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第1章  政府の施策
6  科学技術会議の活動状況


内閣総理大臣の諮問機関である科学技術会議は,昭和39年7月に新たに内閣総理大臣に対して意見具申を行なう権限を付与されたのに伴い,同年末より,先に答申した諮問第1号「10年後を目標とする科学技術振興の総合的基本方策について」および諮問第3号「国立試験研究機関を刷新充実するための方策について」の両諮問事項について,その後の科学技術の急速な進展と経済社会の高度な発展に対処し,新たな観点から総合的に検討を行ない,昭和45年度までの方策を策定すべく審議検討を進めた。同会議は,学会をはじめ,産業界,関係行政機関等の幅ひろい意見を聞くなど慎重に審議を行ない,昭和41年8月,昭和45年度までの方策として「科学技術振興の総合的基本方策に関する意見」をとりまとめ,これを内閣総理大臣に提出した(別冊付属資料参照)。本意見は,科学技術振興の総合的基本方策としておよそ次のように述べている。まず,研究活動の拡充整備に関する方策としては,経常的研究の充実はもちろんのこと,特に総合的組織的な研究活動を必要とする研究分野および研究課題について当面推進すべき研究として学術的要請に基づいて行なわれる研究13分野,社会的経済的要請に基づいて行なわれる研究102課題および国際共同研究6課題を選んでいる。また,研究活動の拡充整備に関する諸方策を実現するためにそれを裏付ける国全体の研究投資の目標を設定しこれに近づける努力をするとともに,政府の研究投資について財政の許す限り極力拡大すべきであり,前者については,近い将来にわが国の研究投資の努力目標として対国民所得比率2.5%程度を考えるこどが適切であり,後者については,5年後における政府負担研究費の期待値として一応3,600億円程度の試算値が得られているとしている。次に,人材養成の方策および研究者等の処遇改善については,特に,科学技術者の資質の向上図り,ならびに大学教官および研究公務員の給与を一段と改善すべきであることを述べ,なかんずく,研究公務員については,その職務と責任の特殊性に即するよう必要な措置について検討し,必要があれば研究公務員特例法の制定についても考慮すべきであるとしている。さらに,科学技術情報活動の強化に関する方策としては,情報活動を合理的に組織し,情報流通の円滑化を図るため,総合センター,専門センター,データ・センター,図書館,クリアリング機構等の情報流通体制を確立し,これら機関の整備充実を図り,また,ぼう大な情報量を正確迅速に処理するため,情報処理の機械化の促進を図ることが必要であると述べ,最後に,科学技術の国際交流の強化に関する方策としては,国際機関による研究協力計画にわが国と関係国との相互の利益を十分勘定しながら重点をきめて積極的に参加し,また低開発地域に対する科学技術協力にあつては,受入国の十分な調査と密接なコンサルティングを可能にする体制の整備,低開発地域のための試験研究の強化等を重点的に配慮すべきであるとしている。

一方,この審議の過程において,科学技術会議がその諮問第1号答申において継続審議事項とし,引き続き検討を進めていた科学技術に関する基本法・について,これの早急な制定を望む気運が生じたことに伴い,昭和40年2月,同会議において科学技術基本法について早急に結論を出すべく,上述の昭和45年度までの方策策定の審議と並行して基本法審議の一層の促進を図ることとなつた。かくして,慎重に審議が進められ,昭和40年12月にいたり,科学技術会議は,わが国の科学技術水準の画期的な向上を図るためには,国の科学技術に関する責務を明らかにするとともに,国の行なうべき科学技術に関する施策の方向を示すなど科学技術を振興するための統一的指針が必要であるとの認識のもとに,科学技術基本法案要綱を添えて科学技術基本法を制定すべきであるとの答申を行なつた。この基本法案要鋼は,1)研究の推進を図ること,2)研究成果の利用の促進を図ること,3)研究者等の確保および待遇の適正を期すること,4)情報流通の円滑化,普及啓発の促進を図ること,5)国際交流の推進を図ること,6)これらの施策を実施するに必要な財政上の措置を講ずること,7)政府は科学技術に関する長期的な基本計画を策定すること,8)科学技術振興に対する民間の努力を助長すること,等を主たる内容としている。

以上のごとく,科学技術会議は,わが国の科学技術振興にとつて,画期的な方向を打ち出したが,この間,昭和41年3月〜4月に海外調査団を派遣して,イギリス,フランス,ドイツ,ノルウェー,アメリカ等の各国における模範的な研究機関,大学等の研究環境に関する諸種の条件,これら機関の内外における共同研究体制等について調査を行なつた。


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