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第3章  科学技術人材
1.  研究関係従業者の推移と構成
(1)  組織別にみた推移と構成


第2章で述べたごとくわが国の研究投資の割合は,民間企業が最も高い比率を占めているが,研究活動を支える研究関係従業者もまた,民間企業に多数配置されている。もちろん「会社等」「研究機関」「大学等」の各組織によつて研究目的は異なつており,研究者の職務内容が異なつてくるわけであるが,一応,各組織とも同一職種と考えて分析を進める。(以下「会社等」「研究機関」「大学等」を3組織と呼ぶ。)昭和40年4月1日現在のわが国の研究者総数は,117,596人で,前年の114,839人に比し,2.5%の増加を示した。( 第3-1表参照 )しかし,この増加率は近年では最低の数値であり,伸び悩みの状態であつたと考えられる。なかでも,「会社等」は,昨年の60,009人に対し,58,997人と1.7%の減少を示し,過去においてかなりの増加をしてきただけに,今後,注目しておくべき問題点である。( 第3-1図参照 )今回の調査のみをもつて今後の傾向を推察することは困難であるが,各企業とも研究活動の重要性を認識しており,また科学技術庁の調査 (注) においても,企業においては5年後の研究者の需要を53%増と予想しており,研究者の資質の向上とともに,増員を研究開発の推進策としている企業が多いことから,今後もこのような停滞傾向が続くとは思われない。


注)「科学技術振興に関する基礎調査」昭和41年,科学技術庁

第3-1表 研究関係従業者数および研究者数の推移と対

第3-1図 組織別研究者数の推移

一方「研究機関」と「大学等」は,本年もほぼ順調な増加を示l7,「研究機関」は前年比5.8%「大学等」は7.3%の増加を示した。

しかし,この両組織は絶対数において「会社等」,に比べ少ないために,3組織の研究者構成比には大きい変化はもたらさず,第3-2図のごとく昭和35年以降,「会社等」は50〜52%,「研究機関」16〜18%,「大学等」30〜33%と固定した状態で推移している。

3組織のなかでは,「大学等」が近年着実な増加を示しており,わが国全体の研究者の増加率を常に上廻つた数値を示している。

このように構成比が固定的であることは,科学技術人材関係の特徴であるが,特に研究者のように豊富な経験を必要とする職務では,急激な増加は不可能であり,また,これら3組織間の移動が少ないことなどからこの傾向は今後も続くものと予想される。

次に,研究関係従業者数についてみると,全体では第3-2表,第3-3表に示すように303,789人と前年に比べ5.O%の増加となつている。この研究関係従業者をさらに細がく分類してみると,その対前年増加率において,研究者2.5%,研究補助者4.4%,技術関係者9.3%,事務その他の関係者6.O%と研究者が最低の値を示している。これをさらに組織別にみた場合,最も増加が高かつたのは,「研究機関」の事務その他の関係者で14.9%となつている。一般に事務関係者が多いのは「研究機関」であり,39年も対前年比7Sの増加を示しており,他の組織と比べ,やや特徴的な傾向になつている。

第3-2図 研究者の組織別構成比

技術関係者は,その増加率が「会社等」9.3%,「研究機関」8.7%「大学等」10.1%と平均的に最も高い増加率を示し,研究活動の高度化,大規模化とともに,この分野の人材の拡充が各組織ともに特に必要になり,その増員がかなり意欲的に進められたものとみられる。

一般的にみて,昭和40年は,研究者は例年のような増加は示さなかつたものの,それ以外の分野ではかなりの充実がみられ,人材の面からみた研究活動は,昭和40年は,研究費の伸びと研究者数の伸びがパラレルでないことからみて,一時の量的な拡大の方向から転じて質的な充実の方向へ進んでいるようにみうけられる。

第3-2表 研究関係従業者数の国・公・民営別構成

第3-3表 研究関係従業者数対前年増加率

また,研究者1人当りの研究補助者等人数でみると,各組織別にはかなりの特徴がみられるが,時系列的にみると研究者数が伸び悩んだことなどからして増加の傾向にある。すなわち,研究補助者,技術関係者,事務その他の関係者の合計では,「会社等」は研究者1人に対して約2人の割合でいるのに対し,「研究機関」は約1.4人,「大学等」は約0.8人と相当の差異が認められる。( 第3-3 , 3-4図 参照)この補助者等の百分率構成比を第3-5図でみると,「研究機関」と「大学等」はほぼ同じ比率を示しており,「会社等」のみが異なつた構成比となつている。最も大きい違いを示している職種は事務その他の関係者で「会社等」が非常に低く17優であるのに対して「研究機関」と「大学等」では,ともに44%と半分に近い率を示し,これと反対に,研究補助者は「会社等」が非常に高く41%となつている。

第3-3図 研究者1人当り研究補助者等の人数

第3-4図 研究者1人当り研究補助者等人数内訳

また,その絶対数でみると,「研究機関」の事務その他の関係者は0.62人と3組織のなかで最高を示している。この事務分野は他の生産部門等で代行が可能な会社等では,低目に出てくる可能性があり,それに対して研究機関は,独立機関であるため,やや高目の数値がでてくるのではないかと思われる。

次に,各組織の研究関係従業者を100とした場合の職種別の構成をみると,第3-6図のごとく研究者の構成比は「大学等」50,「研究機関」40,「会社等」30となつている。研究の段階からみて,大学は基礎,研究機関は応用,会社等は開発と一般にいわれており,これに従えば,基礎研究に向かうほど研究者の比率が増加し,補助者等の数が減少の傾向にあるといえる。もちろん,最近は基礎研究といえども,かなり大規模化し,組織化されてきたが,やはりこの分野の研究は,研究者個人個人の努力に頼る傾向が大きいことがうかがわれる。これに対して,民間企業の研究は,すぐにでも商品化,工場生産化が可能な技術の開発を目的とした研究が主となつているだけに,そこには,パイロットプラントまで含めた大きな研究工場とでもいうべきものまで含まれてくることになり,その補助者等の人数が多いことも納得のいくところである。これを時系列的にみると,各組織とも職種別の構成比はほぼ固定しており,年々の変動は非常に小さい。しかし,これらのなかで幾分目立つた傾向としては,「会社等」の研究補助者の割合がやや増加している。

「研究機関」「大学等」については,特に目立つた動きは示していない。

第3-5図 研究者1人当り研究補助 者等人数構成比 昭和40年4月1日現在

第3-6図 研究関係従業者職種別構成比推移

研究者は,毎年ほぼ1万人前後の増加を示してきたが,そのほとんどが高等教育機関理工学系卒業者でもつてあてられると仮定するならば,全卒業生の1/4弱は研究業務に従事するものと考えられる。もちろん,民間企業等においては,他の生産部門からの異動も考えられるし,新卒者をもつて必ず研究者の増員に充当しているとはいいがたいが,他に主たる供給源が考えられない今日,大学の人材養成がいかにわが国の研究活動に密接に結びついているかがうかがわれるものである。


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