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第1部   科学技術発展の展望
第2章  技術発展の動向
1  発展形態からみた技術の動向


現代の科学技術は,科学,技術,社会・経済の三者の相互作用によつて発展している。

すなわち,社会・経済の要請は,科学技術にさまざまの課題を与え,これらを解決することによつて,科学技術そのものの進歩が引き起こされる。一方,科学技術の飛躍的な発展は,社会・経済に新しい需要を惹起したり,社会構造,産業構造などの変革をもたらしている。

また,科学と技術の関連は,ますます強く,かつ複雑になつている。たとえば,高分子化学の発達によつて出現したナイロン,微生物学の発達によるペニシリンの出現などの例にみられるように,科学の分野における重大な進歩を契機として,新しい技術が開発される場合がある。他方,実験装置,計測技術などの進歩は,超自然領域での実験を可能とし,基礎理論の確立に役立ち,あるいは,MKマグネット,フェライトの発明による単磁区理論の体系化のように,技術の進歩によつて科学の発達が促進され,これがまた技術を発展させる場合もある。さらに,トランジスタの開発にみられるように,科学と技術が相互に密接に交流しながら発展する場合がある。

このような傾向は,とくに現代において革新的な役割を演じている固体物理学,核物理学,高分子化学,生物科学など,科学として創成期にあり,時代の最先端をいくものにとくに著しい。

以上のように,科学,技術,社会・経済は,密接に関連をもち,相互に影響を及ぼし合いながらそれぞれが発展していくというメカニズムは,最近とくに顕著になつている。

また,技術そのものの発展は,連続的な発展メカニズムと不連続な発展メカニズムがうまくかみ合いながら進んでいる。すなわち,一般に,技術は,従来の技術の漸進的な改良を経て進歩するという連続的なメカニズムによつて発展している。しかし,この発展は無限なものではなく,遂には種々の技術的な障壁に遭遇する。このような障壁を突破していくのは革新的な技術であつて,これは過去の技術の発展経路をたどらない,いわば不連続な発展メカニズムというべきものである。たとえば技術革新の旗手ともいうべき材料技術をみると,従来から存在している材料の材質の改良が進められる一方,ナイロン,ポリエステル,ポリエチレン,チタンなどの新材料の開発に成功し,この画期的な技術によつて各方面の技術は飛躍的な発展をみせている。

このような不連続な発展メカニズムを可能にするもののーつとして,自然領域を超越した極限状態の探究がある。従来の自然環境では想像もつかないような超高圧,超高温,極低温などの状態を実験的に実現し,そこで,人工ダイヤモンド,プラズマ,超電導体などを作り出しており,今後の革新的な技術の創出に大きく寄与することが期待されている。

以上のようにさまざまな発展メカニズムによつて進歩している技術は,どのような形態で発展しているのであろうか。

次に,主要な技術をとりあげて,種々な方向に発展している技術が大容量化,自動化,直接化,新機能の創出,軽量・小型化,品質の高度化・高性能化などの発展形態をもつていることを明らかにし,これらの発展形態を通じて技術の発展動向を概観しよう。なお,技術は,これらの発展の諸形態を合わせもつているのが普通であるので,ここでは最も顕著な形態でみることにする。


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