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第5章  技術の交流
3  国内における技術交流
(3)  共同研究の形態


企業を中心とした共同研究の形態には,企業同志の共同研究のほかに,大学と企業,国立研究機関と企業など種々のものが考えられる。

第5-14図 業種別にみた共同研究の 相手

これらの関係を工業技術院の調査によつて比較すると,第5-14図にみられるごとく,全事業分野では,民間企業同志のものが約55%あり,大学や国立研究機関との共同研究が約30%の割合になつている。

これを事業分野別にみると食料品,医薬品などでは,大学,国立研究機関との関係が強く,自動車,油脂塗料,一般機械では民間企業同志の研究が多い。

これらの形態別に共同研究の行なわれている実態について検討していくことにしよう。

1 民間企業同志の共同研究

このなかには,資本系列関係のあるもの同志の共同研究,系列外同業者間の共同研究,メーカー・ユーザー間の共同研究があげられる。

まず,資本系列関係にある共同研究は,共同研究のなかでは最も行なわれやすい形であると思われる。

業種別にみると,鉄鋼,非鉄金属などがこの割合が高い。この組み合わせの問題としては,工業技術院の調査によると,研究費の分担の問題や資本金20億円未満の企業のなかには親会社への依頼心が強く,その社の研究意欲が鈍ることがあげられている。

系列外同業者間の共同研究では,金属製品,非鉄金属,窯業,自動車などの分野で行なわれているがその割合はそれほど大きなものではない。この形態の共同研究は,競争の激しい今日では,行なわれがたいものと考えられるが,法律化して助成している研究組合制度の主な目的はこの形態の共同研究の推進であり,ことに技術開発力の弱い中小企業にこの機運が広がることが望まれている。

メーカー・ユーザー間の共同研究は企業同志の共同研究のなかでは最も行なわれており,パルプ,紙,油脂などの共同研究の約半分はこの形態で行なわれている。この形態の研究は商品の用途開発において頻繁に行なわれるものであり,商品の用途が多岐にわたる分野においては,それぞれの用途に適した商品の開発研究が行なわれるものであろう。

この形態についての問題点としては,研究成果の帰属に関連してユーザー側から市場の限定,販売の制限を受けるという点についてのメーカー側の不満が多いことがあげられる。

2  企業と国公立研究機関との共同研究

本形態の共同研究は,食料品,通信・電子,医薬品,精密機械分野での割合が高い。国立研究機関の場合,研究実施に際して,研究内容,研究費の分担,成果の帰属についての契約をあらかじめ結んでいるが,企業側からみると研究テンポとか,研究成果の帰属についての不満が出ている。

3  企業と大学との共同研究

企業と大学の研究室などとの共同研究は,食料品,医薬品,通信・電子,金属製品等での割合が高く,食料品,医薬品では共同研究の約40%をこの種の研究が占めている。この形態についての問題点としては,研究のテンポのずれとか,大学の研究は実用性に欠けるといつた不満もあるが,一方基礎的な研究での共同研究に効果があつたという意見もある。また研究費の支払いについての基準がないことを持摘する意見もある。

4  メーカー・ユーザー,大学,国公立研究機関との間の共同研究

この種の研究の割合は低いが,研究課題を公開して行なうものが多く,その研究活動の社会的影響は大きいものと思われる。

各種の学会とか日本学術振興会で行なつているものは長い歴史を持ちすぐれた業績をあげているものも少なくない。

この種の共同研究体制については,それを望んでいる企業は多いが,成果の帰属,研究費の分担,それぞれの立場からくる繁雑さなどが大きな障害になつているもようである。


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