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第2章  研究活動
3  研究投資
(3)  研究機関の研究費


「研究機関」とは,人文科学および自然科学に関する試験研究または調査研究を業務とする国営,公営,民営の機関であり,これらは公共性が強く,かなり明確な研究目的を有している。ここでは,自然科学部門の研究機関について分析を行なうこととする。

その研究目的が公共性を有することや,またその経営主体が国や地方公共団体であることから,「研究機関」の研究費の大部分は,国および地方公共団体によつて負担されており,昭和39年度では,その負担額は89%にのぼつている。研究費総額に対する「研究機関」の研究費の割合は16%から15%の間を推移しており,昭和39年度では,その支出額は,606億円,16%となつている。「会社等」,「研究機関」,「大学等」の3組織のなかでは,この,「研究機関」の研究費が最も少ない。

しかし,その設立目的には,公共的なものが多く,研究活動を国全体としてみた場合,その研究分野は.独特なものがあり,質的な面からは決して軽視することができない。たとえば,個々の経営規模が非常に零細で,研究活動を遂行することが不可能な農業部門では,研究機関がその研究活動の中枢的役割を果たしており,国全体の農業関係の研究費の7割に近い額を支出している。また,理工学部門においても,公共的見地から,民間企業とは異なつた分野の研究に大きい貢献を示しており,特に,地域社会の産業と接に結びついた公立の研究機関等は,その拡充が強く望まれているところであり,その地域における研究の量的な中心になることが期待されている。

また,医学部門は,国立では,ガン等のような特定の分野を専門として研究する機関が多く,公立では,衛生関係一般の研究等衛生活動の中心となつている。

1 研究機関数

「研究機関」の数は,逐年増加の傾向にあり,昭和39年度は834機関と過去の最高を示すようになつた。しかし,これを国営,公営,民営と分けた場合,従来かなり高い比率で増加してきた民営の研究機関の増加は停滞し,逆に,公営の研究機関が増加した。すなわち,38年度と比較した場合,全体では30機関の増加であつたが,国営では3機関の増加,公営は36機関の増を示したのに対し,民営は9機関の減少を示した。

これらの原因としては,さきにも述べたとおり,科学技術の進歩とともに地域社会と結びついた研究の必要性が高まつてきたことや,産業,学問の多様化に伴い,多方面の研究が必要になつてきたこと等が考えられる。

第2-23表 「研究機関」数の推移

国営の研究機関は39年度で83機関であり,前年度より3機関増加した。学問別では,理工学が半分以上を占めている。公営の研究機関は,557機関と全機関数834のうち6割余を占め,このうち,第2-24表のとおり,農学系の機関が335機関とその60%も占め最も多い。この農学関係の研究所は,各都道府県に設置されている農業試験場,畜産試験場,園芸試験場,林業試験場等,農林水産活動の技術的推進体としての研究機関が多いことを示している。また理工系の研究機関も,その地方の特産品に結びついたような試験場,研究所が多い。

第2-24表 学善別研究機関数および構成比昭和39年度

民営の研究機関とは社団,財団法人組織の研究所,技術研究組合,個人による研究機関等であり,学問別では圧倒的に理工学系が多い。民営の研究機関は,38年度に比べ,9機関減少して194機関となつたが,その減少分のほとんどは,農学系と医学系で理工学系は,1機関減少したにすぎない。

2  研究費の構成

「研究機関」の研究費は,39年度は606億円と前年度に比べて95億円,18.5%の増加を示した。研究費の費目別の構成でみると,すべての費目において,「会社等」と「大学等」の中間的な数値となつている。人件費の割合も,第2-25表のように前年度と同様に,「会社等」よりは高く「大学等」より低い47弾となつている。時系列的にその研究費に占める人件費の割合をみると,36年度以降急激に増加し,過去3年間で37%から47%へと10%の増加を示し3組織のなかではその増加率は最も高い。反面,固定資産の購入額の割合は,昭和36年度の40%を最高に以後減少を続け,昭和39年度では27%となり,人件費と対照的な動きを示しているが,「会社等」「大学等」と比べるとその割合が過去において非常に高かつたため,その減少の度もまた高くあらわれたものと思われ,27%という水準そのものは,他の組織と比べて決して低いものではない。

第2-25表 「研究機関」研究費の費目別構成の推移

この費目別構成を第2-26表により国,公,民営別にみると,公営における人件費の割合が最も高く,反対に,民営における人件費の割合は最も低い。

研究費の学問別構成では,第2-27表のように理工学系が全体の約半分56%を占め,特に,国営と民営では,それぞれ66%,81%と相当高い率を示している。しかし,公営では,逆に農学系が64%,理工学系が28%となつており,国営,民営と対称的な形を示している。公営の農学関係の研究費は,農学関係の全研究費の45%を占めており農学関係の開発研究における公営の研究機関の重要性がうかがわれる。

第2-26表 「研究機関」研究費の国,公,民営別費目別構成

次に,これらの研究機関を研究者数の規模別に分類して研究費分析を行なつてみる。まず,100人以上の階層(1研究機関当たりの研究者数,以下同じ)に属している研究者は,全体の40%を占め,その研究費は全体の48%にあたる。学問別では,理工学系分野では100人以上の階層が研究費の66%を占め,その大勢を動かしているのに対し,農学部門では,大体各階層に平均的に支出されている。医学については,小規模なものと大規模なものの両極の層によつて,多くを占めている。

第2-27表 「研究機関」研究費の国・公・民営別学問別構成

第2-28表 「研究機関」研究者規模別,学問別,研究費構成

第2-29表 「研究機関」研究者規模別,費目別構成 -昭和39年度‐

費目別構成では,人件費の割合は,100人以上の階層を除き,50〜60%を占めている。100人以上の層は,人件費の割合が低く39%であるが,反対に固定資産の購入額は36%と,他の層が17〜24%を示しているのに比べて高い数値となつている「研究機関」が昭和39年度に,外部から受け入れた研究費は,56億円で,そのうち,「会社等」からの受入れが32億円で59%を占め,続いて補助金,委託費等,国からの受入れが19億円となつている。受入れ機関としては,民営の研究機関が圧倒的で,41億円,全体の受け入れ金額の73%を占め,また「会社等」からの受入額の97%にあたる31億円を民営の研究機関が受け入れている。

第2-30表 「研究機関」研究者1人当たり研究費

3  研究者1人当たりの研究費

「研究機関」における研究者1人当たりの研究費は,昭和39年度に比べ,12%増加して312万円となつた。また,研究者がある程度実質的に使用できる研究費として,人件費と固定資産購入額を除いた研究費の研究者1人当たりの研究費について前年度と比較すると,19%増の80万円となつている。

国,公,民営別の研究者1人当たり研究費(研究費を研究者数で割つた額)は,民営663万円,国営334万円,公営234万円となつている。同様に学問別では,理工学398万円,医学296万円,農学234万円となつている。(第2-30表参照)


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