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第2章  研究活動
3  研究投資
(4)  大学の研究費


「大学」等の高等教育機関は,人材養成の場であるとともに,研究のための重要な機関である。わが国における過去の基礎研究の不足が技術導入を増加させた要因の一つであるといわれているが,進展する技術革新にとり残されることなく,常に新しい技術を開発するためには,そのポテンシヤルともいうべき基礎研究に十分の力を注ぐことが,国全体の研究活動のために必要であることはいうまでもない。

一方,民間企業の研究は,主として開発研究にその主力を注いでいることはすでに述べたとおりであり,これに対して,大学の場合は,基礎研究にその重点があるものと考えられる。従来は,基礎研究はあまり研究費を必要としない個人の能力を中心とした研究と解されていたが,科学技術が複雑化,大型化してきた現在,基礎研究もまたそれに応じて施設を充実し,応用開発研究への発展性を高める必要があるであろう。このような情勢のもとで,大学の研究活動の一層の活発化を図る必要があり,資金面においても今後のより一層の充実が望まれる。

「大学等」の研究者(自然科学のみ)は,昭和40年4月1日現在,39,133人,全研究者の33%を占めている。しかし,研究費は,昭和39年度,773億円で全体の20%と研究者の構成比より低い数値となつている。また,この研究費のなかで51%が人件費であることを考えた場合,研究者の使用できる研究費は,他の機関に比べて非常に低位にあるといえよう。しかし,対前年度増加率では23%と3組織のなかでは最も高い数値を示し,また,組織別の構成比でも19%が20%になり,ある程度は研究費の充実が進んでいるとみることができる。

1 学部等の数

学部等の数は,昭和39年度には前年度より25増加して,418となつた。その内訳は,大学250,短期大学46,高等専門学校46,大学附置研究所67,国立工業教員養成所9であり,増加数25の内訳は,大学の学部11,高等専門学校12,大学付置研究所2となつており,前年度に引き続き高等専門学校の増加が多い。

第2-31表 国・公・私立別・学問別「大学等」の学部等の数

国・公・私立別では,第2-31表のように国立245,公立41,私立132で,増加率は国立が17で最も多い。学問別では,工学が約半数を占めており,この傾向は,国,公,私立いずれも同じである。どの学問別分野においても国立が多く学部等の数の面からみるかぎりにおいて,自然科学系の研究の中心は,国立であるといえる。

2  研究費の構成

「大学等」の研究は,昭和39年度はその絶対額においては,773億円で前年度に比べて46億円23.4%の増加となつている。特に,この増加率は,「会社等」,「研究機関」,「大学等」のなかで最高の値であり,その結果,国全体の研究費のなかに占める構成比も19%から20%へと,わずかではあるが上昇を示し,ここ数年最も安定的な増加を示している。

次に,研究費の費目別の構成比では,第2-32表のように固定資産の購入額は昭和37年度の35%を最高に,その後年に1%ずつ低下し,昭和39年度は33優となつた。しかし,全体の傾向としてみるならば,特に大きな変化はなく,他の組織に比べるとその構成の推移は非常に安定した形で現われている。これは,大学の研究の性格上,研究活動が年度により大きく変動するものでなく,長期的な計画に基づいた研究が多いことや,大学等の研究費の支出制度が民間企業等とかなり異なつていること等が原因であると思われる。

第2-32表 「大学等」研究費の構成の推移

研究費の学制別の構成では,”大学の学部”と”付置研究所”の両者で,全体の95%,732億円を占め,研究はほとんどこの両者で進められていることがわかる。1機関当たりの研究費は,"大学の学部"2億5,100万円"付置研究所"1億5,400万円の両者がずば抜けて高く,その他の部門では最も高い1短大1でも4,720万円とかなり低くなつてくる。

研究費の国・公・私立別では,国立が全体の66.3%,公立7.4%,私立26.3%となり,前年度に比べて私立がやや伸びている反面,公立が減少している。

学問別では,理工学59%,農学12%,医学29%で38年度に比べて医学が減少し,理工学の割合が増加した。

「大学等」が外部から受け入れた研究費は,受入れ学部数では329受入れ金額は49億円となつている。学部数では,各学部とも8割前後がこれの対象となり,また,国・公・私立別の差も特にない。学問別の受入れ割合をみると,理学12%,工学48%,農学8%,医学32%であり,学問別の全研究費に対するその受入れ金額の割合は,理学56%,工学68%,農学42%,医学70%となつている。受入れ先は,国からが40億,会社等から4億6千万円等が大口で,その対象としては,大学の学部の4億円,付置研究所の4億円が大きく,全体の90%を占めている。

第2-33表 「大学等」研究費の学制別構成

3  研究者1人当たりの研究費

「大学等」における研究者1人当たりの研究費は,昭和39年度で197万円となつている。これは,「会社等」の416万円,「研究機関」の312万円に比べると非常に低く,さらに人件費と固定資産の購入額を除いた研究費で比較すると,「会社等」の147万円「研究機関」の80万円に比べ,わずか32万円にすぎず,充実した研究活動を遂行するためには必ずしも十分であるとはいいがたい。しかし,前年度と比較した場合には,第2-34表のように,それぞれ25万円,6万円の増加とかなり大幅に増額されてきた。学制別の研究者1人当たり研究費をみると国立工業教員養成所が218万円で最も多く,次いで大学学部の182万円,付置研究所の145万円となつている。

また,国・公・私立別では,国立212万円,私立190万円,公立134万円となり,学問別では,工学250万円,理学246万円,農学220万円,医学132万円であつて医学を除いた残りの3分野には,特に大きい差異は認められない。

第2-34表 「大学等」研究者1人当たり研究費

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