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2部   科学技術人材
第9章  諸外国の動向
5  ソ連


ソ連における教育制度は,1958年「学校と一般社会の関係の密接化を図り教育制度の一層の進展に関する法律」の制定により,大きな改革が行なわれ,さらに,1959年には,職業技術教育の改善に関する諸施策が実行された。

ソ連における科学技術者教育の大きな特長は,労働と教育が不可分な関係にあることで,学校と工場の一本化にあるということができよう。このため,工場は技術実習の生徒を受け入れ,学校予算の一部を負担する義務が課せられている。同時に,生徒は指定された工場で働く義務がある。

小・中学校においては,教育年限が延長されるとともに,数学,化学,生物等の理科系教育に重点がおかれるようになつた。また,中学校における職業教育も行なわれ,これには現場における実習が重要視されることは前述のとおりである。また,この教育には,教師のみならず,現場の技術者もたずさわり,この段階における教育目的は,熟練工の養成にある。

夜間学校と通信教育は,労働者の再教育の点で最も関心がもたれている。

この教育の目的は,中等教育の卒業資格を得るためのもので,特別に準備された普通教育の充実と,急激に進歩する技術に対処するため,常に新しい技術を身につけさせることが,重要な課題となつている。本課程を終了したものには,高等教育受験の資格が与えられる。

高等教育の入学には,それ以前に2カ年以上の有給雇用につくか,兵役を了えていることが資格要件とされる。例外として直接大学に入学を許可される部門としては,数学,物理課程がある。

入学試験はかなり程度の高いもので,この試験には専門家があたり,合格か否かの線上にある場合は,技術訓練の分野で受験生が実際に労働をしている経験と,共産青年同盟(komsomol)のメンバーとしての行動が考慮に入れられることがある。

ソ連における高等教育には,742校(1963-′64学年度初)の大学,技術専門学校と,企業における専門家養成のための高等教育機関として,専門学校が夜間,通信コース用に設けられている。

夜間および通信両コースは,全国で1,035あり,その内訳は大企業が400(1963-′64学年度初) 1) 学校が8(1963年-′64学年度初)の夜間コースを持つている。また通信コースは20の専門的学校および607の大企業が持つている。これらのことからもわかるように,工員として働きながら,高等教育を受け,技師の資格をとる者が多く,国の方針としても,工場で働きながらこれらのコースによつて専門的知識を高めることを積極的に奨励している。1963-′64年度において,技術系高等教育修了者33万1,700人のうち,約3分の1の13万1,000人が夜間および通信教育学部卒業者であつた。

この高等教育段階においても,教育と工場での実際の仕事が重要視されるのはもちろんのことであり,近年学生実習はますます強化されつつある。すなわち,在学期間の最初の1年〜1年4カ月は,工場における生産活動に従事しなければならず,卒業論文着手前にも数カ月にわたる集中的実習教育を受けることになつている。

このように,大学の教育が社会に出てすぐ役に立つ人材の養成を目的としているため,大学の組織も学部・学科が職能的,産業別に分化している。

また女子の進出が著しいことも特色で,大学卒,専門家428万2,600人(1993年12月1日現在)のうち233万7,400人を占めており,高等教育機関在学生でも326万0,700人(1963-′64年度)のうち59%を占めるといわれる。

企業から通学する者には,その企業から奨学金が出され,とくに優秀な者には,国家からも支給される。卒業論文のテーマは,その費用を負担した企業から提出されることになつている。

この教育機関の卒業者の中で,とくに優秀な者は科学者となることができる。しかし,これには別に科学論文を提出する必要があり,科学者になるためには, 一般の技術者教育が学部・学科に細分されているのとは異なり,かなり幅広い知識を得る必要がある。

また,大学教授は教育者であると同時に,産業界の研究所員であることが多い。


注 1)学年度は10月1日〜翌9月30日

高級技術者に,高度の専門知識を与えるための再教育大学は,モスクワ,レニングラードなどの地区毎に,ソブナルホーズ(国民経済会議)等によつて設立されている。

第9-5図 ソビエトの学校系統図


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