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第5章  技術の交流
2  技術輸出
(1)  技術輸出の現状


昭和25年度から39年度までに契約された技術輸出の総件数は,工業技術院の行なつた調査によると490件となつており,そのうち対価を伴うものは369件である。この契約を地域別にみると,第5-2図および第5-3図にみられるように対価を伴うものでは68%が東南アジア,中南米,アフリカなどの開発途上国向けのものとなつており,わが国の技術輸出国が従来東南アジアを中心とする開発途上国向けに主として行なわれてきたことがわかるが,最近にいたり,先進国向けのものも増加してきており,わが国の技術水準の高まりを示すものといえよう。

その一つの現われとして,最近,導入を行なつた技術をもとにしてこれを改良し,再輸出するものもみられるようになり,例えばアメリカから導入したアクリロニトリルの製造技術をソ連に輸出し,またイタリアからのポリプロピレンの重合技術をもとにしたポリプロピレン繊維の技術をイタリアの企業とクロスライセンスをすることも行なわれている。

技術輸出状況を事業分野別にみると,対価を伴うものでは,通信,電子の65件,化学製品の58件,一般機械の38件が群を抜いており,また賠償に基づくもののように相手側にとつて対価を伴わないものでは,電気機械の43件,医薬品の33件が高い数字を示している。このような輸出件数を先の調査による技術導入件数と対比してみると,第5-7表に示すごとく,輸出で最高を示した通信,電子も導入は333件で,導入が輸出に対し5.1倍を示している。次に輸出件数の多い化学製品や,一般機械も5.8倍,15.5倍という値であり,導入比率の高いものとしては輸出のない出版,印刷,石油石炭製品の次に先ほどの一般機械の15.5倍,繊維の9.3倍などがあげられる。逆に輸出比率の大きいものには鉱業,食料品とか電気・ガスのように輸出件数が導入を上まわつているものがあげられよう。しかし,このような技術導入と技術輸出の比較には両者の質の違いが考えられるので単純に断定はできないが,事業分野ごとの技術水準の一端を表わしているものと思われる。

第5-2図 地域別技術輸出件数      (対価を伴うも,の)   (昭和25〜39年度)

第5-3図地域別技術輸件数(定価を伴わないもの)   (昭和25-39年度) (賠償,後進国援助等で日本政府が対価を支 出したもの含む

第5-4図 年度別技術輸出契約件数 (対価を伴うもののみ)

第5-7表 技術導入件数の技術輸出件数に対する比率


次に見方をかえて資本金規模別にみてみよう。

第5-5図に示すとおり,対価を伴う,技術輸出について資本金規模別に過去10年間の傾向を追つてみると,資本金が5〜20億円の企業のウエイトが高まつていることがわかる。

すなわち,昭和31年度前後はかなり高かつたが,昭和33年度に零を示した5〜20億円の企業による輸出が,以来徐々に比率を上げ,昭和39年度においては33%とウエイトが高まつている。まして,昭和33年度以降,企業規模の拡大傾向は資本金20億円程度の規模の相対的位置を引き下げたが,にもかかわらず割合を拡大しているのは,わが国企業の技術水準面での基盤の広がりを示すものともいえよう。このような傾向から判断すると,小規模企業の比重の伸びは今後の技術輸出の方向を示すものとして興味深い。

第5-5図資本金5億円以上の企業の技術輸出 件数中に占める5〜20億円企業の占める割合

技術輸出には,相手国における経済状況,技術水準などを調べ,相手側に適した技術の型を研究しておくことが必要になろう。最近伸びてきた先進諸国に対する技術輸出については,わが国の技術に対するPRを行ない,輸出先に対して契約に従つた資料提供,技術者派遣などを行なうだけでよいが,わが国(とおける技術輸出の主な対象地域である開発途上国においては,技術に対する潜在需要が極めて大きいにもかかわらず,輸出技術を十分に消化し維持発展しうる素地が形成されている国が少ないのが実情であり,現実に現地進出企業が困難に遭遇する例も少なくない。これらの地域においては,必ずしも先進諸国に適した最新式の機械装置を使用し,先進諸国と同様な生産方式によるものが現地に適しているとは限らず,むしろ機械としては最新鋭ではなくとも,現地の労働事情にあわせて改良した方式のものが成功するという例もある。したがつて,開発途上国においては市場の狭さと労働集約型産業の存在する可能性が高いことから,わが国の中小企業の技術を輸出できる余地があると考えられる。しかしながら,中小企業の技術輸出には商社の関心が薄く,商談規模が小さいわりに経費がかかり,また引き合いの相手先が中小企業のため計画変更がひんぱんに行なわれるなどのため進展しにくい点があるなど未解決の問題が多い。


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