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第4章  国際協力
1  国際協力機構とその科学活動
(4)  国際共同研究


国際共同研究には,地域的性格から国際的な共同研究を必要とするもの,各国の学問的な特色からそれらの国々の間で協力を必要とするもの,研究の大規模化により多数の国の分担を必要とするものなど種々のものがある。比較的多数国の参加による国際共同研究には,「黒潮国際共同調査」,「国際水文学10年計画」,「南極地域観測」,「国際地球内部開発計画」,「国際生物学事業計画」,および現在UNESCOにおいて計画されている「地震および地震工学に関する国際的事業」などがあり,以下その概要について述べる。

1 黒潮国際共同調査

黒潮国際共同調査(CSK)は,政府間海洋学委員会(IOC)の決議に基づいて,1965年度から4カ年計画で,日本,アメリカ,ソ連など9カ国が参加している総合的な調査研究である。この調査においては,各層の水温,各種塩分,酸素量などの物理,化学的測定,プランクトン,基礎生産力などの生物測定,黒潮の起源,前線,水塊の交換,プランクトンの分布などの水産海洋的研究,大気,海洋の相互作用,高空気象などが研究されている。

昭和40年度夏期調査においては,約1,OOOkmの巾をもつ北赤道海流の北側半分が,北緯13度から15度の間においてルソン島に到達する際に北転して黒潮になることが観測船拓洋によツて発見され,また黒潮の深さについては,アメリカの観測船アトランテス2号が音響測深による中立浮流ブイを用いて調査した結果,約2,OOOmに達するところがあることがわかつた。

日本側においては,この一斉調査のほかに,科学技術庁の特別研究促進調整費によつて,本州東部海域における黒潮変動の研究を行なつた。

すなわち,海上保安庁が,大島沖に多層水温連続観測装置を設置し,同島検潮所による水位変化とあわせて黒潮振動の内容,周期性など黒潮変動機構の研究を,気象庁が風の吹送の流路,流向への影響,黒潮変動の気象への影響などの研究を行なつた。また水産庁は黒潮流路,分技派出の変動およびその魚群分布,移動への影響の研究を行なつた。

昭和41年度からは,同じく特別研究促進調整費で本州東部のみでなく,中部,南部をも含めた黒潮変動の研究を3カ年計画で総合的に実施することとなつている。

2  国際水文学10年計画

国際水文学10年計画(IHD)は,第13回UNESCO総会の決議に基づき,1965年より10カ年計画で,国際協力のもとに水文学に関する基礎的研究,調査,観測などの促進を図り,よりひろく深い知識を集積し,もつて水資源の合理的な開発と管理に寄与しようとするものである。わが国もこれに参加し,現在計画が立案されているが,次のような項目が取り上げられよう。1) 基準流域と基準観測所を設けてデータを国際的に交換し,また,開発途上国が基準観測所を設けることを援助する。2) 代表流域,試験流域を設定して水収支の調査を発展させ,世界の水収支概算活動に参加する。3) 水循環と水収支の各過程に関する研究,モデル計算などを発展させる。4) データ,出版物の交換を行なう。(5)開発途上国の水文学専門家の研修に協力する。

国内の関係者がこのための連絡を図かるためIHD国内委員会を組織し,わが国におけるIHD活動の今後の進め方,特にIHD国内計画の作成について,水文関係の研究活動が広汎にわたり行なわれているわが国の実情にかんがみ,ひろく関係機関,団体,研究者などに対してIHDの趣旨および内容の周知徹底を図り,それらの機関からの積極的な参加協力が得られるよう準備を進めている。さらに,IHD国内委員会は,ユネスコの要請にこたえて,昭和40年9月に「わが国における代表試験水域に関する情報」,同年12月には「わが国の河川流送土砂に関する情報」を,それぞれ資源調査会水資源部会の協力を得て作成のうえ提出した。

3  南極地域観測

南極地域観測は,南極地域が太陽の物理的影響を受けやすいことより,国際地球観測年においても,最も重要な地域として,国際共同観測を行なうこととなつたものである。このためICSUの中に南極地域特別委員会が設けられた。

わが国もこれに参加し,昭和30年以来6回の観測を行なつて大きな成果をあげたが,昭和40年の太陽極小期国際観測年を機会に,これを再開することとなり,新砕氷艦を建造し,装備を一新して,次の各項目にわたる総合調査を実施しつつある。観測項目は,極光,夜光,地磁気,電離層,気象,生物,海洋,地震,潮汐などであるが,さらに電波,宇宙線,雪氷,測量,地質,地理などが追加された。

第7次隊は,基地再開,恒久観測基地の確立,内陸調査の準備を目的とし,夏隊の観測をおえ,現在越冬観測中である。第7次および第8次の観測計画を示すと第4-1表のごとくである。

第4-1表 第7次および第8次南極地域観測計画表

4  国際地球内部開発計画

国際地球内部開発計画(UMP)は,1963年より始まつたものであり,地下深部ボーリングを含む地球内部に関する総合的な国際共同調査研究である。わが国は,昭和39年からこれに参加しており,欧米諸国が主として大陸の問題を調査するのに対して,大陸縁辺および孤島に特有の興味ある問題を解明することが期待されている。このため昭和41年までを第1期とし,東北,中央および西南日本にそれぞれ本州を横断して,大陸縁辺から日本海溝にいたるモデル地帯を設けて,自然地震および人工地震,測地,地磁気,地熱,岩石,火山,地質構造の各部門の総合調査を実施し,昭和42年からの第2期には,深部ボーリングを中心に,第1期の調査を総合的にまとめることが計画されている。

昭和40年度は,前年度に引き続き2年目としての調査が行なわれたほか,日本海北部および東北地方における海底爆発による地震観測(陸上での横断観測を含む),東北大学および国土地理院による航空磁気測量,四国大歩危における深層試錐の先行調査などが新たに行なわわた

5 国際生物学事業計画

国際生物学事業計画(IBP)は,1965年より8年間の計画で発足した共同研究である。事業の内容は,地球上の生物圏の動態と可能性とを明らかにするため,陸地,陸水および海洋の生物生産力,生産圏内の物質循環,動植物の生殖質保存,生物防除,ヒトの適応能などに関する基礎研究であり,1965〜67年を第1期として,測定方法の標準化,共通化,研究者の訓練を主として行ない,1968〜72年を第2期として,世界的に共通した方法で協力収集した資料を比較検討し,整理して,IBPの事業を完成させることになつている。わが国においても,すでに日本学術会議に国内体制としての委員会も組織され,日本学術会議より政府に対してIBPの実施についての勧告がなされている。

6  その他

これらのほかにも国際共同研究は数多くあるが,UNESCOにおいては,従来,地震および地震工学に関する調査を行なつていたが,これを一層発展させるため国際基金設立の可能性について検討を行なつている。これにわが国が協力する場合,この分野の先進国としての立場から,主導的な姿勢で協力することが望まれており,日本ユネスコ国内委員会において,今後の協力についての方策が検討されている。


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