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第4章  国際協力
1  国際協力機構とその科学活動
(1)  国連およびその関係機関による科学技術活動


国連は,世界経済を拡大発展させると同時に開発の遅れた地域の経済発展を促進して,世界平和を確立することに努力している。特に「国連開発10年計画」以来,国連加盟国(特に先進国)および国連各機関は,1960年代を開発途上国の経済開発を促進するためにより一層の努力を結集する年代とし,経済社会理事会(ECOSOC)をはじめ国連関係機関の事業計画もまたこの主旨に沿つて調整強化されてきた。これとともに,科学技術の分野においても,科学技術を利用して開発途上国の発展を図ることが大きな課題となつてきている。このため1964年にECOSOCに開発途上国の開発のため,科学技術諮問委員会を設置し,これら諸活動の調整を図つている。これらの国連による国際協力は,各国の要請により行なわれるものであり,経済社会理事会が総括し,その実施は,主としてアジア極東経済委員会(ECAFE)などの地域委員会および国連教育科学文化機関(UNESCO)などの専門機関を通じて行なわれている。

科学技術に関する国連関係機関の代表的なものとしては,国連教育科学文化機関(UNESCO),国際原子力機関(IAEA),アジア極東経済委員会(ECAFE),国連食糧農業機関(FAO),世界保健機関(WHO),世界気象機関(WMO)などがあり,その最近の活動状況は次のごとくである。

1  UNESCO

UNESCOは,研究所の設置およびその強化の援助,文献情報および資料の収集分析および配布,シンポジウム,セミナー等の開催,研修コースの開催,専門家の派遣などの事業を行なつている。特に「国連開発10年計画」以来,科学技術の分野における活動が活発化してきた。

このため,事務局の機構が改革され,従来の自然科学局が廃止されて「科学振興局」と「発展への科学適用局」の2局が新設された。

1965〜66年の事業計画では科学技術関係の問題が大きく取り上げられた。まず予算については自然科学関係は3,200万ドルで前期と比較して34%の大幅増となつており,これは教育の3,440万ドルに次いで第2位である。また,自然科学関係の活動については,自然科学の振興ということで,1) 加盟国における基礎科学の発展,2) 科学研究とドクメンテーションの発達のための国際協力,3) 開発途上国の科学技術の振興,の3つが取り上げられている。

これらのうちでわが国にも関係のある具体的な活動としては,,先進国の科学技術政策に関する調査を行ない,これを開発途上国の科学技術水準の向上に役立てるための科学技術政策のパイロット・スタディがある。対象国10カ国のうちにわが国も選ばれ,昭和40年12月その調査が実施された。

また,開発途上国における教員や研究者の養成を目的とした国際大学院研修講座の計画がありわが国もその一環として化学および化学工学について受入れを行なうこととなり,昭和40年10月に東京工業大学で本講座が開講された。なお,これと同様な講座が昭和39年度よりエレクトロニクスについても行なわれてきている。

このほかにも昭和36年から3カ年計画で開始されたアジアにおける化学教育のパイロット・プロジェクトがあり,わが国も,日本ユネスコ国内委員会を中心として,日本化学会の協力を得てこの活動に参加している。

2  IAEA

IAEAは,原子力平和利用の普及と促進を目的として設立され,その活動の中心は 1) 開発途上国の原子力開発援助を目的とした技術援助,2)研究者・技術者の養成訓練,3) 調査団の派遣,4) 原子力開発に伴つて生ずる種々の問題に関する国際基準の作成,5) 核物質の軍事利用防止のための保障措置の実施,6) 科学技術情報の交流を目的としたシンポジウム,技術会議の開催,等の原子力平和利用の促進にある。わが国は,設立当初より加盟しており,現在は,援助国として専門家の派遣,研究者・技術者養成訓練のためのフェローシップの提供およびフェローの国内機関への受入れ,調査団への参加,国際基準作成のための専門家会議,シンポジウムおよびその他の技術会議への専門家の派遣等,アジア地域の中心国としてIAEAの諸活動に積極的に協力している。

以上に述べたわが国の立場,および近年におけるアジア諸国の原子力利用に関する関心の高まりを背景として,その第9回総会が設立以来はじめてウィーンを離れて,昭和40年9月東京で開催された。

本総会の一般討論においてわが国代表は,近年における核兵器拡散防止に対する世界の世論にこたえるため,各国による保障措置制度の受入れをうつたえたあと,すべての核物質の国際的移転を同機関に通報または登録する制度を検討するよう示唆した。また,IAEAの事業活動に対しては,憲章に定められている核物質提供者としての任務を忠実に実行するようつたえるとともに,IAEAの地域活動については,各地域の実情に即した配慮のもとにその事業を強力に推進するよう要請し,わが国としても,IAEAのかかる活動に協力を惜しむものではないことを表明した。その後,原子力資材の軍事目的転用防止に関する新保障措置規制が提出され,これが了承された。本総会が東京で開催されたことは,わが国の原子力開発研究が平和利用に徹して進められていることを各国代表に認識させたこと,各国代表とわが国原子力関係者との会談を通じてひろく国際協力の道が開けたことなど,わが国にとつて大きな成果があつたといえる。

放射性廃棄物処理高級訓練セミナーが,国連拡大援助計画および日本政府の後援により昭和40年10月に東海村で開催された。本セミナーは,ラジオアイトソープ利用により生ずる放射性廃棄物の管理に関する責任者を養成するための国際セミナーであり,東南アジアおよび中近東の8カ国からの参加をみた。

昭和40年度に開催されたIAEA主催のシンポジウム,パネル,ワーキング・グループなどの会議は,全部で19回行なわれ,わが国はこのうち17の会議に延べ43人の参加者を送つた。なお,昭和40年9月には,核データ・ワーキング・グループの会議を東京で開催するなどIAEA主催の諸会議に積極的に参加協力を行なつた。

3  その他

1)ECAFEは,アジア地域における経済水準を高めることを目的として,情報活動および調査活動を行なうとともに,各種の経済および技術に関する援助を行なつている。 第22回ECAFE総会は,1964年4月ニューデリーで開催された。本総会においては,産業および天然資源の開発,水資源の開発,メコン河下流域開発計画,アジア統計開発研修所設立計画などが討議された。 ECAFEでは,天然資源,エネルギー資源,水資源などについて,シンポジウムの開催や専門家グループの活動を通じて域内諸国の科学技術の振興に努めており,アジアの工業化推進のため新機構をECAFE地域内に設立することが決まつている。また,ECAFE地域内に統計専門家が不足している現状にかんがみ,統計専門家養成のための機構を設立することが検討された。
2) FAOは,人類の栄養および生活水準の向上を図るため,各種の活動を行なつている。 第13回FAO総会は,1965年11〜12月ローマにおいて開催され,世界的な人口増加の問題に関連して,将来の飢餓の問題が大きく取り上げられた。 FAOが実施している技術援助事業は,近年急速に増大しており,1964年の専門家の派遣は1,732人,フェローシップ供与者は648人であつた。開発途上国側よりこの事業のより一層の推進を行なうよう要請があり,このため,総会第2委員会(事業計画,予算)にこのための特別委員を設置することが決つた。
3) WHOは,世界の保健衛生の向上を図るため,その地域委員会を通じて各国に技術援助を行なつている。第19回総会は,1966年5月ジュネーヴで開催され,従来のマラリア撲滅事業に加えて,痘そう撲滅事業が1967年度を初年度として,10カ年計画で行なわれることとなつた。また,放射能の影響に関する討議,その他伝染病の研究分野における活動の拡大に関する決議がなされた。 WHOが各加盟国に対して行なつている技術援助は,顧問派遣,留学研修生の受入れや資材提供の形で行なわれており,わが国もこれについて協力を行なつている。
4) WMOは,世界の気象業務の円滑な運用を図り,気象情報の交換を促進するために各種の活動を行なつているが,わが国は,WMOの技術援助計画の一環である国際セミナーなどの招請国となり,これらの会議やセミナーをわが国においても開催するなどWMOの活動に参加協力している。

最近のWMOの活動のうち最も重要なものは,第5回総会までにまとめられることとなつている世界気象監視(WWW)計画である。本計画は,世界的な規模で観測網,情報網を整備するため,観測体制の中心として世界気象センターを置き,そのもとに地域センターを置こうとするものである。世界気象センターについては,メルボルン,モスクワおよびワシントンの3カ所に設置することとなつている。


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