた。このような大容量化を実現させた技術として,設計技術,高張力鋼などの材料技術,溶接工法などの建造技術,船舶設備の自動化技術,生産管理技術などの発展,高出力舶用ディーゼル機関の開発などがあげられる。

以上のように,大型化に伴つて大容量化が可能になつているものがあるが,これらのほかに,大容量化を目的として発展している形態がある。この形態の顕著な例として,マイクロ波通信方式による通信回線の大容量化があげられる。この方式は,周波数帯域を拡大することによつて伝送容量を大幅に増大させるものである。この傾向について電話の1システム当たりの伝送容量からみると,昭和30年ごろには480チャンネルであつたが,39年には1,800チャンネルに増大し,43年には2,700チャンネル中継方式の実験が完了しており,一層の大容量化が期待されている(第1-2図参照)。このような大容量化を実現した重要な技術として,進行波管の発展,トランジスタおよびダイオードなど半導体導入による各装置の固体素子化などがあげられる。

以上のように著しい進展が図られた大容量化は,多くの分野で,今後一層促進されていくものと思われる。たとえば,アンモニア製造装置では,昭和44年から1,000トン/日の大容量設備の建設が始められており,鉄鋼業では内容積4,000m3 以上の高炉が昭和46年度に完成する予定である。交通輸送の分野では,新幹線鉄道網,ジャンボジェット機,超高速輸送機などにみられるように大容量化,高速化が急速に進む傾向にある。

大容量化はたとえばアンモニア製造装置の場合,ナフサを原料として使用する新製造法の開発によつて急激に促進されたように,新技術の開発によつて新たな展開がみられることが多い。したがつて,大容量化の傾向が弱まりつつある分野でも,新しい技術の出現により,急速に促進されることは十分考えられるところである。


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