ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
2部   科学技術人材
第9章  諸外国の動向

近年の激しい技術革新の波は,各国の社会・経済体制に大きな影響を与えるに至つた。

国家の繁栄は,科学技術の進歩なくしては考えられなず,その水準の向上を支える科学技術者の養成と確保が,各国の重要な施策の一つとなり,その結果,各国において,これと関連した教育改革の動きがみられるようになつた。

アメリカにおいては,ソ連による世界最初の人工衛星打上げの刺戟もあり,科学技術教育に対する一般の認識が高まると同時に,その立ち遅れに対する反省が「国防教育法(National Defense Education Act)」として1958年に制定され,理科,数学,工学,外国語教育の振興が検討された。さらに,1963年には,ケネディ大統領の「教育に関する特別教書」によつて,国家全体の教育に対する関心と期待が示された。

また,イギリスにおいても,ロビンス報告にみられるように,高等教育,とくに理工学系を中心とした拡充計画が勧告され,ドイツでは,科学会議が「大学の拡充に関する勧告」を行ない,理工学系教育の重要性を説いた。

その他,フランスの教育の機会均等を目的としたベルトワン改革においても,科学の進歩に対する高等教育の役割を重視し,ソ連では,実習との密接な関係を強調した技術者教育を目的として新しい法律を1958年に制定した。

このように,科学技術者養成における教育の役割は,近年各国で特に注目されるようになつた。

また,社会全体においても,科学技術者の養成には深い理解を示し,人材の養成と確保こそ今の世代の後世に対する義務であるとの考えを強く抱いており,学生実習におけるフィ―ルドの提供や,イギリスのサンドイツチ制度にみられる企業の人材養成への努力等,国をあげてこの問題にとりくんでいることがうかがわれる。

一般に,先進諸国は,生活水準の向上と科学技術の進歩が密接に結びついているだけに,創造的な能力をもつた科学技術者への期待は非常に高く,この能力を最大限に発揮させるためにあらゆる努力をしている。また,この努力こそ,激しい技術革新の中にあつて,常に安定した発展を可能とする唯一の鍵であると考えられている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ